×月◎日 青々とした曇り
ただ今臨海学校初日を満喫中。だが、衝撃の事実が発覚している。
……やべえ、つまらん。
もういいよ。認めるよ。俺には更識しか、まともな友達がいないよ。
その更識がここに来てないんだよ。要するに、気軽に話せる奴が1人もいない状態で臨海学校来てるんだよ。
どんな地獄だこれ。勘弁してくれ。
いっそ俺も臨海学校休んで、更識と一緒に学校でIS組み立てやってれば良かった。
絶対その方が楽しいって。最近は結構会話も弾むようになってきたし。
今からでも帰れないだろうか。タイミングよく目の前を通りかかった山田先生に聞いてみる。
あ、そうですか無理ですか。じゃあいいです、諦めます。
海岸に佇みながら、海を眺めて時間潰すことにした。
けれども5分でダウン。考えてみたら海来るの初めてで、しかも俺って潮風苦手らしい。
具合悪くなりそうだったので、夕食と入浴を済ませたらすぐに寝ようとした。
ちなみに旅館の部屋だが、何故か山田先生と同室だ。
……この人寝言が多いんだけど。気になって寝れやしない。
そして更識の毎晩奏でるキーボードのカタカタ音が、正直恋しい。ここのところあれが睡眠導入剤代わりになっていたと言うのに。
×月♪日 曇りってことにしといて
全然眠れなかった。流石に慣れないベッドと、山田先生のオールナイト寝言のダブルパンチはキツイ。
今夜は先生が寝付いたら、口をタオルか何かで塞いでおこう。
さあ、ともあれ今日はISパッケージの稼動試験だ。
更識と一緒にマシンセッティングだのやってた影響か、最近ISいじるのが得意になってきた。
俺達のグループは『ラファール・リヴァイブ』か。ここのところ打鉄がメインだったからな、なんか新鮮だ。
俺が黙々と作業していたら、後ろの方で色々専用機持ちどもが喚ぐ声が聞こえてきた。
きっと十中八九面倒ごとだから気にしないでおく。こちとらISのセッティングしながらスマホ叩いてるから忙しいのだ。
どっちかに絞ればいいとか周りは思っているだろうが、俺とスマホは一心同体。
これがないと日記付けられないんだから、仕方ない。
俺の日記スピリッツ舐めるな。
そしていざ稼動試験を開始しようとしたら、なんか中止になった。
しかも旅館に戻って自室待機してろとのこと。許可なく外に出たら拘束とか、どんだけ。
まー文句言ってもしょうがないので、大人しく部屋へと戻る。
やることがない。外はなんだか慌しいし、山田先生居ないから実質1人で超ヒマ。
もうホントに暇でアレだったから、更識にメールする。
組立作業と平行して返信してきた。彼女やっぱり只者じゃないと思う。
×月凸日 やる気を削がれるような曇り
やっと学園に帰れる、この臨海学校は大したこともしてないのにやたら気疲れしたよ。
だが結局のところ、昨日は一体何があったのか。
極秘事項らしく、知っているのは教員方と専用機持ちの連中だけ。
ついでに織斑が、見知らぬ金髪の女性と話していた。
頬にキスとかされてる。またフラグでも立てたか、懲りない奴だ。
怒り心頭な女生徒5人に殺されても知らないぞ。
帰りの道中は、ずっとバスの中で眠っていた。
……にしても参ったな。更識へのお土産に、今回の稼動試験データでも持って行きたかったんだが。
いやしかし、中止になったし。しょうがない。
×月凹日 雨
今日から夏休みに入る。
学園長に呼び出された。俺に話があるらしい。
訝しげに思いながらも個室へ招かれ、話と言うのを聞く。
……少々、厄介な事態になってしまった。