最古の作家と呼ばれる者   作:John_Doe

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ありがとうございます。過分な評価、感想もいただき、続けるモチベーションは上がっております。

 遅くなってしまいましたが、ご覧いただければ幸いです。


幕間3.前と後の小話

1.メイドと同士と私

 

「うーむ……料理とは難しいものだな……」

 

「キャウ、キューン……」

 

 食堂内の厨房にて今日も今日とて同士フォウ君と食事会と言う名のふれあいをしていた。

 

「む、ご主人様と……ん? お前は、キャス……あー、何だったか。マーリンの飼っていた生物だったか」

 

「キャウ! キャウ!!」

 

 厨房に現れたのはメイドオルタ。

同士フォウ君の事をキャスパリーグと呼ぼうと思ったようであるが、どうにも印象が薄かったらしく覚えていないようである。

 

「メイドオルタか。どうした厨房なんぞに来て。それと彼はキャス何某ではなく、フォウ君という立派な名前があるのだぞ」

 

「フォウ、フォウ!」

 

「おお、そうなのかご主人様。王としてブリテンを治めていた頃に、宮廷魔術師のマーリンが飼っていた生物にそっくりだったものでな。ふむ? 私の直感も鈍ったか」

 

 大嘘を決め込む私に便乗するかのように声を上げる同士。

メイドオルタに嘘をつくのは心苦しいが、同士との約束がある。

そちらを大切にしなければ、この先生きのこることができなくなってしまうかもしれないから。

ああ、そういえば既に死んでいたのだったか。

 

「それで、何故厨房に来たかと問うたが、厨房に来ればやることは一つ、そうだろうご主人様」

 

「ああ、確かにそうだな」

 

「フォーウ……」

 

「厨房に来てやること……それは」

 

「料理でも作りに来たか」

 

「つまみ食いだ」

 

「フォ、キャウ!」

 

 メイドオルタの答えにがっくりとする私と同士。

同士の尻尾など、あまりの酷い回答にしなびている。

 

「あー……メイドオルタ、今はカルデアの復旧に人員を取られて皆忙しいからな。作り置きの料理などは無いぞ」

 

「なん……だと……」

 

「まぁ、作って食べる分には問題は無いらしいからな。私もこのところ、フォウ君と一緒に食事を摂っているぞ」

 

「フォウ!」

 

「む、ご主人様は何かしら作れるのか」

 

「いや、肉を焼くか野菜を炒める程度しかできんな……ちなみに味付けは塩胡椒のみ……だな……」

 

「キューン……」

 

 私と同士はお通夜ムードになる。

何せ交流を始めてからと言うもの、本当に肉を焼くか野菜を炒めたものしか食べてないのである。

しかも、味付けの変更は無しという地獄仕様である。

まぁ、サーヴァントである私は食事が不要であるし、同士フォウ君もその他調味料を好んでいないので問題はないのであるが。

 

「ふむふむ……ならば、ご主人様。私と一緒に……その、りょ、料理を……してみないか」

 

「ならば一緒に料理をするか。ああ、カルデアの場所が場所だから食料はこれでもかと言う程にあるが、あまり食べ過ぎるなよ」

 

「ぐ、注意しよう」

 

「キャキャウ」

 

 そして作ったのはマッシュポテト。

マッシュポテト……これは料理なのだろうか?

兎も角、同士フォウ君とメイドオルタと共に、食事会と言う名のふれあいを楽しむのであった。

ああ、まだ特異点の一つも修正していないというのにな。

 

「ところで、ご主人様」

 

「何かな、メイドオルタ」

 

「嘘をつくのはよくないぞ」

 

 女の直感とは恐ろしいものである。

 

 

 

2.緊急事態?

 

『Warning! Warning! 英霊召喚システム・フェイト強制起動! 英霊召喚システム・フェイト強制起動! 職員は直ちに現場に急行してください。繰り返します……』

 

 第一特異点から帰還した翌朝のこと、突如として警報が鳴り響いた。

 

『立香君にマシュ、並びにサーヴァントの皆、至急召喚制御室へ来てくれ! 警報通り、英霊召喚システムが強制的に起動したみたいなんだ! もしかすると、凶悪なサーヴァントが来るかもしれないから対処願いたい』

 

 ロマンから館内放送も入り、召喚制御室へと駆け、扉の前に皆が揃う。 

 

「来てくれてありがとう皆。じゃあ、行くよ? 何かあったら、立香君たちに任せることになっちゃうけど……」

 

「大丈夫だよロマン。皆がいればきっとなんとかなるよ」

 

「ありがとう、立香君。それじゃあ」

 

 まぁ、何が起きたかなど予測できているのであるが。

 

「ふむ、そうだな……私が先頭で入室しよう。何、いつもの様に虫の知らせが何かしら教えてくれるだろうからな」

 

「いいの? ボン」

 

「ああ、女性を先頭にするのは好ましくない。ロマンは人間であるし、キャスターは私よりも耐久が低いだろうからな」

 

「むむむ」

 

「それじゃ、お願いねボン」

 

「うーん……悠長にしている暇は無いんだけどなぁ……」

 

 ロマンに呆れられながらも召喚制御室へと突入する。

室内では、誰もいないのにも関わらず、召喚システムが起動しており、魔力が渦巻いていた。

すかさずロマンはコンソールに駆け、状況を把握する。

 

「これは……英霊の反応だ!」

 

 渦巻いた魔力は3本の輪となって収束し、カードを生み出す。

銀の人狼のカード……即ち清姫である。

だが、突如としてカードに紫電が走る。

この現象は前にも見たことがあるが……まさか。

 

「割り込みだ! また割り込みが入ったよ。一体どうなってるんだ!?」

 

 カードが再構築され、金の槍兵が描かれたモノとなる。

そう、これは……もう訳が分からない。

 

「ははは、もうどうにでもなぁれ」

 

「「「!?」」」

 

 許容範囲を超えてしまったせいか、滅多に出ない私の素が出てしまった。

 

「ちょっと、ボン!? 大丈夫!?」

 

「……うむ、失礼した……少しばかり自棄になってしまったようだ」

 

 そして現れた少女は豊満であった。

 

「ますたぁ、約束通りすぐに逢いに参りましたわよ。うふふ」

 

「ロマン……危険は無い。恐らく無い。だが、マスターの貞操的な意味での危険が増えたやもしれん……」

 

「ちょ、ボン……縁起でもないこと言わないで……」

 

「ところで清姫さん……どうして水着なのですか?」

 

「こちらの霊基の方がますたぁのお役に立てるからですわ。ああ、くらすはらんさーですよ、上手く使ってくださいましね、ますたぁ」

 

「あ、うん……とりあえずよろしくね、清姫」

 

「兎も角、危険は無くなったようだな。ならばマスター、ついでに戦力増強をしては如何か」

 

「いいんじゃねえか? そういえば、聖女のねーちゃんに手甲を貰ったじゃねーか。あれを触媒に召喚しようぜ」

 

「そうだね、この前のフランスで拾った聖晶石はっと…15個かー……」

 

「ふむ、私も少しばかり拾った物だ。マスター、使ってくれ給え」

 

 私も第一特異点滞在中に何故か()()()()()聖晶石をマスターに渡す。

 

「これで20個、5回召喚にチャレンジできるね」

 

「ちょーっと待った! 召喚するならこの私、ダ・ヴィンチちゃんを呼ばないとダメじゃないか。君に幸運がありますようにと、毎日お祈りしてるこのダ・ヴィンチちゃんを!」

 

 召喚制御室の扉が突如として開いたと思えば、ダ・ヴィンチちゃんが駆け込んできた。

その手には呼符が3枚握られていた。

 

「この万能の天才、ダ・ヴィンチちゃんは! またしても頑張る立香君の為に、金に輝く呼符を作ってあげたんだゾ? 存分に褒め給え」

 

「うーん、流石ダ・ヴィンチちゃん! この万能! 天才! 変態! ……それじゃ、召喚するね」

 

「んー? 何か聞き捨てならないことが聞こえたけど、ま、いいか」

 

 先ずは召喚サークルに聖女の手甲を置き、それを囲むように聖晶石を配置する。

すると、マスターは召喚の詠唱を行っていないにも関わらず、召喚が始まる。

回転する光は当然の如く3本の輪となり、収束して金のカードを生み出した。

その絵柄は天秤を持った美しい女性が描かれていた。

 

「マルタ、参りました。貴女と共に世界を救いましょう……って何よこれ!? なんで私水着なの!?」

 

 とても良いリアクションである。

 

「んん、まぁ良いでしょう。在り方さえ違えねば、主もお許しくださるでしょうから……よろしくお願いしますねマスター。それと、そこの貴方、そうジャージ着てるアンタよ。後でシミュレーターね。少しOHANASHI、しましょうか」

 

 マルタは良い笑顔でそう言った。

私に神はいなかったらしい。

 

「わ、本当に来てくれたんだね。聖女様、よろしくね」

 

「その呼び方、むず痒いわね。マルタでいいわ、マスター。それから皆さんも、そのようにお呼びください」

 

「マルタ、よろしく頼む」

 

 私が震える声で返した後、聖晶石で残り4回を回す。

だが、英霊の反応は無く、ありきたりな概念礼装が出現するのみであった。

続けてダ・ヴィンチちゃんが態々持ってきてくれた呼符で召喚を試みるが、2回はやはり概念礼装であった。

そして最後の召喚、再び回転する光は3本の輪となって収束する。

 

「また高い魔力反応だ! 高位の英霊が来るよ!」

 

 再び現れた天秤を持った美しい女性が描かれた金のカードが現れ、もう馴染みの展開となった割り込みの紫電がカードに走る。

 

「立香君の運は異常だね。幸運なのか、不運なのか分からないね」

 

「あはは……はぁ」

 

 カードが再構築され、現れたのは鎖に繋がれた咎人が描かれた金のカードとなった。

それは復讐者(アヴェンジャー)のカードだ……このタイミングで来るアヴェンジャーなどいない筈……くっ、原作知識に縛られて発想が貧困になっているか。

光が溢れて人を模り、現れたのは彼女であった。

 

「アハハハハ! あの女の現界を阻止してやったわ!! ……ンン、サーヴァントアヴェンジャー、召喚に応じてあげたわよ。何よその顔。特にそっちの男……なんかアンタ、ムカつくわね。ま、いいわ――貴女がマスターよね? はいこれ、契約書」

 

 マスターに手渡された契約書を思わず覗き込むと、そこに書かれた文字は達筆であった。

ではなく、ジャンヌ・ダルク・オルタこと邪ンヌが召喚された。

メイドオルタに始まり、水着清姫、水着マルタ、そして邪ンヌの召喚……これが意味するのは、平行世界の存在確定だろう。

幾多もの平行世界において、どこかの世界で既に人理は修復され、彼女達の霊基が聖杯に登録された。

だからこそ、この世界では謎の特異点は発生していないにも関わらず、彼女達が存在するのであろう。

 

「よろしくね! 邪ンヌ!!」

 

「ンン? なんだかマスターの呼び方に違和感があるのだけれど。まぁいいわ、好きに呼びなさい。皆様も、どうぞお好きに」

 

 よろしくお願いしますと皆自己紹介をして、さぁ部屋に案内するから解散しようという運びとなり、そそくさと部屋に戻ろうとした。

 

「ちょっと、貴方何処に行こうと言うのかしら? 私たちをお部屋に案内してください。部屋に着いたら、今度はシミュレーター室ですよ」

 

「あら、マルタ。シミュレーターなんて使ってどうするのです」

 

「ええ、この男と少しOHANASHIをしようと思ってね」

 

 そう言いながら、拳を揉むマルタに笑顔で「良いわね」と乗っかる邪ンヌ。

この後、シミュレーターで良い感じに絞られたのは無理もない話である。

今後も定期的にやるわよとのことであった。

私の明日はどっちだ。

 

 

3.私とマスターとタブレット

 

「キャウキャウフォーン、キャウキャウキュー」

 

「ふむ、ご機嫌だな同士よ。何か良いことでもあったのかい」

 

「フォウ!」

 

「おお、その反応ならば何某か良いことがあったのだな。それは何よりだ」

 

 肩に同士フォウ君を乗せながら、いつもの様に食堂へと向かって廊下を歩いていると、何やらフラフラと歩くマスターを発見する。

その手にはタブレットを持っており、それを見ながら何処かへ向かっているらしい。

 

「コラ、マスター。そんなものを見ながら廊下を歩くものではないぞ? フラフラと左右に揺れているじゃないか。 見るなら見るでいい。立ち止まって端の方に寄るなり、真っ直ぐ歩きたまえ」

 

「あ、ボン。ゴメンゴメン。他のサイトは一切見られないんだけど、唯一見られるマギ☆マリのサイトが意外と面白くてつい見入っちゃったんだ」

 

 その言葉に同士フォウ君の尻尾が逆立った。

あ、コレはマーリンのクソ野郎だなと瞬時に察してしまう自分が悲しい。

 

「それでさ、この動画。ボンとフォウ君も見てみなよ」

 

 2人と1匹、何故か廊下の端に寄ってタブレットで動画を見始める。

私はタブレットを受け取ると、当然の様に指で画面をタップし、手馴れた動作で操作を行う。

最後に触れたのは憑依前だと言うものの、謎に備わった記憶力の前ではこの程度の操作など容易いようである。

そして流れるダンス動画、そこに映っているのはどう見てもマーリンだが、巧くそっくりさんと言える様な感じにした、やっぱりマーリンであった。

静かに怒り、それを抑える同士フォウ君。

それを宥めながら、サイトのブログ等も流して読む。

 

「ボン、凄いね。他のサーヴァントに見せると知識にはあるけど、実際の操作は難しそうにしてたけど、ボンは完璧だね」

 

 瞬間、電撃が走る。

そういえば、私は太古の英霊になっていたのであった。

つまりはタブレットなど、知識としてあっても、初めて見た段階で上手く操作できるなど出来ることなど殆ど無いに等しいのである。

つい、素で操作してしまった。

 

「あ、ああ、カルデアのスタッフの手伝いをしているときに、たまたまコレを使っている所を見たことがあってな。なんとなく覚えてしまったのだよ」

 

「そっかー、やっぱりすごいね」

 

「それ程でもないさ、面白いものを見せてくれてありがとうマスター。ところで、これから何処に」

 

「そういえばそうだった。食堂に行こうと思ってたんだよね、コレ見ながら」

 

「成る程、私とフォウ君も食堂に行こうと思っていたんだ。良ければ一緒にどうかね」

 

「うん、そうだね。一緒に行こうか」

 

「では、そのようなものは不要だな。前を見て真っ直ぐ歩くぞマスター。職員が少なくなっているとはいえど、他の人も歩く廊下だからな」

 

「はーい……なんだかボンって先生みたいだね」

 

「そのようなものにはなれないさ」

 

 どうにか落ち着きを取り戻した同士フォウ君とマスターと共に食堂へ向かい、交流を図った。




 今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 召喚が早くも天丼状態になっているので終止符を打ちたいところ(打てるとは言っていない)フォウ君とのやり取りを書いてると心が落ち着きます()

 クオリティが低下している気がする。
ネタが出ないので更新速度が下がるかもしれませんがまったりお待ちいただければ幸いです。
次回はまた幕間にしたいです。

 尚、3つ目の小話は感想欄からのネタですが、感想欄にはネタの提供など(する人はいないと思いますが)はしないように願います。
活動報告の方ではどうぞ適当に、気が向いたら読んで投げていただいて構いません。
もちろん、拾うとは限りませんが。

 お気に入り登録、評価、感想、ありがとうございます。
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