BanG Dream! ~平凡な少年と彼女たちの物語~   作:なすこん

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今回も見に来て頂きありがとうございます!
今回はアニメ8話の前半部分になります。
それではどうぞ!


16.平凡な少年たちと文化祭③

 

 文化祭当日。俺は今、全速力で自転車を漕いでいる。普段徒歩の俺が何故かって?今、絶賛遅刻しそうだからだ。昨日は小学生の遠足前並に寝付けなかったせいでガッツリやってしまった。こんなことだったら泊まっていった方が良かったかもしれない。

 

「急げ、俺ー!」

 

 そんなふうに叫びながら、俺は自転車を漕ぎ続けるのであった。

 

 

 __

 

 ギリギリ間に合った俺は息を切らしながら教室に駆け込む。教室では喫茶店はの準備が着々と進んでいた。俺が入ってきたのに気づいた蓮が話しかけてくる。

 

「文化祭当日に随分余裕だな隼人」

 

「悪かったって、…あれ?山吹さんは?」

 

 クラスを見渡すと山吹さんの姿がないことに気づく。どうしたんだろう?

 

「ああ、それがさっきちょうどパンが届いて、その時聞いたんだけどさ」

 

「今朝、山吹さんのお母さんが体調崩したらしくてな。病気とかじゃないらしんだけど、山吹さんは病院に行くお母さんの付き添いで今日は来れないらしい」

 

「そうだったのか…その事みんなは?」

 

「知ってるよ、特に戸山さんがそれ聞いて張り切っててな、今もめっちゃ頑張ってるぞ」

 

 一番悲しいのはもしかしたら、香澄かもしれないのにすごいな。きっと山吹さんの分までって張り切ってるんだろう。それはクラスのみんなも一緒のはずだ。だったら俺も頑張らない訳には行かないよな。

 

「よし、それなら頑張らないとな!」

 

「だな、隼人は遅刻しそうだった分までよろしくな」

 

「…ほんとごめんて」

 

 それだけ言って俺も準備に入った。こうして高校初めての文化祭は波乱の幕開けになるのであった。

 

 

 __

 

 うちのクラスの喫茶店は比較的好調でかなりのお客さんが足を運んでくれていた。やまぶきベーカリーのパンとラテアートが特に好評だ。それで俺は今りみとたえとラテアートの方を担当しているのだが。

 

「全然上手くいかん」

 

「隼人それ怪物?」

 

「…パンダです」

 

 なんで俺はこの役を選んでしまったんだろう。完全に足でまといになってしまっている気がしてすごい申し訳ない。

 

「あはは、ラテアート難しいよね」

 

「そういうりみは、上手いじゃん」

 

「うん、すごくかわいい」

 

 りみの作ったものは少し崩れてしまっているが動物と分かるものだった。これが向き不向きなんだろうなー

 

「わぁ〜、写真撮らないで〜」

 

「文化祭の思い出は残さないと。せっかくお父さんからカメラ借りてきたし」

 

 そう言ってたえは次の被写体を探す。どうやら香澄に目がとまったらしい。しかし、レンズに映る香澄は少し元気がなさそうな感じだ。

 

「…」

 

「沙綾のこと?」

 

「ちょっと気になっちゃって」

 

「朝、家行ってきたんだろ?」

 

「その時にも会えなかったから…」

 

 そう言って香澄は更に元気がなくなってしまう。山吹さんのこと特に気にしているのは香澄だろうしな。

 

「沙綾ちゃんなら、きっと大丈夫だよ」

 

「そうそう、それに香澄がそんなんじゃ、山吹さんも心配しちゃうだろ」

 

 俺とりみがそんなふうに言うと、香澄も元気を取り戻したようだ。そして何かを思いついたかのようにスマホを取りだした。何するつもりなんだろう?

 少し悩んでいたようだが、すぐに誰かに電話をかけるのだった。

 

 

 

 _沙綾side_

 

 母さんがまた倒れそうになってしまった。

 私はすぐに病院で診てもらうように言って、一緒に病院へと来ている。純も沙南も心配そうにしている。診察の結果、特に問題はないとの事で私も一安心した。念の為検査をするということで私は今それが終わるのを待っていた。

 そこでふとスマホを見ると、2件の不在着信とメッセージがあることに気づく。それはどちらも香澄からのものだった。なんだろうと思い私はそのメッセージを再生した。

 

「沙綾?香澄です。お母さん大丈夫?じゅんじゅんとさーなん泣いてない?沙綾…大丈夫?」

 

「喫茶店はね、大成功!パンお持ち帰りする人も沢山だよ!」

 

 良かった、喫茶店の方は成功しているみたいで。でも香澄たちには迷惑かけちゃったな。そんなふうに思っていると、通話口から他のクラスメイトの声が聞こえてきた。どんどんと声は増えていき大きくなって行ったので急いで外に出ると、ちょうどそのタイミングで1つ目のメッセージが終わってしまった。

 そして2つ目のメッセージが流れ始めた。

 

「もしもし、こっちは楽しい!すごく、すごく…すっごく!」

 

「だから、ライブも頑張るね!さーやに届くくらい頑張るから!」

 

 そう言ってくれた香澄に私は、感情が込み上げてきてしまった。あんなに突き放してしまったのにそれでも私に届くくらい頑張るだなんて。

 

「それから歌詞、さーやの家に届けたよ。さーやとみんなで作った曲!良かったら読んでね」

 

 そこで2件目のメッセージが終わった。私は、朝から読むことが出来ていなかったその手紙を取り出す。そこには確かに曲名と歌詞が書かれていた。

「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」素敵なタイトルだと思う。

 

「……」

 

 歌詞に込められた思いや、香澄たちの思い。所々涙で滲んでしまっている文字などがわかってしまったからだろうか。歌詞を最後まで読んだ私は込み上げていた感情が爆発してしまった。

 

「香澄…私も、私だってバンドしたいよ…」

 

 私は今まで我慢してきた思いを抑えることが出来なかった。その時、後ろから優しい声が聞こえてきた。

 

「沙綾」

 

 その声に振り返ると、母さんと純、沙南がいた。

 

「行って」

 

 母さんのその言葉に私は首を横に振る。そんな私に母さんはさらに話を続ける。

 

「沙綾は優しいね。お母さんにもみんなにもすごく優しい。その優しさをもっと自分にも向けてあげて」

 

 そう言って母さんは私の頭を優しく撫でくれる。それでも私の意思は変わらない。

 

「できないよ…」

 

「沙綾ならできる。だってひとりじゃないでしょ?」

 

 ひとりじゃない。確かにそうかもしれない、それでも…

 そんな時純と沙南が私の手を握ってくる。その手はすごく暖かくて、確かに私がひとりではないということがはっきりとわかった気がした。

 

「私ってダメだね」

 

 何もわかってなかったんだと今ようやく気づくことができた。

 

「いってらっしゃい」

 

 3人が私を送り出してくれる。私も気持ちは固まっていた。

 

「いってきます」

 

 私は走り出した。こんなに自分に素直になったのはいつ以来だろうか。

 病院を出た所で私は、ある人に呼び止められた。

 

「山吹さん!」

 

 そこには自転車にまたがって息を上げている佐藤君がいるのだった。

 

 




今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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