BanG Dream! ~平凡な少年と彼女たちの物語~   作:なすこん

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13.平凡な少年たちと文化祭②

 香澄side

 

 キラキラドキドキするものを作るぞ!と気合いを入れたのはいいけど歌詞作りはなかなか上手くいかなった。全然いいものが思いつかなくてうなだれてしまう。

 

「うう、難しいー」

 

「あはは、ちょっと休憩しようか」

 

「うん!ねえ、ベランダから星みてもいい?星を見たらなにか思い浮かぶかも!」

 

 そう言って2人でベランダに出た。そこには空一面に星が広がっていた。私は昔見たあのキラキラドキドキした星空を思い出していた。

 

「どう?いけそう?」

 

「うん、名曲の予感だよ」

 

 特に根拠があるわけではなかったが、私はそう確信していた。それはきっとみんながいて、みんなと演奏すれば絶対に楽しいと感じていたからだ。

 

「…あのね、ずっと考えてたんだけど、さーやも一緒に歌わない?」

 

「え…?」

 

「バンドに入るとかじゃなくてもいいから、さーやと一緒に歌いたい!」

 

 私は自分の思いをさーやに打ち明けた。だって絶対一緒に歌えればキラキラドキドキ出来ると思うし、さーやにも感じて欲しいと思ったからだ。

 

「…そうだね。文化祭はわかんないけど、でも…」

 

「いつか、いつかね」

 

 そう言っているさーやは普段では見たことないような少し寂しいような笑顔を浮かべていた。

 

「そういえば、バンド名はどうなったの?」

 

「それはね…」

 

 

 

 ____

 数日後の昼休み。俺たちは文化祭のために作っていたバンドのチラシ貼りをしていた。文化祭のためだけにしてはかなりの力作だと思う。イラストはりみが頑張ってくれたし、その他もみんなでアイデアを出し合いながら作り上げた。ちなみに言うと俺はこの手のものの才能は皆無なので印刷を担当した。まぁ適材適所ということにしておこう。そんなことをしていると山吹さんがちょうど通りかかった。

 

「さーや!見てみて、私たちのバンドのチラシ作ったんだー!」

 

「すごいね!それにこのバンド名『Poppin'Party』って市ヶ谷さんが考えたんでしょ?」

 

「山吹さんがいいって言ってたから、提案しただけだし」

 

 そうPoppin'Partyというバンド名は有咲が考えた。俺は香澄たちにピッタリの名前だと思うしかなり気に入っている。実際香澄なんか有咲に抱きつきながら喜んでたしな。

 

「それと…メンバーのとこ見て」

 

 チラシのメンバーの所には、香澄、有咲、りみ、たえと山吹さんの名前もあった。俺の名前も入れようとしていたが断っといた。みんなになんでと聞かれたが、俺はあくまで裏方だからということで納得してもらった。

 

「え…私の名前?」

 

「ごめんね、勝手に入れちゃまずいだろって言ったんだけど香澄が入れるって聞かなくて」

 

「だってさーやもメンバーだもん!」

 

「…!」

 

「よし、チラシ貼り頑張らなきゃ!」

 

 そう言って香澄たちは次の場所にチラシを貼りに向かった。俺も後を追うかと行こうとした時だった。チラシを見ている山吹さんに1人の女子生徒が話しかけてきた。

 

「沙綾」

 

「ナツ…」

 

「久しぶり…って言っても学校一緒だけどね」

 

 2人が知り合いだというのは何となくわかったが、それにしては少しよそよそしい感じがした。

 

「そのチラシ、沙綾バンドやるの?」

 

「え?」

 

「よかった。やる気になっ…」

 

「やらない!」

 

「「!」」

 

 山吹さんの言葉にナツと呼ばれている女子生徒と俺は驚いてしまった。山吹さんのこんなはっきりとした拒絶を聞いたのは初めてだったからだ。

 

「友達が勝手に書いちゃって…ごめん」

 

 そう言って山吹さんはすごい申し訳なさそうに行ってしまった。

 残っていた俺はどうしようと考えているとナツさんから話しかけてきた。

 

「変なとこ見せちゃってごめんね。私、B組の海野夏希。よろしくね」

 

「全然大丈夫だよ。あ、俺はA組の佐藤隼人っていいます」

 

 軽く自己紹介をした所で休み時間が終わるチャイムが鳴った。俺たちはヤバいとなってそのまま急いで互いの教室に帰った。それにしてもあの時の山吹さんはなんだったんだろう。それが気になってその後の授業に集中できなくて先生に怒られたのはまた別の話。

 

 

 

 ____

 その日の放課後、どうしても気になっていた俺はやまぶきベーカリーに行ってみることにした。ちなみに香澄たちは江戸川楽器店に新しいギターの弦を見に行くらしい。一緒に行こうと誘われたので、みんなでやまぶきベーカリーに行くことも考えたがあまり知られたくないことかもしれないので1人で行くことにした。

 

「いらっしゃいませ!あれ、佐藤くん1人?珍しいね」

 

「こんにちは、なんか食べたくなっちゃって」

 

 中に入るといつも通り山吹さんさんがレジをしていた。すぐにお昼のことを聞くのも悪いなと思いとりあえずパンを2個ほど選びレジに持っていった。

 

「これでおねがい」

 

「うん。…ねぇ、もしかしてだけど買いに来たのって今日のお昼のこと聞きに来たとか?」

 

「…山吹さんってエスパーかなにか?」

 

「学校でも様子変だったし、今もなんかこっちを凄い気にしてたからなんとなくね」

 

 普通にバレてた。俺ってそんなに行動とかに出やすかったんだな。そういえば蓮にもよくお前は顔に出やすいって言われてたなぁ。

 

「ごめん、どうしても気になっちゃって。話したくなかったら全然いいんだけど」

 

「そういう訳じゃないんだけど…どうして気になるの?」

 

「お昼のこともそうだけど、普段からバンドの話になるとなんか寂しそうな感じになってる事があるなって思って」

 

「そうだったんだ…私も結構顔に出やすいのかな」

 

 そう言って山吹さんは苦笑いする。結構自分じゃ分かりずらいんだろうな。

 

「それで嫌な思いとかしてたら悪いし、それで山吹さんがみんなと変な感じになって欲しくないしさ」

 

 お節介かもだけど、せっかく仲良くなったのにそれでギクシャクして欲しくないしな。

 

「佐藤君って優しいんだね」

 

「そうかな?ただ、友達同士仲良くしてほしいだけだよ」

 

 そう考えるようになったのは香澄たちと出会ったからかもしれないな。恥ずかしくて言えないけど。

 

「そんな優しい佐藤君には、特別に話してあげる。大した話じゃないけどね」

 

 山吹さんはそう言って微笑む。何だか山吹さんに信用して貰えた気がして少し嬉しかった。

 

「ありがとう!でも、店だと迷惑になっちゃうよね?」

 

「だったら近くにある公園にしよっか。私は、親にお店代わってもらったら行くから先に行っててもらっていい?」

 

「了解、じゃあまた後で」

 

 そう言って俺はパンの代金を払ってお店を出た。山吹さんの過去か…本人は大した事ではないと言っていたがどうなんだろう。バンドが関わっていることだけは何となく分かるが、そんな彼女が香澄たちを見てどう思ってるんだろうか。そんなことが気になってしまう俺であった。

 

 

 




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