IS 彼の日記帳   作:カーテンコール

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 ☆月¥日 オラに曇りを分けてくれー

 

 

 会長さんが、今日辺り何か企んでる気がする。

 長くはない付き合いだが、その程度は分かる位に密度の濃い付き合いはしているつもりだ。

 

 案の定だった。

 学園祭の集会だかで、『投票1位を獲得した催し物の部活には、織斑を入部させる』なんて爆弾発言。

 ホール内は音響兵器と化してたよ。耳栓用意の俺は平気だったけど。

 あ、俺は既に生徒会役員(役職は書記)だし。俺欲しがる物好きもそう居ないと思うけど。

 

 そして教室では、クラスの出し物を何にするかで白熱議論。

 だが俺はそんなものに参加するタイプじゃないし、何より今は考え事で忙しいのだ。

 

 おおう、簪の武装どうしよう。

 まずアレだ。マルチ・ロックオン・ミサイルは現状不可能だ。ロックオンシステムの基盤さえ出来てないのに、1から作るなんて無理。

 応用できるシステムがあればまだ話は別だが、当面は単一ロックシステムを使うしかない。

 それで一応武器としては使えるから、妥協して貰うしか。

 

 あと、荷電粒子砲ね。こっちはまだ望みがあるけど、やはりミサイル同様データが足りない。

 だが荷電粒子砲なんて学園の武器庫に置いてないし、どうデータを取れと。

 大体そんなもんどこに行けば……あ、あったわ。そうだ、織斑の専用機に積んであった。

 

 仕方ない、今度こっそり模擬戦のデータでも記録してパチっておくか。

 簪にはナイショ。あの子どうしてか織斑のこと大ッ嫌いなんだよ。

 

 放課後、アリーナで簪と飛行テストをする。

 うむ、駆動系はほぼパーフェクト。装甲も問題なし、システムも特にエラーはない。

 ……武装? 何それおいしいの? ブレード以外全然使えないけど、何か?

 

 

 

 

 

 ☆月?日 曇れ、いっそ腐れ

 

 

 ミッションスタートである。

 つっても、織斑のとこに行って荷電粒子砲のデータくれと頼みに行くだけだが。

 しかし簪に見付かると後が大変なので、出来るだけ目撃者を減らしたいのだ。

 

 ささっと隠れながら、1025号室前まで来る。

 ……なんか中が騒がしい。織斑って今は1人部屋の筈だったと思うけど、もしかして独り言が趣味?

 

 不審に思ってドアを開けたら、アレだった。

 織斑と、水着にエプロン姿の会長さんが一緒だった。

 

 取り敢えずドアを閉めておく。

 なんとも想定外。よもや織斑と会長さんがアレな関係で、織斑が恋人にアレな格好を要求する変態だったとは。

 今日のことは、俺の胸にだけそっと仕舞っておこう。

 つーか忘れたい。タイムマシンで過去に行って、この部屋の扉を開ける前の俺を説得して今し方の出来事を無かったことにしたい。

 

 や、もういいや。簪に慰めて貰おう。

 弱音を吐くのは嫌だが、そんなこと言ってられん。下手すれば泣きそうだ。

 てか、あの子になんて言えばいいんだろう。

 もし事実をありのまま伝えたら、ただでさえ嫌ってる織斑への嫌悪がメーター振り切るかも知れん。

 

 あーうん、取り敢えず。

 初恋が実らないってのは、本当だったらしい。

 

 

 

 

 

 ☆月~日 もしかして曇りですかぁ~!? YESYESYESYESYES!

 

 

 現在会長さんから逃走中。

 昨日のことを説明したいと言うのだが、そんなもん聞きたくない。

 何が悲しくて、初恋の人と他の男のアブノーマルなプレイを仔細に渡り聞かねばならないのか。

 

 あの人の運動神経は常人離れしているが、それでも単純な足なら男女の身体能力差で俺の方が速い。

 最後はダンボールの中に隠れてやり過ごした。こういう古典的な手の方が有効な場合もある。

 

 少しばかり凹みつつ、人気のない廊下を歩く。

 ……ん、まあ、いつからあの人のことが好きだったかと言えば、そりゃ最初からだった訳だが。

 自覚したのはつい最近だけどね。あの日助けて貰った時に、「あ、俺この人のこと好きだ」ってな具合。

 にも拘らず、あのようなことに。

 こんなことなら素直に告って玉砕してた方が、まだ良かった。

 

 最終的にガチで俺をとっ捕まえにきた会長さんの仕掛けた罠に引っかかり、ぐるぐる巻きに縛られて確保される。

 こうなってしまえばもう、腹を括るしかない。

 

 全部誤解だった。

 今度は別の意味でこの人の前から消えてしまいたい。

 

 通りがかった簪に、縄を解いてくれと助けを求める。

 ソッチ系のプレイと誤解された。俺はマゾじゃないんだが。

 目に涙を溜めて駆け出す簪の姿に、今度は俺達2人が慌てて彼女を追いかける。

 簪、実は会長さんより足が速かった。

 

 何とか誤解は解けたが……無意味に走ってばかりの1日だった。

 ……疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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