そのうちエタル。きっと。
日本。とある日の夜。一人の青年が我が家の自室で本を読んでいる。読んでいる本は『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。『ダンまち』と訳されるライトノベルというものだ。
「…………」
1ページまた1ページとめくり最後の一文を読み本を閉じて床に置く。
このダンまちは、簡単に言えば英雄になりたい主人公の少年が冒険をする話。
「冒険……」
部屋の電気を消し、ベッドの上で真っ暗な天井を眺めながら青年が呟く。
冒険。確率で選ぶようになり必然を欲する、おおよそが数字で決まる今の世の中では希少となったモノ。一か八かの不安定なものより確かな答えと明確な数字が全ての今の世界じゃ必要の無いモノ。
冒険。争いと博打を極力避けて危険を省き友と味方を増やして少しでも良い役を得る為努力をしてきた彼には無縁のもの。
「───すこし、やって…みたい、な」
そしめ青年は眠りについた。
───青年は望んだ。日常と異なる世界を、未知に挑み、自分の想いに従う冒険を。ならばその望み、叶えよう。
君に与えよう、『冒険』を───。
───ラキア王国。大陸西部に位置する君主制国家。被治者の数は六十万を超すと言われ、王都には巨大な王城と城下町が存在する緑豊かで肥沃な大地を有するこの国は、戦争の暗黒面、破壊と殺戮の象徴たる戦いの神、本来国王がいるこの国は、王ではなく軍神アレスが
この国の国王マルティヌスはアレスを深く盲信しておりアレスの言うことをなんでも聞く愚王だった。
そんな
ラキア王国の王子の誕生だ。
「ふふふ、マリウス」
白のキトンに身を包み黄金のネックレスとティアラを身に付けた美しき女性、ラキア王国の王妃が我が子に声をかける。艶やかな蜂蜜色の髪のたいへん愛らしい顔の幼子がそれに反応して手に持つ四足歩行の動物を模した木彫りの玩具を離し駆け寄る。彼こそラキア王国王子マリウス・ウィクトリクス・ラキア。
四歳の幼児でありながらその美しさアレスが如く、否、アレスとは真逆の、───
その目。その鼻。その口。そしてどこか『男』 を感じさせない表情全てが幻想的な雪のような儚い美しさを表現していた。
王妃は呼ばれて駆け寄るマリウスを抱き上げて微笑みかける。
「───嗚呼、私の私の
王子マリウスは己の頭を撫でる優しい瞳の、
マリウスへと至る流れの中で記憶は色褪せ想いを失い記録と知識と成り下がってしまったが彼の内に残っていた。
彼はマリウス。ラキアの王子マリウス
もし最後まで続くのなら20話くらいで終わらせたい