インフィニット・ソング~繋がる無限の歌~&【異世界旅行】   作:金宮 来人

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どうも、私です。
早速ですが本編へどうぞ。

では授業開始です。


第三十二時間目

俺はまずはバイオ実験室内の除菌作業する事最を優先にした。

BSL3相当の部屋なのでそこの中でまず体の除菌をする。

さらに衣服を、『オート・グレーブ』で滅菌したものを取り出して専用の衣類に変える。

一回部屋の内部に錬金術の生命のエネルギー化の術式を使って広げてみる。

俺以外の生命は一応居なくなったはずだ。これで滅菌効果が得られたろうが、それでも室内全部ではないのでアルコールを散布しておく。これはちゃんと密封された滅菌用アルコールがあったのだ。それと水道水をろ過、さらに特殊なフィルターを通して純粋に近い状態にする装置を通して出てきた水を混ぜた除菌用アルコール水だ。そのままではなくある程度薄める方が使いやすいのだ。

97%アルコールを専用の散布機でまいて室内をすべて滅菌する。そのまま数回まくことで一日おいておくとかなりの滅菌作用はあるはずだ。そもそもからウィルスと違い、滅菌や殺菌すれば何とかなる物だろうと思うのだが、細菌というのは面倒なものが多いのだ。

そして抗生物質の話をした会議室の中で少し話をすることにした。

「さて、今までよりも躍進したがここで少し予備知識だ。大腸菌という物も細菌だが、体内に普段から存在するものだ。さらに、ボツリヌス菌も有名なものだな。さらに周りにいる物で破傷風菌、これもそこら辺の地面に存在するかもしれない。という風に俺たちの周りには本当に多くの細菌がいる。これらを滅菌したりする際に時々間違えられるものがあるのだ。缶詰や瓶詰、そう言う密閉物にしたら大丈夫・・と言うのは間違いだ。あれは高温で過熱する際に滅菌処理を施す。しかし、それができていない場合、つまり缶いっぱいに液体が入っていて、空気が入っていない状況でも細菌は繁殖する。酸素や空気がない際に繁殖する細菌、コレを『嫌気性細菌』という。逆に酸素が無いと繁殖しない菌を『好気性細菌』という。前者はさらに詳しく言うと【酸素があっては増殖できない】『偏性嫌気性細菌』と【酸素がない状態とある状態で性質が変わる】『通性嫌気性細菌』が存在する。とりあえず、ここまでは問題は無いな?一応は生物の範囲だが、よく聞いておけば意味は分かるはずだ。」

「いっくん、よくわかんない。」

正直にそう手を上げて発言した丈槍に、俺はレイアの力で生み出したコインを頭にぶつける。当然力はかなり優しくだが、それでも堅いものが当たれば痛い。

「ひぎゃ!?いったーい!?」

「はぁ・・。こいつは刹那的に生きているのか?・・まあいい。とりあえずだ、水などならそこまで汚染されては無いはずだが、それでも少し気を使ってほしい。」

そう言うと俺はさらに社内の見取り図をモニターに映し出す。

「そして、この施設内にある・・・、三階の部屋には社内の専用の衣類を洗濯するための洗濯機がある。さらに、併設してシャワールームも存在する。おそらく仮眠室などで眠るにしても汚れた状態では問題があるからだろう。・・喜べ、しっかりと動いていることは確認済みだ。お前らは最近車の水を節約するためにあまりゆっくりできてなかったからな。好きなだけシャワーを浴びてこい。」

そう言うと全員が表情を明るくした。

「いっくんは入らないの?」

「俺はバイオルームの中にあった簡易シャワーで流した。ついでにこの服も錬金術で選択して滅菌したし、問題は無いだろう。」

元々代謝はこの体になっても少ないようで、あまりに汗をかかないし水などや食事を多くとる必要も少ない。有害な菌類が他に蔓延していた場合に、外に多く持ち出さないため行ったのがほとんどだ。

Ω以外にもαとβがあったはずだ。αは細菌、βはウィルスだったはずだ。

きれいにしたはずだが、もしも万が一があったら面倒だ。

「それとこのタイミングで言うと、一緒に入るように言われているようだからやめるように。」

そう言うと、

「あ、そうだね!ごみん。」

「・・本当に反省してるのか怪しいところだが、まぁ・・いいか。とりあえず、さっさと入ってこい。」

そう言うと全員が嬉しそうに部屋から出ていく。

青襲も何か思うことがあるようにそそくさと出て行った。

 

俺はモニターに向けて向き直して座る。

「ボーモン、俺が今から『本当に効く薬』や抗体を作り出したとして、・・此処にいる全員が確実に生き残れる可能性はいくらぐらいだ?」

『ここにいる全員とは、この施設内の人間の事だね?』

「そうだ。俺も含めてだ。」

『計算中・・結果が出たよ。約、0.002%の確率で生存可能だね。』

「・・そうか。そんなもんか・・。」

最悪なことが分かった。それは狗三に投与した薬は、なんと試験用の抗体ではなく、ただの抗生物質と栄養剤だ。つまり・・風邪と同じ治療しかしていない。

それなのに狗三は持ち直した。発症は抑えられて今は完全とは言えないが小康状態で意識ははっきりしている。

つまり、ただの気休めにしかならない薬で回復したという事実が存在する。これには何らかの意味があるのか、はたまたこの土地特有の菌であることに関係している事なのかもしれないが・・推測の域を出ない。

そして、やはり生き残れる可能性はほぼない。狗三や佐倉先生の体内に抗体があるという話もしたが、それを確実な薬にするとなるとまた別の問題だ。それを行っている間には確実に発症するだろう可能性が高い。

また、近いうちに狗三が完全に発症してしまう可能性が非常に高い。今現在は小康状態だが、それでもやはり生き残れる可能性は極めてゼロに近いだろう。

「・・やはり、どうにかするしか・・ないんだな・・。」

『イチカは・・悲しいのかい?』

「どちらかというと苦しい・・だな。どうしても確実にみんなを助ける方法が無い。誰かが犠牲になるか、辛い思いをすることになる。そう思うと胸が苦しい。」

『病気では、無いんだね?』

「人間の感情とはとても難しいものだ。機械が処理するともっと難解になる。だからこそ、人と機械は違う。・・俺はきっとここに来た皆と居ることが楽しかったんだろうな。」

『・・人生とは先の見えない道である。ボクを設定した人物が初めて入力した言葉だよ。きっと先が見えなくてイチカも怖いんじゃないかな?』

「・・それでも俺は足の置き場を考えて、選んだ道を歩み続ける。それこそが、俺のするべきことなのだから。」

俺はボーモンの端末を持ち上げてパソコンをシャットダウンする。

「・・覚えておけボーモン。【奇跡も魔法もない事は、科学では証明できない。】悪魔の証明と一緒で居るか居ないかは証明できないんだ。だから、俺はその奇跡を俺自身の力で起こす。今回はここでみんなを生き残らせることが俺がすべき命題だ。」

『なら、それが叶うといいね。』

部屋の電気を落として廊下を歩いて初めのデスクの部屋に戻った。

「ボーモン、スリープモードだ。」

『了解、スリープモードに移行するよ。』

デスクに端末とパソコンを置いてマグカップを持ちそこにコーヒーを入れる。

良いコーヒーならまだしも、インスタントを砂糖もミルクもなしで飲むのはあまりしないことだが、こういう時はブラックで飲むと頭がさえる気がして落ち着くものだ。

「・・まったく面倒なものだ。先を察して先手を打つのは定石だと思っていたが、俺とこいつらがみんな幸せになることはできない・・か。なら、俺がするべきことは決まっているよな。あいつらと俺の運命・・どちらかを取ることになるだろう。」

足をデスクの上に置いて背もたれを思いっきり倒すように力をかける。

「昔のアニメを見た奴が言っていたよな・・、『命なんで安いものだ、特に俺のはな。』・・て。今ならその意味がそれとは違った意味でだが、分かる気がするぜ。」

椅子から立ち上がると夕日が見えた。

「俺の命の輝きはこんな風に明るく、温かいものならいいのにな。」

今にも山の稜線に沈まんとするその夕日を見て俺はそう思う。

 

俺がすべきことはおそらくみんなが幸せであるための事ではないと。

 




終わりまでもう少しです。
では、また次回。
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