BanG Dream! ~平凡な少年と彼女たちの物語~ 作:なすこん
お知らせなのですが、今までの話を見返して見やすいように調整をしました。
ぜひ過去の話も読んでいただけると嬉しいです。
それではゆっくりしていってください!
公園に着き、ベンチに座っているとすぐに山吹さんがやって来た。
「おまたせ、場所変えてもらっちゃってごめんね」
「全然大丈夫だよ、頼んだのはこっちなんだし」
山吹さんはありがとうと言ってベンチに座る。普段だったら女の子と2人でベンチに座って話すなんて緊張してしまうのかもしれないな。そんな風に考えていると山吹さんは早速話し始めた。
「私ね、中学の頃、ナツ…昼間の子ね、その子たちとバンドやってたんだ」
まさか、実際やってたなんてな。そんなこと聞いたら香澄が黙ってなさそうだな。でも話していないことを考えると、ただのいい思い出という訳では無いのだろう。
「そうだったんだ、じゃあ、そのバンド内で何かいざこざがあったとか?」
「そんなことないよ!みんなすごく仲良かったし、私もすごく楽しかった」
そう話す山吹さんの様子からすごく充実していたということが伝わってくる。では何故、山吹さんはバンドを続けていないのだろうか?
「みんなでたくさん練習もして、初ライブも商店街のイベントの中でやることが決まってたの、…まぁ私は参加出来なかったんだけどね」
「参加出来なかったって、何かあったの?」
「私の母さん体が弱くてね、それでも当日家族みんなで見に行くって言ってくれてたんだ。でもライブの直前に倒れちゃって、それでみんなが早く行ってあげてって」
親が倒れてしまってたと言われたら、誰だってそうするはずだ。でも、山吹さんからすれば自分のせいでライブがめちゃくちゃになってしまったと思ってしまう気持ちもわかる。
「じゃあそれがきっかけでバンドを?」
「それもあるけど、それよりも耐えられなかったのは、みんなに迷惑かけちゃってたことかな」
「迷惑?」
「そう、母さんが倒れてからは家のこととかで、なかなかバンドの練習に参加できなくってね。そんな私のために練習時間を遅くしたりとか、私のためにできることをって色々なことをしてくれた…でもそれが私にとって辛かったんだ」
「みんなが私のためにって色々なことをしようとしてくれる。そんな中で、私だけがのうのうとやりたいことをするなんてこと出来ない」
「それに、母さんも私が言わないとなんでも1人でやろうとしちゃうから怖いんだ、また、倒れたらって」
「だから、私はバンドを抜けたの。私がいない方がみんなもバンドに集中できるから」
これを聞いて俺はなんて言うべきか分からなかった。そんなことない、自分の事も考えてと言うことは簡単だ。でも、そんな言葉はむしろ山吹さんの意志を踏みにじってしまうような気がしたからだ。
嫌だからやめたのでは無い、やめることがみんなにとってもいいからなんて辛すぎるだろ。
「これが私の話はおわり。大したことじゃないでしょ?」
「そんなことない、すごく大切な話だったと思う」
「そうかな…でも、そう思ってくれてありがとう」
「こっちこそ、話してくれてありがとう」
この会話を最後に山吹さんはお店の手伝いがあるからとお店に戻っていった。
俺がしばらくベンチでどうしたもんかなと考え込んでいると、香澄からメッセージが届いた。どうやら俺が山吹さんから話を聞いていたのと同じく、たまたま江戸川楽器店で会った海野さんやグリグリの二十騎先輩から山吹さんがバンドをやっていたということを聞いたらしい。しかも山吹さんはバンドのみんなに何も話してくれなかったと。それで明日の放課後に実際にみんなで聞きに行こうと思うとのことだ。
俺は山吹さんから聞いた事を話そうとも考えたが本人から聞いて話し合う方がいいと考えた俺は、ちゃんと話し合えるといいなとだけ返信した。この話を聞いたら香澄はどうするのだろう、そんなことを考えながら俺は家へと帰るのであった。
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では、また!