BanG Dream! ~平凡な少年と彼女たちの物語~ 作:なすこん
今回がアニメ8話後半部分になります。
それではどうぞ!
病院で山吹さんと会う少し前。
いよいよ文化祭ライブの時間が迫ってきた俺は、香澄達と体育館袖にいる。
「いよいよだね!」
「うぅ、めっちゃ緊張する〜」
ウキウキの香澄に対してガチガチのりみだが、普通がその反応だと思う。
「りみ、そういう時は人食べるんだよ」
「たえ、それ人っていう字を食べるんだよ」
緊張してるりみになんてこと吹き込んでるんだ。でもそれで緊張ほぐれたみたいだしそれでいいんかな。てか、有咲が全然話に入ってこないけどどうしたんだ?
「あんなに人が沢山…やばいって」
「有咲、緊張してるの?」
「当たり前だろ!」
香澄の疑問に、結構食い気味に答える有咲。ほんとにやばいんだろうな。よし、ここは俺がフォローするか。
「大丈夫だって、この日のためにたくさん練習してきただろ?」
「そうだけどさ…」
「それに有咲がしっかりしてないとバントが成り立たないだろ」
「香澄とたえが突っ走って、りみがみんなの間を上手く取り持つ。それで有咲がなんやかんやまとめる。それがお前たちなんだからさ」
もし、そこに山吹さんが入ったらどうなっていたんだろう。そんな風にも考えてしまっていた。
あれ?てかなんでみんな何も反応してくれないんだ?
「隼人、結構私たちのことしっかり見てるんだな」
「一応手伝いしてるしな。そんな大したことじゃないって」
「でもでも、それだけ私たちのこと気にしてくれてるんでしょ!私はすっごく嬉しいな!」
改めて言われると少し照れてしまう。俺はそんな恥ずかしさを紛らわすために話を続ける。
「とにかくそういうことだから。しっかりな有咲」
「わかった。やれるだけやってみるよ」
何とか有咲も落ち着いてきたみたいだ。これで普段通りに出来ると思う。
「よーし!私もさーやに届くくらい頑張るぞー!」
香澄の言葉に他の3人もしっかりと頷く。そんな3人を見て俺も決心がついた。
「じゃあ、俺も客席に行くな」
「うん!ちゃんと見ててね!」
そうして俺は体育館を後にした。向かうのは客席ではなく病院だ。今から俺がするのは無意味なことかもしれないし迷惑かもしれない。それでも俺は5人での演奏を見たいと思ってしまったから。
「じゃあ、行きますか!」
俺は病院へ向かって自転車を漕ぎはじめた。
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病院に着いて少したった頃、やっぱり来ないよなと思っていると山吹さんが走って飛び出してきた。
「山吹さん!」
「佐藤君!?どうして?」
「とりあえず後ろ乗って!」
俺は自転車の後ろに乗るように言う。2人乗りなんてしたことないけどどうにかなるだろう。戸惑っている山吹さんを後ろに乗せて俺は自転車を漕ぎはじめた。
「どうしてここに?」
「もしかしたら、ライブに来てくれるかもしれないと思ったからかな」
俺は息を上げながら答える。漕ぎながら話すのすげーきついな。
「絶対じゃないのに?」
山吹さんからもっともなことを言われる。
「それでも来てくれたでしょ?」
実際は来てくれるかは結構微妙だとは思っていた。もし来なくてもその時はその時だ。動かなきゃ始まらないってのは香澄を見て学んだからな。
「それに言ったでしょ。全力でサポートするって」
そう言ったからには絶対に間に合わせたい。それが今、俺にできることだから。
「ありがとう佐藤君。…ほんとに私はひとりじゃないんだね」
「何か言った?」
「なんでもないよ。それじゃあ学校までよろしくね!」
「了解!ちゃんとつかまっててね!」
山吹さんからそう言われたことがすごく嬉しかった。誰かに素直に頼ってくれるようになった気がしたからだ。俺はありったけの力を振り絞って学校まで向かうのだった。
__
何とか学校にたどり着いた俺はヘロヘロになりながらも体育館に向かっていた。自転車を止めるために山吹さんには先に行ってもらっている。こんなことなら普段から自転車登校しとけばよかった。
「はぁ、はぁ、山吹さんは?」
辺りを見渡すと、山吹さんは体育館前で海野さん達と話していた。そういえば海野さんたちのバンドも文化祭ライブに出ていたな。
細かい話の内容までは分からなかったが最後にドラムのスティックを渡して山吹さんを送り出していた。伝えたいことはお互いに伝えられたのだろうと俺は感じていた。そして俺が山吹さんの後を追って通り過ぎる際にある言葉をかけられた。
「沙綾のことよろしくね!」
俺はそれにしっかりと頷き、その場を後にした。
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山吹さんは体育館の扉の前で立ち止まっていた。
「不安?」
「少しね。みんながどう思うのか心配で」
確かにいきなり来てどう反応されるのか怖いと思うのは当然だと思う。でも今回に限ればそんなことはないと断言出来る。それだけみんなの山吹さんへの思いは強いのだから。だからこそ俺はこの言葉をかける。
「大丈夫だよ、みんな山吹さんを待ってる。だから思いっきりライブを楽しんできて!」
今の山吹さんにはそれが出来るはずだから。
「うん!楽しんでくるね!」
そうして山吹さん体育館の扉を開ける。香澄達はいきなり現れた山吹さんに驚いていたが、すぐに香澄が山吹さんに手を差し伸べ山吹さんをステージへと上げた。
山吹さんが準備をしている間に観客席に移動した俺はある人達に声をかけられた。
「お疲れ様」
その声に反応するとそこにはゆりさんを始めとしたグリグリの皆さんがいた。
「俺はここまで送っただけですよ」
実際にその通りだしな。でもギリギリ間に合ったみたいで本当に良かった。
「そうなの?それだったら、白馬の王子様だ」
「やめてくださいよ。そんな大層なもんじゃないです」
てか俺が白馬の王子様じゃ山吹さんに失礼だし。あれなんか自分で言っててなんか悲しいな。
そんなふうにからかってきたゆりさんだが、でもと話を続けた。
「2人が入ってくる前のMCで香澄ちゃん言ってたよ。次の曲はみんなで作った曲で、今は居ないけどいつか一緒に歌えるって信じてるって」
「だから、隼人君は香澄ちゃん達の思いを叶えたんじゃないかな」
そう言われて俺がしたことにも少しは意味があったように思えた。
「それだったら、良かったです」
そんなやり取りをしていると準備が終わったようでそれぞれが位置につく。
「お待たせしました!それでは聞いてください…「STAR BEAT〜ホシノコドウ〜」」
こうして5人の初ライブが始まった。
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演奏が終わり、各々がやりきった顔をしていた。初めの方は山吹さんがスティックを落としかけたり演奏に精一杯感じだったが、サビに入る頃にはみんなが今までで一番楽しそうな顔で演奏をしていた。俺はそれが見れただけで充分すぎるくらいだった。
「香澄メンバー紹介!」
「あ!そうだった」
有咲に言われて香澄はメンバー紹介を始める。
「青いギターのおたえ!」
たえは軽くギターを鳴らす。
「ベースりみりん!」
りみは軽くお辞儀をする。
「あっちが有咲!」
「キーボードつけろ!」
有咲がツッコム。
「そして、ドラムさーや」
山吹さんもお辞儀をする。その目には涙を浮かべていた。
「ランダムスターの戸山香澄です!」
香澄ははじけるような笑顔を見せる。
「私たち5人で」
「「「「「Poppin'Partyです!」」」」」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
次回はもし文化祭が2日間だったらという感じでオリジナルな感じになると思います。
お気に入り、感想などもいただけると嬉しいです。
それではまた次回!