~sideアキト〜
「うおぉぉぉぉぉっ!」
僕は今、全力で自転車をこいでいる。悪魔のチラシをポストに入れるためだ。
これは、悪魔の下積みで、部員みんな経験したそうだ。
《ねーねー、もっと早くしないと終わらないよー》
「あ、そうだ。ねぇ、君に名前はないの?雷龍帝って呼びづらいよ」
《うーん、ドラゴンだからねぇ。周りが勝手にいろいろ呼ぶだけで、特に名前はないよん♪》
「じゃあ、僕がつけていい?あ、僕のことは相棒じゃなくてアキトって呼んで」
《アキトォォォ!アキトォォォ!》
そんな全力で呼ばなくても……
うーん、名前か……。一応、女の子だしなぁ。
「雷だから“ヒカリ”はどう?」
《……え?ダサ…。アキト、ネーミングセンスのカケラもないよ。》
うそ!結構自信作だったのになぁ。
《今ので自信作って……。まぁ、アキトが考えてくれたんだし、それでいいよ》
「じゃあ、ヒカリ。改めてよろしくね!」
《うん、よろしく〜》
「よし、名前も決まったことだし、張り切っていきますか!」
《おー、頑張れ!》
—ガッ(自転車が小石につまづく音)
ゴッ(自転車から落ちる音)
プシュー(自転車のタイヤがパンクする音)
《だ、大丈夫?》
「う、うん、平気だよ。悪魔になったおかげで、体が丈夫になったから」
《どーやって、部室にもどるのー?》
あ……。どうしよう。自転車でかなり遠くまで来ちゃったからな……。悪魔は飛べるらしいけど、僕にはまだできないし……。
「とりあえず、部長さんに電話して……」
ーー充電してください
無情に響く機械音。
「歩くしかないよね……?」
《今のアキトにはそれしかないね》
「はぁ、頑張ります」
+ +
「ただいま、戻りましたー」
やっと、部室に帰ることができた。悪魔になったから、体力も上がったけど、やっぱり辛い。
「あら、アキト。遅かったわね。心配したわよ」
「うぅ、すいません」
「あらあら、うふふ。ずいぶんお疲れのようですが大丈夫ですか?」
「自転車がパンクしちゃいまして、歩いて帰ってきたんです。遅くなってすいませんでした」
「電話してくれればよかったのに」
「その、ちょうど良く、電池がなくなっちゃって……」
「まあ、アキトだものね。しょうがないわ。とりあえず、お疲れさま。もう帰っていいわよ」
遅くなったことは許されたけど、なんか複雑……。
「お疲れさまでした」
明日は筋肉痛だなぁ。
+ +
よし、部活に行くか!
お掃除当番で遅くなちゃったけど。イッセー君とアーシアちゃんは先に行った。
今日は、イッセー君がずっと悩んでいるような顔をしていたけど、どうしたんだろう。
旧校舎に入ったところで
《ねーねー、アキト。すごい強い存在を感じるよー》
「部長さんとかじゃなくて?」
《リアスちゃんより遥かに強いよ》
「うーん、何かあったのかなぁ」
ーーうわぁぁぁぁぁ
上からイッセー君の声が聞こえたと思うと
「ふぎゃ!」
僕めがけて降ってきた。
「くそ、ライザーの野郎!」
「…あの、イッセーくん?」
「あれ、アキト。俺の下で何やってんの?」
君が降ってきたんだけど……
「とりあえず、部室にきてくれ!」
「う、うん。わかった」
+ +
「おっ!やっと戻ってきたか。さっきの攻撃も躱せず、吹っ飛んでるようじゃ、俺には一生勝てねぇよ」
「くっ!ライザー」
あのホストみたいな人、だれだろう?部長さんがすごい睨んでるよ。
「じゃあ、リアス。十日後のレーティングゲームで会おう」
レーティングゲーム?なんのことだろう?
「ええ、あなたを吹き飛ばしてあげる!」
「じゃあな!」
炎を出して、消えた。なんだったんだろう?
「私と朱乃はレーティングゲームの対策をたてるから、今日の部活と悪魔稼業はなしよ」
「「「「はい」」」」
え!?この状況を理解できてないの僕だけ?
よくわからないけど帰った方がいいのかな?明日になったら説明してくれるだろうし。
「おつかれさまでしたー」
結局、僕は何をしにきたんだろう……。