ゾロさん、あなたを愛してます!!   作:ぞろおし

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どうぞ



逃亡

私の予想通りやはりあのぐるぐる眉毛の黒いスーツの男性、サンジさんを勧誘しているそうです。

そうです、という伝聞系なのは航海しないと決まってから私は再び執筆のために引きこもっていました。

ここ数日ルフィさんがサンジさんを勧誘しているらしいのですが、梨の礫だそうで、バラティエに数泊しているのが現在の状況です。

あまりのなびかなさに私は自分の記憶が本当に正しかったのか自信がもてなくなってます。

 

さて、もうそろそろゾロさんの様子でも見に行きますかね、多分筋トレが始まる時間ですし。

そう思い女子部屋を出て、小腹を満たすためにラウンジへと向かうとナミさんがお茶を作ってました。

 

「あれ、アリス。執筆は終わったの?」

「はい、一段落ついたので休憩にしようかと」

「そう。差し入れにと思って紅茶入れたけど飲む?」

「はい」

 

カップとソーサーが机に置かれる。

砂糖ほしいんですが、ありましたっけ?

まぁ出した方が早いですよね

 

「《角砂糖》《スプーン》」

 

ポトポトと3個角砂糖がカップに入り、ポチャンとスプーンが続いて現れた。

スプーンをかき回して砂糖を溶かす。

ふむ、これくらいでいいですか。口をカップの淵につけ、紅茶を飲む。

あ、ちょっと甘かったですね、角砂糖は2個でよかったかもしれません。

そんなことを考えているとナミさんがジッとこちらを見てることに今気がつきました。

 

「な、なんでしょうか?」

「うらやましいわね」

「何がですか?」

「その能力よ」

 

そういって私のカップに入ったスプーンを取ってまじまじとナミさんが見つめる。

まぁ傍から見る分にはまるで魔法のように思えるのでしょうね。

 

「うらやましいと言われても、私別にこの能力が欲しくて手に入れたわけじゃないんですよね。むしろ欲しくなかったですし」

「そうなの?」

「ええ、五歳の時食べてしまいしてそれ以来カナヅチですよ」

「カナヅチなんてどうでもいいじゃない、金銀財宝、武器、食べ物なんでも自在に出せるんでしょ。プラスマイナスでいったらプラスが圧倒的に勝ってると思うんだけど」

 

そう思いますよね、普通は。

紅茶を一口含み、カップをソーサーに戻す。

 

「そもそも貰ってすぐは全く使えなかったのですよ。知識が必要ですし、五歳には荷が重いです。最初はただ泳げなくなっただけでしたし」

「でも知識さえ詰めればなんでも出せるのでしょ?今は」

「ええ、まぁ生物と海水、海楼石以外はですけどね。ですがそれには呆れるほどの集中力と想像力が必要なんですよ。それも現実を歪めるほどの。無いものをあると思い込むのですよ、常軌を逸したイメージ力が要しますからね、初めて物を出したときは頭痛がしましたよ」

 

そういうと驚いたような顔をするナミさん。

何も言えなくなっているナミさんを尻目に私は再度スプーンを出してみせる。

ため息をつきながら喋る。

 

「家を出てから能力がどんなものかわかって、使えるようになってからもこんなスプーンを出すだけで泣き出すほどの頭痛がしました。大変でしたよ」

 

言外にこんな能力があっても望むかと問う。

ルフィさんじゃありませんし、ナミさんには伝わっているでしょう。

ですが

 

「……私はそれでもその能力が欲しいと思うわ」

 

そういって真剣な表情をするナミさん。

……なぜこんな表情をしているのですかね、彼女をここまで張り詰めた顔にする原因はなんなんでしょうか?

 

私が疑問を口にする前に外が騒がしくなっていました。

 

「どうしたのかしらね、アリス、ルフィとかが何か問題起こしてないか見て来てくれる?ジョニーとヨサクと一緒に船は見ておくから」

「はい、わかりました」

 

ドアを開けて外へ向かう。

閉める直前にナミさんから声をかけられました。

 

「アリス」

「はい?どうしました?ナミさん」

「あなたの書いた小説面白かったわよ」

「そ、そうですか、なら良かったです。面と向かって言われると照れますね」

「ふふ、じゃあ行ってらっしゃい」

 

ドアを閉めて私はバラティエに向かいました。

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

私がバラティエに向かうためにドアを開けて初めて見たのはかなり大きなズタボロのガレオン船がありました。

ここのコックさんたちがやったのでしょうか?

なら途轍もなく強いですね、仲間ならば心強いです。

船を一通り観察した後にバラティエに入りゾロさんの姿を目視する。

標的確認、ロック完了!

 

「ゾロさん!!15時間ぶりですね!!」

「うおっ!!」

 

走り込んで思いきり飛びつく。

がしかし、さすがはゾロさん持ち前の素晴らしい反射神経で見事に躱されてしまいました。

私はすかさず飛び込んだ姿勢から手を床につけて体を回転させて着地する。

ナミさんデザインのワンピースやスカートじゃなくて良かったです。

 

「猿か、あいつは」

「身軽だな、アリス」

 

外野がうるさいが何を言っているかは聞こえません。

なぜなら私の全神経はゾロさんにしか集中してないですから。

なぜか引いたような視線で見つめる鋭い眼つき、きらりと輝く金色のピアス、武士のような雰囲気、男らしく筋肉質な体つき、呼吸のたびに動く胸。

はぁ〜ゾロさんですね、執筆のためにゾロさん絶ちをしていましたので反動で今とても興奮しています。

あぁ、呼吸しているだけでかっこいい……。

 

「えへへへ……っは!そうでした!ゾロさん達騒がしかったようですが、何があったんですか?」

 

そうでした、そうでした。なぜここに来たのか忘れてしまいした。

事情を聞くと、どうやらドン・クリークという東の海で有名な賞金首が料理を要求して来たらしく、それに応えるのか否かで一悶着があったようです。

結果バラティエのオーナー、ゼフさんの一言で料理を上げることが決定し、今度はおそらく攻めてくるであろうドン・クリーク海賊団に対して守るために準備をしていたそうです。

 

「なるほど、なかなか緊迫した状態でしたね」

「真剣な雰囲気はお前の登場で吹き飛んだがな」

 

うるさいですね、ウソップさん。

それはともかく

 

「戦闘でしたら私も一役買いますね、私元々対人戦闘より対艦戦闘の方が得意ですし」

 

にっこりと微笑みました。

にしてもなぜあんなに船はボロボロだったのでしようか?グランドラインからの帰りというならなんらかの天災にでもあったのですかね。

 

コックたちが着々と準備を進めて開戦しました。

数名の海賊たちが乗り込んで来た。

と、同時にドン・クリークの艦隊が爆発した。

突然の出来事て私たちも海賊たちも驚いている。

 

「え……?!」

「何だ!!!」

「?!」

「何が起きたァ!!」

 

あまりの衝撃に海面が大きく揺れてガレオン船が沈んでいく。

波が大きく発生して、バランスをとることすら難しくなる。

 

「ドン・クリーク!!本船は…………!斬られましたァ!!!」

「………んなァ馬鹿な話があるかァ!!!」

 

ドン・クリーク達が激昂している中で私たちは面へと急ぐ。

にしても斬られたと叫んでいましたね、本当でしょうか。まだ火薬の暴発と言われた方が信じられるのですがね?!

そんなことよりも今は!

 

「表の船にナミもヨサクもジョニーも乗ったままだぞ!」

「くそっ!!もう手遅れかもしれないぞ!!」

 

出口に向かって揺れ動く床を駆けて進む。

私たちが表に出るとそこにはもうメリー号の姿はありませんでした。

代わりにヨサクさんとジョニーさんが海に浮かんでいます。

 

「メリー号はどうなったのですか?!ナミさんは!?」

「ヨサク、ジョニー無事か?」

 

ガバガバと2人が泳いで木片に捕まる。

 

「すみません、アニキ……!!ナミの姉貴が宝全部持って逃げちまいましたァア!!!」

「「「な!!何だとォォオオオオ!!!」」」

 

三人の絶叫が揺れる海に響きました。

 

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

二人を海から引き上げて毛布を出して渡す。

話を聞くとナミさんは海賊専門の泥棒を自称して宝と船を盗んで去っていき、その直後に海面が爆発して追いかけることもできなかったらしい。

 

この話をきいてゾロさんとウソップさんは怒っている様子でした。

 

「クソッ!!あの女!!!最近大人しくしてると思ったら油断も隙もねェ!!!」

「この非常事態に輪をかけやがって!!!」

 

そんな2人の様子を見ながら私は最後に会話したナミさんを思い出していた。

どこか寂しげな表情をしていたのですが、やはり彼女には何かあるのでしょう。

2人が激昂して私が思案しているとルフィさんが海を見渡す。

 

「待て!まだ船が見えるぞ!!ゴーイングメリー号だ!!!」

「何っ?!」

 

急いで見渡すと確かに船が見えました。

 

「アリス船出せるか?」

「お時間をいただければこの世界で()()()()をお出しします」

「ゾロ、ウソップ!」

「ほっとけよ、あんな泥棒女」

「でも船は大事だろ」

 

口論を始めるウソップさんとゾロさん。

ですがそんな2人を御構い無しにルフィさんは自分の意見を堂々と述べる。

 

「俺はあいつが航海士じゃなきゃ、嫌だ!!」

「「!!」」

 

そのセリフに吃驚してから納得したような表情を見せるお二方。

そんな様子を見つつ私は詠唱を始める。

 

「小型の船舶にエンジンを搭載したものであり…………」

 

私の記憶を掘り起こして総動員して、言葉を紡ぎ、前世ですら写真でしか見たことのない物を物質化する。

 

「《モーターボート》」

 

海面に波しぶきを立てながらボートが着水する。

 

「安心して乗ってください。すぐに追いつきますよ!!」

 

そう言って私は不敵に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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