最古の作家と呼ばれる者   作:John_Doe

8 / 12
 難産でした。
初期構成という名の思いつきではヴラド3世をEXTRAの方にしようと思ったのですが、wiki読んでたら、バーサークがバーサークして、バーサークアーチャーなアタランテさんと似たような鯖が増えるだけやんけと断念。
それじゃ生存者助けるか! と思ってキャラ分断させたら、マリー登場後どないしよ? となってしまい断念。
そして今回の話に纏まりました。

 プロットなんて本当に無いんです許してください。
尚いつも通り、読むに耐えないと思ったのであればそっと閉じていただけますよう。


2.相対、慢心、告白

「んあー……おはよー……」

 

 夜明けと共にマスターは目覚めるが、やはり慣れない野宿であったせいか十全には眠れていないようであった。

それでも、昨晩から今にかけてまで、一切目を覚まさなかったあたり、かなりの胆力と言うか、図太さを持っているように思える。

 

「おはようございます、先輩。こちらの水で顔を洗って朝食を摂ってから出発しましょう」

 

「それでいいと思うが、何処へ向かうか。聖女殿、行く宛てはあるかね」

 

「当然、オルレアンに向かうのですが、もう1人の私についての情報があまりにも少なすぎます。オルレアン方面の最寄の街で情報収集をしようかと。それと私のことはジャンヌとお呼びください。他の方々も」

 

 皆了承し、先ずは森を抜けてラ・シャリテに向かうこととなる。

街を目指して歩く中、ジャンヌが不安を吐露しつつも、もう1人の自分との戦いに慎重な姿勢を見せるが、遠目に街から煙が上がっていることに気づくと真っ先に街へ向かって走り出した。

 

『待ってくれ、この先の街にサーヴァントの反応だ! しかも、5騎だって!? どうする立香君』

 

「ジャンヌも助けなきゃいけないし、特異点の修正もしなきゃいけないんだから、当然行くよ。サーヴァントの数は同数だしね」

 

「なら、急ぎましょう先輩」

 

 街へと走る。

そこは火の海であった。

建物は倒壊し、人はワイバーンに食われ、死んだ人間はアンデットと化す。

地獄の体現がそこにあった。

 

『なんて(むご)い光景なんだ…』

 

「ッ!! 兎に角ジャンヌを追おう……立ちふさがる敵は倒して、助けられる生き残りがいたら助けるよ」

 

 マスターの覚悟が篭った言葉に、皆が頷きジャンヌを追いかける。

駆けた先には生存者の反応は無く、本当にただの地獄と化していた。

そしてジャンヌの背に追いついた。

その先には黒のジャンヌ、反転しそこなった(した)ジャンヌ・ダルク・オルタ――邪ンヌが他の4騎の英霊(どうし)と共に居た。

バーサークセイバー、シュヴァリエ・デオン。

バーサークライダー、聖女マルタ。

バーサークアサシン、カーミラことエリザベート=バートリー。

バーサークランサー、ヴラド三世。

 

立香(マスター)、あれらの真名は看破した。情報は必要か」

 

「勿論、お願い」

 

「中性的な剣士はシュヴァリエ・デオン、杖持ちの女性は聖女マルタ、アイアンメイデン持ちの美女はカーミラ……いや、エリザベート=バートリーか。そしてあのロマンスグレーはヴラド三世だ」

 

「じゃあ、あの黒の邪ンヌも」

 

「ああ、邪ンヌ・ダルクで間違いない。」

 

 マスターと私の黒のジャンヌに対する呼称が、一致しているような気がするが気のせいだろうか。

 

「ハァ? そこのアンタもルーラーなの!? 出来損ないの残り滓だけだと思っていたのだけど、どうやら違うみたいね。 面倒だわ、先ずはあのサーヴァントから潰しましょう。ええ、滅ぼすべき人間共を助けようとするんですもの、潰されて然るべきよね」

 

「ふむ、出来損ないか。しかしそちらの君には裁定者(ルーラー)なんぞ似合わんな、邪ンヌ・ダルクよ」

 

「んん? ちょっとアンタ、なんか私の呼称がちょっとおかしい気がするんだけど」

 

「そんなことないよ邪ンヌ! 邪ンヌは邪ンヌだよ!」

 

「サーヴァントがサーヴァントなら、マスターもマスターね!! ……まあ、いいでしょう。皆さん、彼女達を蹴散らしてしまいなさい」

 

「来ます! ジャンヌさん構えて! マスター、指示を」

 

「キャスニキはカーミラ、オルタはヴラド三世、ボンはデオン、ジャンヌはマルタ、マシュはこっちで防御!」

 

 そして戦いが始まる。

戦いに慣れているメイドオルタに対して、相手も戦い慣れをした串刺し公で攻防は一進一退。

純粋な技術と狂化による力押しのデオンに対し、攻撃の予測で回避しなんとか打ち合う私。

場慣れしたキャスターは、吸血鬼と化したカーミラを相手に圧し込んでいる。

ジャンヌは防戦一方で、マルタにどんどん圧し込まれている。

マシュをカバーに回したいところであるが、そうすればマスターがフリーとなってしまい、すぐさまやられてしまう可能性がある。

邪ンヌがフリーであるという事実が、マシュを動かすことのできない状態に押し留めているのだ。

そうでなくとも、周囲にはワイバーンがいる。

尚更、マシュはマスターを守ってもらわなくてはならないのだ。

戦場は動く。

マルタがジャンヌを圧し込みつつ、圧されているカーミラのフォローへ回り2対2の状態へ。

こちらも私が動かされ、いつの間にかメイドオルタの近くにまで追い込まれ2対2の状態になってしまう。

何とか勝つことができる、私単身でも何とかできるであろう、そう考えてしまっていた。

冬木での戦いの勝利が、私に慢心を生み出していたのであろう。

あのときの戦いは常に多対一であったというのに、対人戦の経験が少ない私が、剣士であるデオンに勝てるわけがないのだ。

そう、ただ打ち合えているだけ、時間を稼ぎ、多対一の状況を生み出すことしか、私には出来ないのだから。

その時、戦場に一輪のガラスの薔薇が突き刺さる。

 

「優雅ではありません、この街の有様、戦い、主義、思想全て!」

 

 タキシード仮面様!

ではなく、現れたのは赤の少女――ヴェルサイユの華と謳われた少女、マリー・アントワネット王妃であった。

彼女の登場により、双方の態勢が整えられ、再び相対することとなる。

 

『この反応、彼女もサーヴァントだ!』

 

「ボン、彼女は」

 

「ああ、見えた。真名はマリー・アントワネット……後のフランスの王妃だな」

 

「お兄さん、わたしの名前をよんでくれてありがとう! そして、その名前で呼ばれる限りわたしはわたしの役割を演じます」

 

「フン、貴女の真名はわかりましたが、そこの面倒なサーヴァントとそのマスターに与するのであれば、貴女も敵なのでしょう。共に捻り潰して差し上げます」

 

「戦場に語らいは不要ということですね。何はともあれ、貴女が殺めた人々への鎮魂歌を…アマデウス、出番ですわ」

 

 そして現れたヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの宝具『死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)』が炸裂し、一時撤退をすることになる。

ひたすら駆け抜ける、誰も言葉を発さずに無言となるのは当然であった。

マスターを背負いつつ、私は走り抜ける。

先ほどの相対で、相手のサーヴァントを少しでも減らしておきたい、私はそう考えていた。

そう考えていたが、力及ばず、ただただ翻弄されるだけであった。

ああ、私単体で敵1体を屠れる能力があれば……いや、それこそ慢心だ。

生前で獣を相手に1人で戦ったことはあっただろうか。

無い、全て住処の男衆と共に戦い、討ち倒した。

確かに私が討ち取る役割であったが、常に誘き寄せる役割、足を止める役割の仲間がいたからこそ、獣を狩れたのだ。

そして私はキャスターのクラスだ。

正面切っての戦闘など、普通に考えれば無意味に等しいことだ。

確かにスキルを用いて打ち合うことはできる、間を持たせることはできる。

だが、倒しきるなんて必要はない。

そもそも相手の土俵に上がること自体が間違っているのだ。

いや、この特異点にいる以上大きく言えば相手の土俵なのではあるが、その土俵の中で、私が得意とする土俵を作り上げて、そこに相手を誘えばいい。

 

 街からかなり離れた森の近く、漸く腰を落ち着けられるであろう場所にたどり着く。

するとロマンから森の中に拠点とできる霊脈の反応があるという通信が入り、そこへ向かうこととなる。

マスターを背から降ろすと、少しばかり気分が悪そうではあるものの、次の行動はどうすべきであろうか、そう考えているように見える。

そして、少しばかり落ち着いたマスターが私に声をかける。

 

「そういえばボン、もう1人合流した彼ってやっぱり」

 

「そうだな、彼もサーヴァントだ。真名はモーツァルト――ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだ」

 

『マリー・アントワネットとモーツァルトか。二人が幼少の頃にモーツァルトがマリー・アントワネットにプロポーズしたという話は有名だね。だから今は一緒に行動しているのかな』

 

「それで、ジャンヌさんと……マリーさん? それからアマデウスさん。こ」

 

「マリーさんですって!? うーん、とてもいい響き。まるで羊さんみたい! 素敵な異国の方々、わたしのこと、そう呼んでくださるかしら」

 

「ははは、こうなったマリアは僕でも止められないよ。ああ、僕のことは好きに呼んでくれて構わないよ」

 

「うん、わかったよマリーさんにモーツァルト。それで、マシュが言おうとしてたけど、この森の中に霊脈があるから、そこを拠点にしようと思うんだけど、どうかな? 一緒に来てくれる?」

 

「私は、問題ありません」

 

「ええ、ええ、わたしも大丈夫。アマデウスは」

 

「僕に聞いても無駄さ、マリア。君の好きにするといい」

 

「でしたら、向かいましょう」

 

 霊脈にたどり着くと、モンスターが群がっていた。

しかし、雑魚相手には過剰な戦力だった私たちに、追加で2騎のサーヴァントが加わったとなれば、より殲滅は容易であった。

サークルを設置し、改めて自己紹介を行う。

 

「私はボン。しがない物書きさ。真名はボン、クラスはこのような(なり)だがキャスターだ。真名だけでは私がどんな英霊かなんて想像もできないだろう。他称は最古の作家と呼ばれている者だそうだ」

 

「まぁ、お兄さんが最古の作家さんなのですね。『九人の偶像と偶像の頂点を目指す話』は何度も読みいってしまいましたわ」

 

「ああ、そういえばマリアはその話が好きだったね。僕は『軽音楽者達の日常の話』なんかがお気に入りだったかな。たまたま目に入っただけなんだけどね」

 

 まさか、と思わずにはいられないが、彼の英雄王が広めたモノだ、後世の人間の殆どが何かしら、私の書いてしまった本に目を通しているのだろう。

今後出会うサーヴァントにも、何かしら私が書いてしまった本のファンがいるのだろう。

嬉しくもあるが、恥ずかしくもあり、罪悪感も沸いてしまう。

だが、既に事は成ったのである、成るようにしか成らないだろう。

 

「拙作を読んでくれて嬉しいよ。それは兎も角、現状を説明しなければいけないな、立香(マスター)

 

「そうだね、それじゃ説明しようか。その間にオルタとキャスニキとボンは今日の野営地の作成よろしく」

 

 そしてカルデア3騎で野営地を整える。

 

「ヴラド三世、中々の武人だったな。私がセイバーであれば圧倒は可能であったようにも思えた」

 

「こっちはさっさと仕留め切れなかったのが痛かったぜ……殺人鬼として名を残した女だったか? 所詮はその程度、吸血鬼と化してたっても、生前ならそれくらいの兵はごまんと居たぜ。だから尚更な」

 

「私の方は打ち合いで手一杯だったな。そういえば、メイドオルタとの冬木での戦い、あれは手を緩めていただろう? まぁ、そのお陰で私は貴女と打ち合えて嬉しく思っていたがな」

 

「ほう、嬉しいことを言ってくれるじゃないかご主人様」

 

「お熱いな、お二人さんよ。お邪魔虫は退散といきますかね。何かしら肉でも狩ってくるぜ」

 

「ああ、頼んだキャスター」

 

「うむ、任せたぞドルイドの」

 

 そしてこの特異点で初めてメイドオルタと二人きりになるのではあるが、特段イチャイチャしたりすることも無く、黙々と野営の準備を進める。

別にイチャつく必要などないのだ、ただ二人で、近くで、何がしかをできること、それが大事なのである。

未だ戦いの中にあるが、これも一種の息抜きとなるのだ。

 

 夜は更ける、マスターの眠りの時、そして夜襲の時間。

雑魚の相手はお手のもの、マシュにマスターを起こしてもらっている間に殲滅は完了する。

カルデアの2騎、メイドオルタとキャスターのクー・フーリンは伊達ではないのだ。

起き抜けのマスターがやってきた頃に、ようやく姿を現すのは聖女マルタ、狂化され、素が出かけている、素敵な女性だ。

 

「私如きを倒せぬならば、壊れた聖女を打ち倒す事なんてできはしないわ」

 

「んあー……どちらかと言えば、自分が戦いたいだけなんじゃないのかな……ふあー」

 

「ちょ、何言ってんのアンタ……ゴホン、兎に角、私を倒すのです。躊躇無く、その刃を胸に突き立てるのです。さあ、出番よタラスク!」

 

 それは自殺行為となんら変わりはない、神風特攻のようなものだ。

陣地への単身奇襲、察知されるために(わざ)と出された音、完全にこちらの土俵に上がってきただけだ。

メイドオルタを中心に、援護に動くだけでバーサークライダーであった聖女マルタはいとも容易く沈んでしまった。

 

「ふん、やるじゃない。手なんて抜いてないわよ? ま、これで虐殺からおさらばできるわ」

 

 この状態ならば、幾ばくか話ができるであろう。

 

「バーサークライダー……いや、聖女マルタ。聖女であるならば、貴女にも裁定者(ルーラー)クラスの適正があるだろう」

 

「ええ、そうね」

 

「ならば、ルーラーの貴女が欲しい」

 

「「「『なっ?!』」」」

 

 驚き過ぎでは……ないな。

言葉選びに失敗してしまった。

まるで唐突なプロポーズのようだ。

 

「ああ、失礼、カルデアの戦力としてだ。言葉足らずですまない」

 

「何よ、突然、本当にびっくりして手が出そうになったじゃない」

 

「それが貴女の素なのだろう? 聖女マルタ。そちらの方が素敵だと思うぞ。何より好ましい」

 

「うーん? ボンって女たらしだったりするの」

 

「ご主人様、私というものがありながら……」

 

「ボンさん……」

 

 カルデアの女性陣には不興のようだ。

 

「ま、いいでしょう。世界の危機、そちらのマスターと共に救うってのも悪くなさそうだしね。マスターもアンタも面白そうだから、そうね、この手甲を持って行きなさい」

 

「ありがとう、ライダー」

 

「マルタでいいわ、未来のマスターさん。それと最後に一つ、竜の魔女が操る究極の竜種に貴方達だけでは勝てない。あの竜種を倒せるのはドラゴンスレイヤーだけ。だからリヨンへ、リヨンへ向かいなさい。それじゃ、またね。今度はタラスク共々マトモに召喚して欲しいものだわ……」

 

 そしてマルタは座に還った。

 

「とても穏やかで、激しい方でしたね。鉄の聖女、最後は拳で解決する金剛石のような方」

 

「あれは確実に説法なんかしてねえ、拳の力技でやったにちがいねえ」

 

「それは兎も角、彼女が目的地を示してくれたんだ、早速向かわないかい」

 

「ああ、そうだな、マスターどうする」

 

「しかしまだ夜中だ、早いに越したことはないが、マスターは人間だ。メイドとしては、十分に睡眠を取って翌朝早朝に出発するべきだと提言する」

 

「んー今の戦闘で目も覚めちゃったし、行こうか。リヨンへ」

 

 そして、私たちはリヨンへ歩を進める。

 

「ところで、ボン。なんでマルタが欲しいだなんて言ったの」

 

「ああ、やはりメイドオルタのように好ましいと思ったからだな。それに裁定者(ルーラー)となれば、真名看破もできるであろう。私だけでなく、彼女が真名を看破できれば、より精度は上がる」

 

「あはは、取ってつけたような言い方だね」

 

「どう取ってもらっても構わないさ」

 

 まだ、リヨンは遠い。




今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
クッソ寒いネタとかいろいろぶち込んですいません。
あと今回のマルタが欲しいはやりたかったことなので、出来て満足!
尚、我がカルデアにはライダーもルーラーもいない模様。

ところで、更新していない間もお気に入りが増え続けていたのですが、どのような検索でチラシ裏なこの拙作に辿り着いているのでしょうか?
私、気になります!
まあ、FGOという原作コンテンツが強すぎるだけだからでしょうががが……

お気に入り登録、評価、感想、ありがとうございます。
誤字脱字、変換ミスや矛盾等の報告、改善点がわかるアドバイスは大歓迎です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。