ついに第三の登場人物が出てきます。
可愛い女の子に囲まれている主人公をうらやましく思いつつこの作品を書き上げています。
なんとか早め早めに上げていこうと思いますので応援よろしくお願いします。
ではどうぞお楽しみください!
桜の雨が降りしきる並木道を私は歩いている。
甘酸っぱい桜の香りが鼻孔をくすぐり、朝が苦手な私でさえもなんだか気分が高揚し、知らず知らずのうちにスキップしてしまっていた。
すると、前方には見知った背中が見える。
あまりオシャレでないことで有名なうちの制服でさえも着こなしてしまう長身イケメン。
そう、榊原君である。
いつもなら声をかけることはなかったであろう。
彼の性格上取り合ってくれるとも思えないから。
でも、今日の私はひと味違う。
気分はこの桃色の景色によって最高潮だし、なにより昨日私は決意したのだ。
彼と友達になるのだ、と。
まあ、日誌には「なりたい」という願望で書いていたが自分の中ではすでに彼と友達になることは決意として確固たるモノとなっていた。
だから、今日、このような形で彼と会えたのはまたとないチャンスであり、この機会をものにしないわけにはいかない!
なんとしてもここで一つ、彼とお近づきになるのだ!
私はムン!と拳を握り気合いを入れると、更にスピードを上げて彼に近づいた・・・。
「おはよ、榊原君!」
トーンという軽い衝撃を背中に受けたせいで俺は軽くたたらを踏んだ。
朝に挨拶を交すような中の友達はいないはずなので全く予期していなかった。
――誰だ?
怪訝に思い振り返ると・・・。
「よっす!」
と謎言語を発しながら敬礼ポーズを取る七草がいる。
――なんで?
事態があまり飲み込めず言葉を発せずにいると、おーい、と手を振りながら顔をのぞき込んでくる彼女。
彼女の整った顔が数センチの距離にまで近づき、フワリと良い香りが俺の鼻孔を充たす。
あまりにも突飛な彼女の行動に驚き、俺はサッと体を引く。
すると彼女は傷ついたように舜とした顔になるとこちらを上目遣いに伺ってきた。
「・・・あ、ごめん。いやだった・・・?」
――その上目遣いは卑怯だろ・・・。
と思わずにはいられなかった。
いつもですら可愛らしい小動物然とした彼女がシュンとしているとなんだかいじめているみたいに思えて仕方ない。
もちろん、俺には嗜虐癖みたいなモノはなく、そんな姿をみるとかなり普通に動揺してしまった。
「あ、いいや、嫌とかじゃなくて・・・少し、驚いたというかなんというか・・・。」
「そっかあ・・・良かったあ・・・。」
ふうっと詰めていた息を吐き出す彼女。
ニコッと笑いかけてくる笑顔があまりにもまぶしかったので俺はあごをポリポリと掻きつつ周りの桜の木に視線を移してしまう。
あまりにも鮮やかな桃色は俺にはとてもまぶしくなんとも似つかわしくないように思えてならなかった・・・。
少し物思いに更けってしまいボーとしてしまっていた。
俺のそんな様子を見ていた七草は何かを思い出したかのようなそぶりを見せた。
「あ、そういえば昨日、榊原君桜見てたよね?好きなの、桜?」
「ああー・・・・そうだな、どっちかって言うと好きかもな。」
と応えた俺だったが本音は全然違う。
――やべー!七草見てたなんて口が裂けても言えねーからウソついちまった。
まあ桜嫌いではないし、花の中では好きな部類だから全部ウソって分けじゃねーけど、そもそも花のことなんて全然しらねーんだよなあ・・・。
でもとりあえず、この場だけはしのがなくては!
俺はできるだけ平静を装いつつそこまで考え、七草を見るとまっすぐにこちらを見つめる彼女のまなざしと視線がぶつかる。
う・・・なんて澄んだ瞳なんだ・・・きらきらしすぎじゃね?
罪悪感で押しつぶされそうになりながらも視線をそらさずに見つめると彼女は俄然前のめりで聞いてきた。
「そうなの!?男の子にしては珍しいね!」
「お、おうそうだな・・・。つーか近い。」
「あ、ごめん!ついつい、嬉しくなっちゃって・・・。」
照れくさそうにクシクシと髪の毛をいじり顔を赤らめる彼女の様子は破壊力満点でこちらまで照れくさくなってしまう。
これは早々に戦線離脱するに限るな・・・。
これ以上いるとこいつのペースに飲まれて妙なことになりそうだ。
そんな危機感を抱いた俺は軽く手を上げる。
「おう、そんじゃあ、まあそういうことで!」
シュタッと素早くきびすを返し走り出す俺。
「あ!ちょっと!」
そんな叫び声が背中にかけられた気がするが気にせず、駆ける。
はあー・・・あいつはなんなんだ、ホント・・・。
霞がかったどこまでも広がる青空を眺めながらそんな呆れ混じりの吐息を漏らし、俺は登校するのだった。
「はあ~・・・。」
自分でも信じられないくらい大きく深いため息をつきつつ机に突っ伏す私。
頬に伝わる図書室の机のひんやりとした感触が心地良い。
しばらくその感触を味わっていると、頭上から呆れ100パーセントの声が降ってきた。
「はあ~ってあんたねえ、どんだけ落ち込んでんのよ。」
私は声のした方を見るために顔を上げるとそこには親友 柊常夜(ひいらぎとこよ)ちゃんの姿があった。
彼女と図書室で放課後勉強しようと約束していたのだ。
私は彼女の顔を視界に捉えると。
「とこよちゃーん!」
と言って彼女に抱きついた。
「はあー、暑苦しい・・・。」
眉をひそめて嫌そうな顔をする彼女だが抵抗はされない。
彼女はほんとに嫌なときは拒絶するので、内心それほど嫌じゃないと言うことがうかがえる。
私はそんな彼女のひねくれたところがとても気に入っていて今も彼女の反応に顔がほころぶのを押さえられずにいた。
「えへへ~。」
「気持ち悪い、愛花。」
「え~?なんて~?」
「はあ・・・。もういい。」
「はーい。」
そうやってしばらくひっつき虫になっていた私だった。
「ということなんだよ~。」
「へー。」
「全然興味持ってくれない!?」
「だってどうでも良いもん榊原君の事なんて。」
「そんなこといわないでよ~。」
うえーん、と嘘泣きをしつつ常夜ちゃんにしがみつくと鬱陶しそうに私の顔をぐいぐい引っぺがそうとする彼女。
だが私も負けてはおらずぎゅーっとしがみつき、反抗。
私の諦める様子のないことを悟ると、またもや大きくため息をつく彼女。
そんなにため息付いてると幸せ逃げちゃうよ?
ま、私が原因だけどね?テヘぺろっと心の中で可愛く決め顔しているとムニーとほっぺたを引っ張られる。
「いたいたいたい!」
「あなた今心の中で余計なこと考えたでしょ?」
底冷えのする声でそう言う彼女は正直めちゃくちゃ怖い。
私は体をガクガクと震えさせながら首をぶんぶん振る。
「してません!してません!だから許して!」
「ほんと?」
「イエスマム!」
「・・・・・はあ。なら良いわよ。」
「わーい!」
「次はないけどね?」
「・・・・・。」
常夜ちゃん怖すぎ・・・ガクぶるである。
おびえていた私であったが常夜ちゃんはホントに許してくれたみたいでフッと優しくほほえみ聞く。
「で?なに。榊原君がそっけない?」
「うん!そうなんだよ!どうしたら良いと思う?」
「知らんわ。」
「そんなー!」
あまりにも素っ気ない彼女の反応に涙目になる私であったがそんな私を不憫に思ってくれたのかしっかりフォローしてくれる常夜ちゃん。
「だってあんたが仲良くできないのに私が仲良くなれる方法を思いつくわけ無いじゃん。あんたでムリならこの学校の誰にもできないわよ。」
「え・・・・それって?」
「勘違いしないでよ?私はあくまで一般論を言ってるだけだからね?」
「このこのー!ツンデレちゃんめ!」
「ツンデレじゃないわよ!」
「えへへへ~。」
「もう!この子は・・・。」
呆れながらもひっつく私を邪険にせず私の頭を優しく撫でてくれる彼女はやっぱり優しい。
だからこそ大好きなんだよねえ~。
「大好きだよ?常夜ちゃん。」
「・・・・なによ、もう。」
そう言ってそっぽを向く彼女の横顔は夕日を受け、赤く染め上げられていたのだった。
「じゃあ、先行ってるわねー?」
「うん!行っといて!すぐ戻るから~。」
私は常夜ちゃんと帰るつもりだったのだが、帰る直前になって忘れ物をしていたことに気づく。
まあ、次の日でも良いかな、と思ったのだがそこに書かれている内容を考えるとあまり見られたくない代物ではあるので仕方なく教室に戻ることにした。
駆け足で教室へ続く廊下を行くと、どうやら教室には誰かいるらしい。
電気が付いているのが見える。
特に何も考えず、教室の扉に手をかけた、そのときだった・・・・。
「榊原君!好きです。つきあってください!」
耳に入ったその声は明らかに誰かの告白だった・・・。
いかがでしたか?
常夜ちゃんは結構気に入ってます。
感想くださいね?
また次話でお会いしましょう!
シーユーアゲイン!