お知らせをば。
ぶっちゃけそろそろ本編終わります。
なので以降はIFストーリーとかを展開してみたりしようかと。
リクエストあったらどうぞ。頑張ってみます。
◎月◇日 曇りがお前の、ゴールだ
分かってた。
簪が俺を『そういう目』で見ていることぐらい、分かってた。
織斑じゃあるまいし。素直な好意を向けてくれる子の想いぐらい、分かるさ。
でもそれは、簪の方だって同じ。
俺が会長さんを好きなことぐらい、彼女はお見通しだった筈。
なのにああして俺に告白してきたのは、俺の事情が変わったからだ。
2学期が終わったら、俺はモンド・グロッソに備えてロシアに帰る。
開催は夏だから、来年の2学期まで学園を休学するのだ。
同じく国家代表の会長さんは曲がりなりにも生徒会長だからもうしばらく学園に残るが、それでも開催半年前になれば俺同様国での強化合宿に入る予定。
つまり、当分会えなくなる。
半月ロシアに行ってただけであれだけ寂しがってた簪だ。少なくとも1年近く他国へ行く俺に、自分を刻んでおきたかったんだと思う。
俺が簪の立場なら、きっと同じことをする。
それに自分を誤魔化したってしょうがない、認めるさ。
俺は簪のことが好きだ。お世辞にも対人関係を築くのが上手くない俺の、唯一の親友だ。
言葉を余り口に出さない俺の意思を理解してくれるし、何より彼女が居なければ今の俺は有り得ない。
最初に俺に手を差し出してくれたのは……簪だ。
『お姉ちゃんの次でもいい』
彼女はそうも言った。2番目でもいい、と。
だが俺には、そんなことできない。
2人も3人も俺は人を愛せない。
簪や山田先生のことは好きさ。大好きだ。
けれど好きと愛は違う。
俺が愛してるのは。
心の底から好きだと言える人は、たった1人。
……なの、だが。
逃げる会長さんを追う俺。
いつだかとは逆のシチュエーション。
あの人に、簪から告白されるシーンをばっちり聞かれてしまっていた。
いや、そもそも最近彼女は気付けば近くに居た気がするから、それも必然だったのだと思う。
ともかく俺は、あの人に伝えたいことがあると言うのに。
けれど会長さんは聞きたくないと言わんばかりに背を向けて、俺から逃げる。
足は俺の方が早い筈だが、それだって多少の差。
何よりあの人の逃げ方が巧みで、中々追い付けない。
けれど余程動揺しているのか、見失いもしない。
多分ここで会長さんに追い付けなかったら、俺は一生後悔する。
だから絶対に逃がさない。なんとしても追い付く。
何度もあの人を呼びかけた。
けれど、会長さんは止まってくれない。
互いの距離はジリジリと縮まってはいるけれど、それでもこのままじゃ埒が明かない。
ッ――ああ、もう、面倒くさい!
後で怒られるだろうが、そんなもの知ったことか!!
――ガンッ!
常に手にしていたスマホを、邪魔そうに投げ捨てて。
隆景は、ノーヴァを部分展開させた。
いつの間にかお気に入り数4000越え、累計ランキング15位。
あっれー。