遊撃の殺戮者   作:昨日のおにぎり

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フハハハ。


第四話 託された?

「は?」

 

 副教官に投げ飛ばされた俺は壁の上部に落ちた。

 そして、未だに何が起こったのか理解できずにいた。

 

「え?」

 

 自分は一体何をした?_超大型巨人を殺そうとした。

 そして、飛び出した。誰からの許可も取らず。そこに自分の上官はいたのに。

 助けを求めることも出来たかもしれないのに。

 

 自分のせいで、副教官は死んだ。死んだところは見ていないが、落ちた衝撃もあるだろう。仮に生きていてもそこから帰還するのは絶望的だろう。

 自分の命を賭けた戦闘。しかし、代償は他人の命。

 

「おい!エレン!」

 

 わけが、わけがわからない。

 

「エレン!」

 

 自分を庇った?じゃあ、自分が出ていなかったら?副教官は死ななかった?

 

「ハッ!」

 

 コニーが心配そうな顔で俺の肩をゆすっている。

 

「呆けてる場合か!今ははやく巨人をなんとかしないと・・・。」

「ト、トーマス・・・。その、副教官は・・・」

 

 きっと生きているはず。だって副教官なのだから。

 訓練中は適当な所に座ってぼんやりとし、夕食のときにはイベントを盛り上げ、なにかミスをしたときには、「とりあえず教官に見つからないところで話そう。」と少し焦った顔で真っ先に言う人。

 副教官という立場ではなく、俺たちの目線で話をしてくれる人。

 

 きっと、副教官としてはいい人ではなかっただろう。でも、俺たちにとっては・・・とても、とても頼れる人、というか・・・そんな感じの人だった・・・。

 

「・・・。」

「グ・・・、クソォッ!」

「エレン、副教官を失った気持ちはわかる・・・、わかるが、今はそれどころじゃない。悲しむのは後だ。今は・・・」

 

 エレンにトーマスの声は聞こえない。

 信頼する人を失った、怒り。悲しみ。

 巨人がいなければ、巨人がいなければ・・・・・・

 

「奴らを・・・駆逐する・・・!絶対に!」

 

 壁は壊されている。こうしている間にも巨人は壁から入ろうとしていた。

 

「オイ・・・。もう壁は壊されちまったんだ!早くふさがないとまた巨人が壁から入ってくるぞ!」

「何をしているんだ訓練兵!」

 

 立体軌道装置を装備した兵士がやってくる。

 

「超大型巨人出現時の作戦はすでに開始している!ただちにお前らの持ち場につけ!そしてヤツと接触した者がいれば本部に報告しろ!」

「副教官が・・・。」

「そんなことは後だ!今は作戦に集中しろ!」

「そんなこと?!仲間が一人死んでるんだぞ!そんなこととはなんだ!」

「巨人が壁から入ってくる!一人の兵士の死より、大勢の市民の命を考えろ!早くしろ!」

「くそっ!」

 

 そんなことはわかってる!でも、副教官は・・・。

 

「よぉーし。久しぶりにいきますかぁ~。」

「「「「は?」」」」

「んん?な、なに?」

 

 ま、マキト、副、教官?

 

*****

 

 いや、久しぶりに死ぬかと思った。つっても3回ぐらいしかないけどな!

 

 1回目、車にひかれそうになる。

  いや、あれは轢かれてたな。うん。完全に吹っ飛んでた。骨折れたし。

 

 2回目、巨人に突っ込む。

  こりゃこの世界に来てからの話だ。能力手にいれたことに一時期興奮して、自傷系の技をつかって勢いよく頭から巨人に突っ込みました。

  いやまぁ、無事貫通したんだけどさ!いやじゃん!体内で巨人の骨バキバキいわせながら貫通するんだぜ!?

 

 3回目、炎系の技を使う。

  巨人の貫通できることがわかって、『フレアドライブ』を使いました。はい。巨人は死にました。

  俺の服も昇天しました・・・。1ヶ月間くらい俺付きの女性兵士に口きいてもらえなくなりました・・・

 

「ふ、副教官!なんで!?」

「『みがわり』、な。」

「え・・・?」

 

 まぁ、その反応だわな。『みがわり』とかこの世界で誰がやるんだよ。

 

「まぁ、いいじゃん。はやくいかねぇと、また壁がやばいぞ。」

「え・・・。あ、ハイ。」

「ホラ!はやくはやく。さっさとせんかい!」

 

 にしてもさっきのは少しヤバかったな。『みがわり』だす余裕があったからいいが・・・。

 HP4分の1削れるとかいつぶりだ?

 

*****

 

「アルミン!大丈夫か!」

「だっ、大丈夫だこんなのすぐ治まる!」

 

 アルミンが錯乱している。

 混乱じゃなくてよかったな。・・・笑い事じゃないけど。

 

「ししかし・・・まずいぞ現状ではまだ縦8Mの穴をすぐに塞ぐ技術はない!塞いで栓をするって言ってたあの岩だって・・・結局掘り返すことさえできなかった!」

「アルミン。落ちつけよ。」

「こんな落ち付いてられない!現状を分かっていってるんですか!」

 

 わかってるさ。だから言ってるのに。

 

「穴を塞げない時点でこの街は放棄される・・・ウォール・ローゼが突破されるのも時間の問題・・・そもそも、巨人がその気になれば・・・人類なんていつでも滅ぼすことが出来るんだ!」

「アルミン!落ちつけ!!」

「ッ!!」

 

 アルミンって興奮するとこうなるのか。要注意だな。

 ・・・少しでも守れるといいが。

 

「アルミン。現状をわかってるなら早くそのガスボンベをしめろよ。街を放棄するなら俺たちの仕事はなんだ。住民の避難を一刻も早く完了させることじゃないのか?」

「は、はい。」

「わかるなら、はやく。俺副教官が巨人のエサにしちゃうぞ!」

「えぇ・・・」

「まぁ、安心しろよ。お前らは俺が守ってやる。」

「くさいですね。」

「なんで!?」

 

*****

 

「それでは訓練どうりに各班ごと通路に分かれ・・・・・・・・」

 

 前衛が駐屯兵団。

 中衛が訓練兵団。

 後衛が精鋭の駐屯兵団だそうで。

 

 普通前衛は精鋭班が行くべきじゃないの?あ、でも住民を守るなら後衛なのか・・・?どっちがいいんじゃこれ。

 

 ふと見るとミカサがエレンに近寄っている。

 表情からするに、愛の告白じゃなさそうだな。つまらん。

 

「戦闘が混乱したら私のところに来て。」

「は!?」

 

 はい?

 敵前逃亡は死刑らしいぞ。

 

「何言ってんだ?オレとお前は別々の班だろ!?」

「混乱した状況下では筋書き通りにいかない。私はあなたを守る!」

「お前さっきから何を・・・」

 

 ミカサがエレンを守るのはいいんだけれども。

 普通、男女逆じゃね?向こうのバカップル見てみろよ。

 

「ハンナ、君は僕が守るから。」

「フランツ・・・。うぅ・・・。」

 

 俺はあれが正しい姿だと思う。

 

「ミカサ訓練兵!!お前は特別に後衛部隊だ。ついてこい!!」

「・・・!!私の腕では足手まといになります!」

「!?お前の判断を聞いているのではない。避難が遅れている今、住民の近くには多くの精鋭が必要だ。」

「し・・・しかし!」

 

 そっか。デスヨネ。住民の周りには精鋭必要ですよね。

 壁に覆われてても街はそれなりに広いんだから、すべての巨人を抑えきれるとは思わない。

 

「オイ!いいかげんにしろミカサ。」

 

 ゴツッとエレンがミカサに頭をぶつける。

 目を覚まさせる目的なんだろうが・・・痛そう・・・。俺はHPどんくらい削れるかな・・・。

 

「人類滅亡の危機だぞ!!なにテメェの勝手な都合を押しつけてんだ!!」

「・・・・・・・・・。」

 

 ミカサが申し訳なさそうな顔するのはエレンにだけだな。

 さすが家族。

 

「悪かった・・・。私は冷静じゃなかった・・・。でもどうか、死なないで・・・」

「死なねぇだろ。そいつは。」

「・・・」

 

 エレンとミカサが不思議そうな顔をしている。

 

「だって、ねぇ。あんだけ、夕飯のときに演説かましてたやつが、初陣で死ぬとかまず無いな。死んだらマヌケすぎる。」

「・・・。それでも私は・・・。」

「わぁかった。安心しろ。副教官直々に守ってやる。」

「ッ・・・。」

「安心して、お前が死ぬんじゃねぇぞ。わかったか?」

 

 口を結んで、頷くミカサの表情は、さっきよりもいいような気がした。

 

 出来る限り守ってやろう。

 

 

 

 

 

 




駄文だけど、頑張りますよ。

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