ついてない男   作:桜陰

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部長さん、ありがとう

〜sideアキト〜

 

「部長さん、行きます!」

 

Boost!

 

「ええ、いつでも来なさい!」

 

今、僕は部長さんと模擬戦をやっている。朱乃さんに雷の扱いを教えてもらったり、祐斗くんに神器の扱いを教えてもらったので、部長さんの強力な魔力に通じるか確かめたかったからだ。

 

僕は、雷を出し部長さんに放つ。5回倍加したものだ。部長さんはそれを滅びの魔力で相殺した。

 

今度は部長さんから、滅びの魔力が無数に放たれる。

 

どれも小さいけど、威力は大きい。僕は、自分の周りに雷の輪を作って、自分の身を守る。

 

一見、互角に見えるけど、僕は所々怪我をし、息もきれている。部長さんの攻撃を防ぐだけでも全力を出さなければならない。それに対し、部長さんは汗ひとつかいてないし、全力も出してない。

 

《このままじゃ、アキトの体力がもたないよ》

 

わかった。

 

「部長さん!次の攻撃に全力を出します!」

 

できる限り、倍加する。

 

「おりゃゃゃゃ!」

 

「っ!」

 

最大の雷を放つ。予想以上の威力の大きさに僕も部長さんも驚いた。

 

部長さんも大きい魔力の塊を放った。

 

ふたつの攻撃がぶつかり、僕に跳ね返ってきた。

 

部長さんの攻撃のほうが威力が高かったんだろう。

 

逃げる力も残っていない僕は、その攻撃にのまれた。

 

 

    +    +

 

……夢?

 

僕は、荒地に立っていた。

 

目の前には、2匹のドラゴンが戦っている。1匹は雷で攻撃をし、もう1匹は氷で攻撃をしていた。

 

威力は互角。どちらも凄まじい攻撃だ。

 

 

 

そして場面が変わる。

 

今度は、二人の人が立っていた。

 

片方は……僕?

 

もう一人は誰かわからない。知らない女性だ。

 

 

 

また、場面が変わった。

 

今度は、……あれ?この状況って……。

 

「お父さんっ!お母さんっ!お姉ちゃんっ!目を覚ましてっ!死んじゃやだよぉ!」

 

やっぱり。あの時の事故だ。

 

「……うっ!」

 

「お姉ちゃん!?大丈夫!!」

 

「…アキト……無事で…よかっ…た……。が…んばっ……て、生き…て…ね……」

 

「お姉ちゃん?何を言ってるの?ねぇ、目を開けて!!お願いだからぁぁぁ」

 

うわぁぁぁぁぁ!

 

 

 

    +    +

 

〜sideリアス〜

 

やりすぎたかしら……。

 

でも、あれくらいやらないと私が負けてたわ。まさか、あんなに威力があるとは…。アキトの神器は強力ね。

 

今、アキトはベッドで眠っている。アーシアに怪我は治してもらったのだけれど、体力までは回復できない。

 

魔力の方は、朱乃が回復させた。もう修行の方に戻ったけれど。

 

私がやろうと思い、服を脱いでアキトに抱きつき魔力を回復しようとしたら、朱乃がスゴい顔をして止めにはいった。

 

朱乃があんなに焦るなんて初めて見たわ。

 

ふふ、朱乃ったらアキトが好きなのね。

 

私も、このゲームに勝って自由な恋愛がしたいわ。

 

しばらくアキトの頭を撫でていると、

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

アキトが叫んだ。

 

「アキト!?どうしたの?」

 

アキトが起き上がる。

 

私の顔をしばらく見てから、表情が変わった。

 

「お姉ちゃん!!」

 

アキトが抱きついてくる。

 

……え?今、“お姉ちゃん”って言ったわよね?どういうことかしら?

 

 

 

    +    +

 

〜sideアキト〜

 

「アキト!?どうしたの?」

 

この声に目を覚ます。

 

懐かしい声。

 

起き上がると、一人の女性がいた。

 

っ!もしかして……!

 

「お姉ちゃん!!」

 

僕は感動のあまり抱きついた。嬉しくて、嬉しくて!ずっと会いたかった!

 

《アキト!!その人をちゃんと見て!その人はリアスちゃんだよ。アキトのお姉ちゃんじゃない》

 

何を言ってるの?お姉ちゃんは僕の目の前に……あれ?……お姉ちゃんじゃない?

 

じゃあ、一体誰?

 

《リアスちゃんだってば》

 

っ!部長さん!?

 

「アキト?大丈夫?いきなり叫んで――」

 

「ごめんなさい!!」

 

僕は部長さんの言葉を遮って謝った。

 

「そ、その、僕の死んだ姉と間違えちゃって…」

 

お姉ちゃんと部長さん。髪の色はちがうけど、雰囲気とか顔とかソックリだ。なんで今まで気づかなかったんだろう。

 

「死んだ姉?アキトのお姉さん、亡くなったの?」

 

「あっ、はい。その…僕のトラブル体質が原因で、家族全員……。僕のトラブル体質は誕生日になるといつも以上に危険になって……。十歳の誕生日の時に…」

 

それを聞いた部長さんは一瞬悲しそうな顔をする。

 

ギュッ

 

そして僕を抱きしめた。

 

「あなたも辛い過去を抱えていたのね。気づかなくてごめんなさい。アキト、あなたは私の家族よ。私は自分の下僕を家族のように思ってるわ。その中に、もちろんあなたも入っている」

 

…家族。

 

部長さんはそう言ってくれる。こんな僕にたいして。

 

僕は泣くのを我慢することが出来なかった。

 

 

 

    +    +

 

〜sideリアス〜

 

アキトが泣いている。ずっと我慢していたのね。もう我慢しなくていいわ。私たちは家族なのだから。

 

そうだわ。アキトのお姉さんと私は似ているみたいだから――

 

「アキト。私を姉と思っていいわ。似ているんでしょ?代わりにはなれないけれど、二人目の姉ってことで」

 

「え?部長さんが…僕のお姉ちゃん?」

 

うふふ、驚いているわ。

 

「ええ。ダメかしら?」

 

「いえ、ダメなんてとんでもないです。嬉しいです!!そ、その…お姉ちゃんって呼んでもいいですか……?」

 

「ええ。構わないわ」

 

「お、お姉ちゃん」

 

アキトがニコッと笑う。

 

か、可愛い!どうしよう。可愛すぎるわ。

 

弟っていいわね。

 

「あ、あの、怒ってますか?」

 

私が黙ってることに不審に思ったのか聞いてくる。

 

「全然怒ってないわよ。アキトは私の弟なんだから、そんなこと気にしなくていいわ」

 

この言葉を聞いてアキトは嬉しそうにしてる。

 

「ありがとうございます。僕のことを家族って言ってくれて――弟って言ってくれて。すごく嬉しかったです。

僕、レーティングゲーム頑張ります。僕のお姉ちゃんをあんなヤツに渡したくない。悪魔のことはよくわからないけど、部長さんは僕にとって、大切な家族だから。もう二度と家族を失いたくない!!」

 

アキト……。

 

私のことを一人の人としてみてくれてる。グレモリーとか関係なく、一人の家族として。

 

嬉しい。

 

「アキト、強くなりなさい。私の弟が弱いなんて許されないわ。一緒にライザーを倒しましょう!」

 

「はい!!」

 

今日、私に素敵な弟ができた。




リアスをヒロインにしてほしいという意見が多かったので、ヒロインにすることにしました。今話のリアスには恋愛感情はまだありませんが、いつかフラグをたてるつもりです。

違和感を感じるという理由でリアスのヒロイン化を反対された方もいらっしゃるので、違和感を感じさせないように精一杯頑張ります!

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