〇ゴールデンボール〇 ロックマンZAX2   作:Easatoshi

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 ……26話投稿です!


チャプター6:強襲!
第26話


 

「(一体何が始まるって言うんだ?)」

 

『ヤァヌス』が秘密基地の一歩手前に設置された防衛ラインたる検問の前で、複数人でここの警備を務めている、オリーブカラーの体にアサルトライフルを持った、とある名もなきレプリロイドの一人が思考を巡らせていた。

 去る10分ほど前、我らがボスたるマックの指示で発令された『きんた〇』による攻撃命令が突如取りやめになり、代わりに侵入者に対する警戒を強化、何人たりとも基地内に入れるなとの通告を受けた。

 どうしてそのまま敵をレーザー兵器で焼き払わなかったのかと、詳しい事情を何も聞かされていない警備兵は一人ごちるしかない。

 

「(……ま、考えるだけムダか。 俺に与えられた役割は――)」

 

 末端の兵士にできる事と言えば、ひとまずは職務に忠実で命令をこなす事。

 ボスの考えや突然の警戒強化命令に疑問を抱いた所で、学のない自分が何かをできるとは思えない。

 黙って言われた通り警備に当たろうと、この基地に続く道に向き直した時――――

 

「(ん? 何だこのエンジン音は)」

 

 大型のトレーラーがすれ違える程度に広いこの道は、50m程度の直線の後に右カーブが続いている。 両側はジャングルの茂みで覆われ、曲がった道の先をここから目で窺う事は出来ない。

 そんな道の先から、何やら重々しいエンジンの唸り声が徐々に近づいてきた。 警戒を強化しろと言われた矢先の何者かが近づく音に、自身と他2名の同僚達も身構える。

 

 程なくして、右カーブの茂みの背後から突如戦車が姿を現した。

 

「(あれは……レプリフォースで最近開発されたばかりの新型戦車だな?)」

 

 一瞬銃口を向けかけるが現れた戦車を見るなり、警備兵はかつての自分の古巣たるレプリフォースにて作られた戦車だと判断する。

 見慣れない戦車の形状ながらも、赤い三角の上に青の「R」の文字があしらわれた、レプリフォース所属であるマークが塗装されていれば識別は容易だ。

 確か先程、衛星兵器の発射命令が出る少し前に、軍から横流しにした車両がここを通ると上から通告が来ていたが――――。

 

「おい、いいのか? あの戦車何かが変だぜ?」

 

 戦車がカーブを通り正面を向いた辺りで同僚が声をかけてくる。

 そう言えば、戦車の輸送についてはボスから直接取り止めにすると言う通告があった筈。 なのにどうしてこの戦車は道中で引き返さずにのこのことやってきたのだろう。

 

「ちょっと止めてくる。 ひょっとしたらボスの通告が行き届いてないのかも――」

「いやそうじゃねぇ!」

 

 一先ずは検問前でストップさせようと自身が戦車に駆け寄ろうとするが、同僚はそれに待ったをかける。

 自身の足を止める同僚の言葉は強い語気で、それでいて焦りを感じさせるような声色だった。

 

「ローダーに乗せて輸送するって話だったろ? だったら何で直接戦車に乗り付けて――――」

 

 叫ぶように同僚が疑問を口にするのと同時だった。 

 

 検問だと言うのにスピードを緩める気配もなく、こちらへ走ってくる戦車の主砲が前触れもなく火を噴いたのは。

 痛みとして音と衝撃を感じる事さえ許されず、すぐ背後の検問が自身や同僚達を巻き込んで文字通りはじけ飛ぶ姿。

 イヤーセンサーの故障による耳鳴りで全ての音を遮断され、空と地面が何度も上下を入れ替わる様に激しく回る。

 やがて間もなくジャングルの茂みに叩きつけられた時、煙を吹く戦車の主砲を見て初めて、自分が戦車砲の餌食になったのだと認識できた。

 

 地面に横たわる自分達を顧みる事無く横切るキャタピラ。 道路もろとも詰め所からゲートまで粉々に吹き飛ばされ、警備兵は薄れゆく意識の中、廃材と化して散った無残な検問を悠々と超えていく、なけなしの力を振り絞って腕を伸ばしながら戦車の後ろ姿を目で追っていた。

 

「(本部に連絡……しなけれ……ば――――)」

 

 ――――倒れ行くその時まで職務に忠実であろうとするも、警備兵の最後の報告は黒く塗りつぶされる意識と共に果たされる事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許せ、俺達は先へ進むしかないんだ」

「相変わらず容赦ないなぁ……」

 

 見敵必殺(サーチアンドデストロイ)を地で行くような、エックスの引き金を引く指によって果たされた主砲発射。

 問答無用で検問もろともブチ抜かれ、胴体をぶっちぎれる様に空中を回りながら吹き飛んだ警備兵達に僅かながら同情し、アクセルは苦笑いを浮かべながらも心の中で祈りを捧げていた。

 とは言え彼らはこれから正面切って堂々と倒しに行く『ヤァヌス』の構成員に違いない。 同情はほどほどにしてアクセルは思考を切り替える。

 検問は突破した。 後はすぐ訪れる正門を突き破って強行突入を仕掛ける訳だが、砲撃による爆発音は間違いなくそう遠くない秘密基地の連中にも察知されただろう。

 激しい戦闘になるのは間違いないが、アクセルはむしろ武者震いしていた。 ここの所フラストレーションをため込む事が多かっただけに、戦車を取り囲もうとする敵を機銃で蹴散らしてやりたい衝動に駆られていた。

 

 敵を求めて悶々とするアクセルを抱える中暫く道なりに進んでいると、少々離れた先にひと際緑濃く生い茂る木々と、茂みに同化しかけていると錯覚しそうな濃い緑のゲートをが見えてきた。

 

「よし、連中の基地が見えてきやがったぜ」

 

 運転手を買って出たゼロが、運転席内のスコープから確認できる道先の景色を見て呟いた。

 同じ光景がエックスのガンナーシート側のモニターにも表示されるが、たった500m先に巧妙にカモフラージュされた出入口らしきゲートを確認する。

 落っこちた兵士の証言と、さっき蹴散らした警備兵の存在から『ヤァヌス』の秘密基地なのは間違いないだろうが、敵にこちらの存在を警戒されている以上、このまま中に入った途端激戦になるのは間違いないだろう。

 

「どうする? あそこのゲートにも一発叩きこんで怯ませるか?」

「やるならもう少し接近してからだ。 なるだけ砲撃直後に突入した方が攪乱できるからな」

 

 再び射撃体勢に入るエックスに対し、できるだけ引き付けて射撃を行って欲しいとゼロは待ったをかける。

 

「そうだな……それに奴らだって突入を見越して待ち伏せしているかもしれない。 単発じゃなく3点バーストに切り替えるか」

<了解。 主砲の射撃モードを切り替えます>

 

 エックスの言葉に反応するように、戦車のスピーカーから聞きなれない女性らしき高い声が聞こえてくる。

 それはこの戦車に搭載されているAIの音声ガイダンスによるものだ。 どうやら新型の戦車と言う事もあって、旧機種からの機種転換訓練の手間を極力少なくする目的なのだろう。

 機内に乗り込んでから間もなく、この戦車の仕様と音声入力に対応している旨をAIから伝えられ、エックス達は実にスムーズに乗った事のない戦車を操る事が出来ていた。

 

 して、破壊対象であるゲートに接近していくが、検問で起きた爆音に対し基地の周辺には依然何の動きもない。

 エックスの予想通りなら、恐らくは待ち伏せをしているのだろうが、どの道正面から強行突破を仕掛けるなら同じ事であった。

 ゼロはお構いなしにアクセルペダルを踏み込み戦車の速度を上げる。 エンジンの唸りと地面を踏みしめるキャタピラの振動が激しくなり、鉄の野獣と化して『ヤァヌス』の秘密基地に飛び込まんとする。

 残り300m。

 

「そろそろだエックス、さっきより近い25m以内で叩きこんでやれ」

「任せてくれ」

 

 残り200m。

 

「アクセルもそろそろ備えてくれ。 一気に仕掛けるぞ」

「OKEY」

 

 残り100m。

 

「もう少し……もう少し引き付けろ……」

 

 残り25m。

 

「今だ!」

 

 エックスは照準のど真ん中――――『ヤァヌス』の秘密の入場門めがけ戦車砲を、リロード時間と引き換えに3発速射!

 実弾ではない、高圧縮の粒子砲によるエネルギーが入場門を破壊し、間髪入れずにやってきた残り2発が破壊されたゲートを潜り抜け、ワンテンポ後に爆発音と『ヤァヌス』の戦闘員らしき誰かの悲鳴が聞こえてくる。

 

 そしてエックス達もまた壊れたゲートをキャタピラで踏みつぶし――――

 

「行くぜ!!」

「了解!!」

「よし! そろそろ僕の出番だね!」

 

――――突入!

 

 混乱を極める秘密基地の敷地の中に踏み込むと、アクセルは上部ハッチを開き身を乗り出した!

 

 破砕したゲートと土埃の仄暗いベールに包まれた辺りには、真正面には燃え盛る敵陣に熱でひしゃげた機関銃と辺り一面にぶちまけられた土嚢が見て取れ、これが戦車の放った2~3発目の砲撃によって壊れたバリケードである事が窺えた。

 そして周囲には、突入に備えて待ち伏せしていた戦闘員らしき人員が、どうやら立て続けに砲撃を速射されるとは思わなかったのだろう。 ただ爆音と衝撃に身をひるませているだけだった。

 

「悪いけどアンタ等に容赦はしないよ……そんじゃ、ボチボチ行くよ!」

 

 アクセルは獰猛な笑みを浮かべながら機関銃に手をかけ、抵抗もままならない哀れな戦闘員に対しその銃口を向けた――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーんもう! 何かドンパチ始まっちゃったよぉ!」

 

 建物の外から聞こえてくる、工事現場の音に聞こえなくもない銃撃と爆発音による地響きは、取調室の中においても天井から零れる埃として伝わってきた。

 

「僕だって悪者やっつけに行きたいのになぁ……おじいちゃん喋ってくれないからまだこの部屋から出られないし……」

 

 取調室の出入り口に向き合い、地面に倒れたままのホタルニクスに背を向けたマシュラームが、激しい戦闘が繰り広げられているであろう外の様子を名残惜しそうに呟いた。

 その一方でホタルニクスは茫然とした目つきで『それ』を眺めていた。 何度もマシュラームが熱湯を注ぎ入れ、今は地面に横たわるその箱を。

 

 

 プラスチック製の透明な飼育箱の中……熱湯にまみれて横たわり、足を小刻みに動かし続けるゲンジボタル達の無残な死体を。

 

「(儂が……儂が娘同然に特にかわいがって育てていたリグルちゃん(♀)と夫のナイトくん(♂)、そして数多くのホタル達をよくも……)」

 

 箱の中身はホタルニクス博士が育てていたゲンジボタル達だった。

 ホタルの飼育……それも自分が望む季節に成虫に羽化させる無理難題を、実の家族同様の愛情と培った科学の知識を惜しみなく注ぎ続けて実現し、遂には交尾を行ってタマゴを残すであろう段階まで迫っていた筈だった。

 それを憎きマシュラーム(キノコ野郎)の一方的な断罪で、ゲンジホタル達は熱湯を浴びせられ皆殺しの憂い目にあい、ホタルニクスのささやかな夢はいとも簡単に奪われてしまった。

 

「(許さん……よくも儂の可愛い娘夫婦達を虫けら同然に殺してくれたな!?)」

 

 煮えくり返る腸、沸々とこみ上げる殺意の波動、ホタルニクス博士はただ憎悪する。

 その怒りとくれば、半年前にとある赤と青のイレギュラーに発表会の場を穢され、自身も勢い余ってきんた〇を開示してしまった時にさえ匹敵する。

 

「(絶対に許さんぞ……!! むうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!)」

 

 ホタルニクスは全ての激情を両手の拘束に注ぎ込み、仕込みの武器を封印する手錠を破壊せんとする。

 彼もレプリロイドとは言え戦闘タイプではなく、荒くれ物のイレギュラーを拘束する為の手錠を外す事は叶わない筈だった。

 

 しかし彼の胸に燃え上がる怒りの炎はホタルニクスの体の構造を上回っていた。 なんとホタルニクスの力技を前に、手錠に亀裂が入り始めたのだ!

 

「ぬうおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」

 

 ホタルニクスの唸り声にひびの入る金属の音。 それはもったいなさそうに無い口で指を咥えるマシュラームに気付かれるには十分な音量だった。

 

「ちょっとおじいちゃん、さっきからうるさ――――」

「ぬうんッ!!」

 

 マシュラームに振り向かれようが知った事でない。 ホタルニクスは文字通り強引に手錠をねじ切った!!

 床に零れ落ちる手錠の破片、老体の限界を超えた力技にマシュラームもたじろいた!

 

「う、うそ!! 手錠をねじ切――――」

「これでも食らわんかクソガキめがあああああああああああああッ!!!!」

 

 怯んだマシュラームに間髪入れずにホタルニクスから放たれるは、突き出した両手からの閃光! 

 彼の得物たる『ウィルレーザー』だ! 燈色の光がマシュラームに迫り――――

 

「おっと!」

 

――――特に何事もなく、胴体を傾けてあっさりと躱された。

 

 室内と言う至近距離にならざるをえないシチュエーションにも拘らず、マシュラームは静止したままの残像が残るくらいに、高い敏捷性を見せつけて容易く回避してしまった。

 

「は? あ……?」

「ふぅ……びっくりした」

 

 胸を撫で下ろし安堵するマシュラームに対し、勇んで放ったレーザーをいとも簡単に避けられ、目を点にして硬直するホタルニクス。 ともすれば鼻水すら垂らしそうな間抜けな声を上げて。

 光学技術を極めた彼らしい武器だが欠点もあった。 ……弾速が致命的に遅いのだ。

 言うなら普通の人間がジョギングする速さと同程度で、機敏なマシュラームを相手にしては容易に見切られてしまう程であった。

 ゆっくりと飛ばせるレーザーは技術的には凄いのだが、いかんせん土壇場で命中させられないのでは全く意味がなかった。

 

 

「な、なんじゃそりゃ……当たらんのじゃ意味がないわい」

 

 千載一遇のチャンスを不意にしてしまったショックから、ホタルニクスは尻餅をついてへたり込んでしまった。

 そんな脱力するホタルニクスをマシュラームは見逃すはずもなく、未だ湯気を上げ続けるヤカンを再び握りしめ、目を輝かせて彼に歩み寄る。

 それは無邪気に弱きものをなぶり殺しにするような、無慈悲で残忍な黒い輝き――――。

 

「へへん! 正義の味方が悪者の不意打ちにやられる訳ないからね!」

「よ、よせ……やめろ! 何をする!!」

 

 迫り来るマシュラームに、ホタルニクスは制止を促す様に片手を突き出しながら、へたり込んだまま地面を蹴って後ずさりする。

 その際にホタル達の入っていたケースを蹴って部屋の隅に追いやってしまうが、マシュラームから逃れる事に精一杯で気遣う余地はない。

 必死で危機から逃れようとするホタルニクスだったが、それはあっさりと終わりを迎えた。 背中に硬いものが当たり、振り返るとそこは部屋の隅だった。

 

 ホタルニクスは自らの退路を断ってしまった。 マシュラームは追いつめたホタルニクスへ、ヤカンを突き出し注ぎ口を傾けた。

 

「ズルい手を使うような悪者はやっつけてやる!!」

「や、やめろおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 注ぎ口から未だ熱を失わぬ悪魔の液体が、身を庇うホタルニクスに容赦なく降り注ぐ。

 

「ぎゃあああああああああああ!!!! アツぅ!! アツぅッ!!」

 

 人間なら大火傷は免れぬ熱量。立ち上る湯気を掻き分けるように苦痛に踊るホタルニクス。 マシュラームは『悪党を懲らしめた』悦びに笑う。

 それはとても満足気で独善に満ちた笑いだった。

 

「へっへーん! レプリロイドが熱湯ぐらいで火傷する訳ないでしょ? でもまあ、これでもう不意打ちなんて卑怯なこと考えないよね!」

 

 這いつくばり地面をのたうち回るホタルニクスを前に、マシュラームは空になったヤカンを投げ捨てて言い放つ。 ゲーム感覚で熱湯を浴びせかけるその残忍さは、楽しげに冷酷なセリフを吐く行動に現れていると言えよう。

 

 ――そんな時であった。 マシュラームの背後に位置する反対側の部屋の隅から光が差し込んだ。

 逆光に気付いたマシュラームが振り返った先にあったそれは、今しがた後ずさりした際にホタルニクスが蹴り飛ばしたホタルの飼育箱だった。

 見ると飼育箱は先程マシュラームが全滅させた時と遜色ない、淡い燈色の光を放っていた。

 

 マシュラームは怪訝な眼差しを送りながら箱に近づいた。 緑色に塗られた底面がこちらに向けられており、少し離れた所からでは中の様子を窺う事は出来ない。

 

「おっかしいな……ホタルは全部熱湯かけちゃったのに」

 

 ホタルが全滅したにも拘らず光る箱を拾い中を覗き見た。 ホタルニクスは苦しみのたうち回りながらもその瞬間を見逃さなかった。

 

「あれれ? ホタルにしてはすごく大きい――――」

 

 マシュラームが疑問の言葉を全て口にする事はなかった。

 彼が仰ぐように飼育箱を両手で掲げたその瞬間、中に入っていた燈色に輝くホタルが突如炸裂し、マシュラームの眉間を貫いたのだ。

 マシュラームは一瞬身を震わせ、弾けるように突き刺さった光は斜めに体を貫通した後床に突き刺さり、眉間と地面に風穴を開けては焦げ臭い煙が立ち上る。

 

 しばしの硬直の後に目の焦点がズレて、全身の力が消え失せたように卒倒するお化けキノコ。 ホタルニクスはしてやったりと言わんばかりにほくそ笑む。

 

 弾速が遅い『ウィルレーザー』であるが、その遅さを補うメリットがたった1つ存在する。

 このレーザーは発射した主の意思に沿って、自在に弾道を曲げる事が可能と言う事である。 ホタルニクスにしてみても、恐らくは戦闘要員であると踏んでいたマシュラームに、最初から自身の攻撃がまともに命中するとは思っていなかった。

 だから馬鹿正直な振りをしてレーザーを一直線にマシュラームを狙い、回避を見越した上で背後に回ったレーザーを滞空。 後ずさりの際に飼育箱を蹴ったその先で中にレーザーを誘導する。

 後はケースが融解しない程度に光を放ちながら、気を取られて箱を覗き見たマシュラームを回避できない至近距離から狙撃する。

 

 狙いは見事に成功。 怒りの中でも決して判断を見誤らない冷静さは、天才かつ老獪なホタルニクスならではのやり方だろう。

 

「ひ、卑怯だぞ……正義の味方を騙すなんて、やっぱり……わる……も……の……」

 

 地に伏せるマシュラームの苦しげな辞世の句。 死に瀕してもなお身勝手なヒーローごっこに拘る彼を、ホタルニクスはおぼつかない足取りで立ち上がりながらながら一言。

 

「スマンな。 儂はごっこ遊びなら悪役(ヴィラン)のが好きなんじゃよ」

 

 殺されたホタルの恨みを晴らしたような、勝ち誇った不敵な笑みを浮かべると、マシュラームは一言も言い返す事もなく機能停止した。

 ホタルニクスは弱弱しい足取りで、散らばった部屋の中から落ちていた適当なビニール袋を掴み取る。 そして死んでしまったホタル達を丁寧にしまい込む。 一生懸命に育てていたホタルの死骸をこのまま置き去りにするのは忍びなかったからだ。

 感傷に浸りそうになるが、外からは未だ激戦が繰り広げられているのだろう。 激しい銃撃と爆発の音が鳴り響く中、気持ちを切り替えるようにホタルニクスは袋を腰に下げる。

 

「(後で供養してやるから今はガマンしておくれ。 儂はやらなければならぬ事がある)」

 

 マックは言っていた、既に衛星を操る手段は手に入れていると。 ならばかつての科学者仲間達が捕らえられていると知り、悪漢と化した男に『きんた〇』を握らせたまま、開発者である自分一人だけ逃げ出す事は許されない。

 ホタルニクスは今からでも衛星から『ヤァヌス』を締め出しに行くつもりだった。 最悪の場合は自爆させることになってでも、敵の手に渡ったままにしておくつもりは毛頭ない。

 恐らくはイレギュラーハンターなのだろう、この状況下でどこまで自分で動けるかは可能かは分からないが、彼らの強襲で混乱している今がチャンスだ。 

 

 ホタルニクスは仲間を助ける為、そして共に衛星を奪還する為部屋の扉のノブに手をかけた。

 

 

 




 改めてゲーム画面見なおしたら、尻尾から出るのは極太レーザーで『ウィルレーザー』は普通に両手から出しているのを確認しました。
 なので以前の投稿分も合わせて訂正して、この場でお詫び申し上げます。
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