IS 彼の日記帳   作:カーテンコール

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 ♪月?日 空を曇りにする程度の能力

 

 

 はて。

 ブルーレイに保存しておいた、ミーの戦闘映像記録が見当たらない。

 レナ・ブルームとイーリス・コーリングのはちゃんと置いてあるのに、何故?

 

 簪に聞いてみた。

 首を傾げて知らないと言われた。

 どこ行ったんだ……もうちょいで彼女の動きを盗めそうだったんだが。

 

 スペイン代表の動きは大変参考になる。

 何せ『ステッピング・エスケイプ』やその他近接技術は、織斑先生にも引けを取らないからな。

 あの人に、「雪片が無ければ確実に勝てるかどうか分からん」と言わせるぐらいの使い手だし。

 流石は第2回モンド・グロッソの総合3位にして格闘部門『ヴァルキリー』。パない。 

 

 マジで1回直に戦う姿を見てみたいと思ったが、揃って面識があるらしい織斑先生と会長さんは微妙な顔をしてた。

 そして口を揃えて、「会わない方がいい」と。

 ……なんで?

 

 あとディスクだが、会長さんが持って行ったらしい。

 ミーの近接技術は大変参考になる為、織斑にも見せるのだと。

 

 や、別にいいけど……せめてひとこと言ってくれ。

 まさか、まだ誤解したままなんじゃ……。

 

 

 

 

 

 ♪月◎日 曇りの守護者

 

 

 …………ミーの、ミーのブルーレイが。

 スペイン代表の技術が収められた映像記録媒体が、粉々に……。

 

 織斑が戦闘記録を見ていたら、サムライガールズの数名が部屋に来たとのことで。

 何度も言うようだがスペイン代表は大変妖艶な美女、それも外見的に少々過激な専用機を使っていて。

 あらぬ誤解を受けた奴さん、相当ボコボコにされたらしく。

 ついでとばかりに、ディスクも破壊されたのだ。

 

 なんでやねん。

 AV観てたならまだしも、戦闘記録だろうが。

 どんだけあいつ等嫉妬深いんだよ、流石に呆れるよ。

 そして俺のディスク……また焼き直さないと。

 

 特に悪くないのに、織斑が必死に謝ってきた。

 いや、別にいいんだけど。それよりさっさと誤解でも解いて来いよ。

 俺でさえひと晩かかったんだぞ。あの優しくて物分りのいい簪と会長さん相手に、ひと晩。

 お前の場合三日三晩かけても足りないんじゃないだろうか。

 

 あと、また例の出落ちに絡まれた。

 お前が出てくると話がややこしくなるって言うのが分からんのか。

 ミッドチルダに帰れ、露出狂。

 黒制服ミニスカノースリーブって、何に対して気合を入れているのだ。

 あとの2人まで集まってきたらどうする気だ、帰れ帰れ。

 

 

 

 

 

 ♪日!日 曇れ、さもなくば死ね

 

 

 寄って来たよ。

 もうヤダ、俺突っ込み担当じゃないのよ。

 ミッドチルダに帰れ。

 ソウル・ソサエティに帰れ。

 紅世に帰れ、お前ら。

 

 出落ち3人も相手にしてられないので、逃げる。

 もう2度と会わないことを祈ろう。

 

 

 

 

 

 ♪月#日 私の曇天力は53万です

 

 

 他2名はともかく、テスタロッサを振り切れねえ。

 だってあいつ、更に加速するとか言って制服脱ごうとするんだもの。

 服を脱ぐことで空気抵抗云々と説明されたが、こっちとしてはたまったものではない。

 簪や会長さんに誤解される、止めろ。

 

 仕方ないので、この色んな意味で危険な出落ちと第6アリーナで合同訓練などすることに。

 思えば7組の奴となんて初めてだ。授業だと、基本2組とだし。

 

 …………速い。

 機体のセッティングとか、スラスターの使い方とか。

 そういった理屈以前に速い。

 

 機動技術で言えば俺の方が当然上だが、その中の更に一点、スピードだけに限定すれば俺と殆ど遜色ない。

 エアリアル・ワルツこそ見せていないが、単純な機動だけなら会長さん以上の俺と互角。

 成程、専用機持ち共をガン無視して俺に最速勝負の宣戦布告をしてくるだけはある。

 

 絵面的に作品の関係でマズイ気もするけど、こいつとの訓練は会長さんや山田先生とは別の意味で実になる。

 特に今俺が必要としている機動技術の応用力や対応力、ルート選択等の即時判断などが養われる。

 

 気付けば互いにスラスターのエネルギーが尽きるまで飛び回っていた。

 ……出落ちの癖にやるじゃないか。

 要注意人物にマルをつけておいたのは、正解だった。

 

 負けられん。

 こちとら機動はたったひとつの自慢なんだ。

 それに俺にはまだまだ伸び代がある。

 向こうも同じことが言えるが、絶対負けん。

 

 ま、出落ち呼ばわりは止めることにしよう。

 いざとなったらタグを追加する覚悟で、俺の好敵手と認めることにした。

 

 互いに握手を交わす。

 簪に見られて、少しむくれられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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