4月⇔日 曇ってるぞコンチクショー
授業の難しさにも大分馴染んできた。
サムライガールとお蝶夫人が織斑を挟んで喧嘩する姿も、最早クラスの名物である。
俺はと言うと、相も変わらず浮きも沈みもしない生活を送っている。
寝不足も解消されたし、ルームメイトの更識との距離感もそれなりに掴めて来た。
要するにアレだ。人馴れしてない子猫か何かに接する気持ちを忘れずに、だ。
接近し過ぎると逃げる。かと言って人馴れしていないから、構わなければ近付いてこない。
その辺を踏まえれば、そこそこ円滑な関係を築けるタイプだった。
問題も一通り解決してきたところで、ひとつ気になることが。
……更識って、何で毎晩毎晩カタカタキーボード叩いてるんだろうか。
4月$日 世紀末的に曇り
最近、どうにも視線を感じる。
それも織斑に向けられているような、興味と好奇の入り混じったようなものではなく、薄らと殺気さえ感じるような冷たい視線だ。
無論俺は人様に言えないような悪事など働いたことはないし、恨みを買うようなこともしていない。
だがその視線は決して消えることがなく、気付けばついて回っていた。
恐ろしいが、相談できる相手がいない。
まさかここに来て交友関係の狭さが災いするとは、迂闊だった。
いつ襲われてもいいように、ジャンプを懐に仕込んでおく。
更識が不思議そうな目で俺を見ていたが、こっちも真剣なのである。
4月※日 絶妙な曇り
日曜日。更識が整備室でISの組み上げをすると言うので、暇だから付いて行った。
しかし……まさかあの連日のカタカタは、ISのプログラム作成だったとは。
おまけに彼女、日本の代表候補生だったらしい。
お蝶夫人にボコられた際の記憶が蘇る。めっちゃ強かった。
大人しそうな面して、あれと同等クラスの強さなのだろうか。
今度から更識さんと呼んでおこう。
それにしても、1度に3つも4つもキーボードを操る姿は、最早人外のそれと言っていい。
なんか良く分からんが、自身の専用機が完成予定日未定の状態になってしまったらしく、それで自らの手で組み上げるべく日夜カタカタ三昧とのこと。
いや、立派立派。流石は代表候補生。
そう言ったら、何故か少し不機嫌になった。何故?
整備室の帰りに、また例の視線をキャッチした。
いい加減どうにかしたいものである。
4月▽日 星空が綺麗な曇り
本日は、食堂を一時借り切って織斑のクラス代表就任パーティが開かれた。
何故だか他クラスの生徒も多分に混じっている気がしたが、俺は細かいことなど気にしない。
散々飲み食いして、満足した帰り道。
迷子を見つけたので、事務室まで連れて行った。
名前は一応聞いていたのだが……よく覚えていない。ファンだかフォンだかだった気がする。
更識が根を詰め気味だったので、休憩させる為ホットミルクを差し入れた。
努力家の相手は、中々に大変である。