FAIRY TAIL~愚者の魔導士~   作:ほにゃー

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プロローグ

「てっテメー……一体何者だ………?」

 

壁を背に座り込んでる男は目の前の黒いコートを着た男に尋ねる。

 

男は闇ギルドの魔導士で、ついさっきまで他の仲間たちと酒を飲みながら、今日自分が何をしたのかを自慢げに話していた。

 

すると突如この男が現れ、仲間たちを殺し始めた。

 

最初に男を追い返そうとした仲間は行き成り銃を向けられ、頭を撃ち抜かれて殺された。

 

そのまま銃に込められた弾を一発も外すことなく他の五人の仲間たちの額に当てて殺した。

 

そっからは魔法による殺し合いになるはずだった。

 

だが、魔法は発動せず、そのまま一方的な虐殺が起きた。

 

男は銃とナイフ、体術を駆使し次々と魔導士を殺していった。

 

中にはナイフや剣で反撃しようとした者もいたが、魔法を得意とする彼らに白兵戦は無理がありあっさりと殺された。

 

時間にしてわずか数分。

 

この男を残して他の魔導士は全員が死んだ。

 

「俺が誰かなんてどうでもいいだろ?今からお前は死ぬんだ……」

 

手にした銃の引き金に力を込めながら言う。

 

「くそっ………悪魔めがっ………!」

 

男は歯軋りをし、恨みを込めて男に言う。

 

そして、乾いた発砲音が響き渡る。

 

「悪いが、俺は悪魔じゃない。俺は………愚者だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………たっく、嫌な夢見たぜ」

 

ベッドから起き上がり、青年は頭を掻きながらシャワーを浴びる。

 

シャワーを浴びた後は、服を着替え部屋を出る。

 

「おい、おやじ。清算頼むわ」

 

「あいよ」

 

宿屋の店主に生産を頼んでいると、なにやら外が騒がしかった。

 

青年は店の外に顔を向けると、そこにはドレスを着た女性たちが出歩いていた。

 

「なぁ、おやじ。今日は何かパーティーでもあるのか?」

 

「お客さん知らないの?今、《妖精の尻尾(フェアリー・テイル)》の魔導士が町に来ててね。その人が船上パーティーを開いてるんだよ。町の女の子たちの殆どが招待されてるって話だよ。うちの娘もそのパーティーにさっき行ったところさ」

 

「《妖精の尻尾》が?」

 

それを聞き、青年は何か考え込むと店主に尋ねる。

 

「なぁ、ちなみにその魔導士の名前は?」

 

「名前は名乗ってないけど、火竜(サラマンダー)って呼ばれてるらしいよ」

 

「なるほど………泊めてくれてありがとな」

 

店主にお礼を言うと、青年は店の外に出る。

 

そして路地裏に入るとあたりに人がいないことを確認し口を開く。

 

「《三界の理・天秤の法則・律の皿は左舷に傾くべし》」

 

すると、青年の足元に魔法陣が展開される。

 

そして、光が収まると、青年は一気に跳躍する。

 

青年が使ったのは魔法。

 

青年は魔導士だった。

 

今の魔法は、《グラビティ・コントロール》と言い、自身又は触れた対象らにかかる重さを軽減させたり逆に重くさせることが出来るものだ。

 

そのまま民家の屋根まで上がり、屋根を足場にして海へと向かう。

 

海につくとパーティーをしていると思われる船を見つけ、青年はその船に乗り込む。

 

「《妖精の尻尾》に《火竜》。どうにもきなクセェな」

 

誰にも気づかれないように隠密行動で船内を散策していく。

 

「焼き印に販売禁止の魔法………銃に剣、そして奴隷の売買リスト………間違いなく黒だな。これだけ証拠がありゃ、軍にコイツを渡して一斉検挙だな」

 

手にリ得た証拠を懐に入れ、立ち去ろうとした瞬間、青年の後頭部に冷たく硬いものが押し当てられる。

 

「おい、何してやがる?」

 

「えっと……道に迷っちゃった的な?」

 

そう答えた瞬間、青年は思いっきり殴られ床に倒れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ………イッテェ……!ちっ、まさか俺が捕まっちまうとはな」

 

青年は体を縛られ、倉庫に押し込められていた。

 

「銃とナイフは奪いやがったか。ご丁寧に魔法封じのスペル・シールを施した縄で拘束してやがる。でも、ちょっと身体検査が足りなかったな」

 

そう言い、靴をコンコンと鳴らす。

 

すると、つま先からナイフが飛び出す。

 

「隠しナイフがあったりしちゃうんだな~」

 

そのナイフを使い、青年は縄を切り、立ち上がる。

 

「銃とナイフは新調するか……結構気に入ってたのに……!とりあえず、情報だけ持って軍の詰め所に行けばあとはどうにかなるか。証拠もあればもっといいんだが、探してまた見つかったら嫌だしな」

 

外の様子を聞きながら、青年はゆっくりと倉庫から出る。

 

その瞬間、ものすごい音が響く。

 

「なんだ?何か突っ込んだのか?」

 

「おい!さっきの不審者が倉庫から逃げ出してるぞ!」

 

その声に後ろを振り向くと、何人かの男たちが銃を手にして居た。

 

「絶対逃がすなよ!殺してでも止めろ!」

 

男たちはそのまま引き金に指をかけ、銃を撃ってくる。

 

「《我・時の頸木より・解放されたし》!」

 

その瞬間、青年は目にもとまらぬスピードで動き出し、男たちの懐へと潜り込む。

 

そのまま格闘技を次々と気絶さしてゆく。

 

「うぐっ!」

 

魔法が切れた瞬間、青年はその場に膝をつき倒れる。

 

「はぁ……瞬間的に加速できるのはいいが、効果が切れた後加速した時間の分だけ減速するのはキツイな」

 

今の魔法は《タイム・アクセラレイト》と言い、自身に流れる時間を加速させることによって、一定時間爆発的に加速することが出来る。

 

しかし、効果が切れると同時に加速した時間の分、減速してしまうデメリットもあり、好んで使うものはあまりいない。

 

「さっきの音も気になるが、一刻も早くここから出よう」

 

壁に無理矢理穴でもあけてそこから逃げようかと考えていると、今度は船が急に揺れだし、青年は壁にたたきつけられる。

 

「おいおい!今度はなんだ!?これ、流されてんのかよ!?」

 

青年の考えは当たっており、船は突如起きた波に押され、岸まで戻っていた。

 

そして、押し戻された衝撃で、青年は床を転がり、ある一室の扉を破壊した。

 

「イッテェ~!なんでこんな目に会うんだよ!」

 

怒りながら、体を起こすと、そこには男たちが何人もおり、その中には青年を気絶させた男もいた。

 

「どうやら皆で仲良くパーティーtってわけでもなさそうだな」

 

そう呟き青年は起き上がる。

 

「俺としてはここからおさらばして、軍の詰め所まで行ってお前らの悪事を話したいんだけど、逃がしてはくれないよな」

 

青年はそう言い、コートのポッケに手を入れて言う。

 

「たりめぇだろ。悪いがテメーには死んでもらおうぜ」

 

男は、手を向け、魔法を使おうとする。

 

「ちょ、ダメ!」

 

すると、部屋の中に金髪の少女と一匹の青い猫が入ってきて、それを止める。

 

「あれ?ハッピーじゃねぇか。なんでここにいんだ?」

 

「成り行きです、はい」

 

「ナツは?」

 

「そこにいるよ」

 

指さされた方を見ると、そこには荒い息をしながらふらついてる桜色の髪をした少年がいた。

 

「船酔いでグロッキー状態か。仕方ねぇ、あいつらとは俺が遊んでおくから、お前はちょっと休んでな」

 

「はっ!敵を前にのんきに会話してんじゃねぇよ!死にな!」

 

手を中心に魔法陣が展開され、魔法が放たれようとする。

 

「ダメ!逃げて!」

 

少女は鍵のような物を出し、鍵を使った魔法、精霊魔法で助けようとする。

 

だが、間に合わず魔法が放たれる。

 

しかし、魔法は放たれず、魔法陣は砕けるように消える。

 

「は?な、なんで!?」

 

男はもう一度魔法を使おうとするが、魔法は発動せず、魔法陣は砕けるばかりだった。

 

「悪いが、もう魔法は使えねぇぞ」

 

そう言い、青年はコートのポッケからある物を取り出す。

 

「愚者の……アルカナ?」

 

「俺はこのカードで変換した魔法式を読み取ることで俺を中心とした一定効果領域内における魔法を完全封殺することができる。それが《愚者の世界》だ」

 

「ま、魔法の完全封殺だと?そんな魔法、聞いたことねぇぞ!」

 

「そりゃそうだろうな。なんぜ、俺が作った固有魔法(オリジナル)だからな」

 

固有魔法(オリジナル)だと!?てめー、その域に達してるっていうのか!?」

 

青年が固有魔法(オリジナル)を持っていること、そして、魔法の完全封殺に男たちは完全にビビり、一歩下がる。

 

(魔法の発動を無効化するなんて、そんなの無敵じゃない。ワンサイドゲームなんてものじゃない!反則級の術じゃない!)

 

少女も青年の魔法の効果に驚きを隠せずにいた。

 

「まぁ、俺も魔法が使えないけどな」

 

は舌を出し、へらっと笑う。

 

「「「「「は?」」」」」

 

二人だけでなく、その場にいた全員が、その言葉を聞き、口を揃えてそう言う。

 

「いや、だって俺も効果領域内にいるんだからさ」

 

その瞬間、男たちは大笑いをし、青年の魔法を馬鹿にし始める。

 

「魔導士が自分の魔法まで封じ手どうすんだよ!お前、どうやって戦うんだよ!?」

 

「いやいや、魔法がなくてもコレがあるだろ?」

 

そう言い青年は握った拳を見せる

 

「は?拳?」

 

「そう、拳」

 

青年はそのまま有無も言わさず、拳を男の顔面に叩き付ける。

 

男は鼻血を出し、後ろに下がる。

 

「て、テメー!」

 

男は青年に掴み掛ろうとするが、青年はそれを躱し、カウンターのように再び顔を殴る。

 

そして、足を引っかけ、バランスを崩すと、そのまま回転させるように投げ飛ばし、壁に叩き付ける。

 

「やっぱ、なまってんな。ここ最近、ぬるい依頼ばっかだったし、久しぶりに高難易度の依頼でも請けないとな」

 

「うっ!ぐっ………妙なアレンジが加わってはいるが、今のは間違いなく軍隊格闘術だ……!テメー……何者だ!?」

 

「俺か?いいぜ、教えてやるよ。俺の名は」

 

青年は、胸元の服を緩め左胸にあるある紋章を見せる

 

「グレン=レーダス。魔導士ギルド《妖精の尻尾》の魔導士だ」

 

「なっ!?テメーが《妖精の尻尾》の魔導士だと!?」

 

「ああ。それで、テメーらの顔見たことねぇんだが、俺が知らない間に新人でもはいいたのか?だったら、見せてくれよ。《妖精の尻尾》所属の証の紋章をよぉ」

 

グレンはニヤニヤと笑いながら尋ねる。

 

「あの紋章、本物だ!」

 

「まずいですよ、ボラさん!」

 

「ば、馬鹿!その名で呼ぶな!」

 

「ボラ?ああ、紅天(プロミネンス)のボラか。《巨人の鼻(タイタンノーズ)》にいた魔導士の」

 

「確か数年前に追放された奴だね」

 

「知ってる!魔法で盗みを繰り返して追放されたって!」

 

「つまり、今ここでテメーらをボコしてもいい理由があるってわけだな」

 

グレンは腕を鳴らしながら、拳を構える。

 

その時、先ほどの少年、夏が立ち上がっていた。

 

「グレン、こいつらはオレにやらしてくれ」

 

「……いいのか?まだフラフラじゃねぇか」

 

「あいつらは《妖精の尻尾》の名を騙った。善人だろうと、悪人だろうと知ったことじゃねぇ!絶対に許さねぇ!」

 

「そうかい。なら、お前が決着つけろよ」

 

そう言い、グレンは《愚者の世界》を解除した。

 

「バカめ!敵の前で魔法を解除するとはな!死ね!」

 

するとボラはナツに向かって火の魔法を放つ。

 

「ナツ!」

 

少女はナツがやられたことに声を上げる。

 

「心配すんなよ。ナツに炎は効かねぇよ」

 

「お前、本当に火の魔導士か?こんな不味い火は初めてだ」

 

そう言って、ナツはをもしゃむしゃと喰らっていた。

 

「喰ったら力湧いてきた!」

 

ナツは頬を膨らませ、何かを吐き出すような構えを取る。

 

「お。思い出した!桜色の髪に、鱗みてぇなマフラー!間違いない!コイツは!」

 

「火竜の!」

 

「本物の火竜(サラマンダー)だ!」

 

「咆哮!」

 

ナツは口から炎を吐き出し、男たち、奴隷商人共を吹き飛ばす。

 

そして、残ったボラに向かって炎を纏った拳を向ける。

 

「よーく覚えておけよ。これが《妖精の尻尾》の魔導士だ!」

 

そして、ナツはボラを殴り倒す。

 

「火を食べたり、火を吐いたり、火で殴ったり………本当に魔法なの?」

 

「ああ、間違いなくあれは魔法だ」

 

「竜の肺は炎を吐き、竜の鱗は炎を溶かし、竜の爪は炎を溶かす。自身の体を竜の体質へと変換させる太古魔法(エンシェント・スペル)

 

「元々は竜迎撃用の魔法。その名は滅竜魔法。それを使う魔導士、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)。それがナツだ」

 

「育ての親、火竜のイグニールがナツに教えたんだ」

 

「………竜が竜退治の魔法教えるって変な話ね」

 

少女がそう言うと、ハッピーはハッ!っとした顔になる。

 

「疑問に思わなかったのね。………確かに凄いけど……やり過ぎよ!」

 

少女の言う通り、ナツは暴れまくり、港を半壊させていた。

 

「ありゃりゃ、こりゃまた大目玉くらいそうだな。おっ、俺の銃とナイフじゃん!」ラッキー!」

 

グレンは落ちていた自分の銃とナイフをホルスターに収め、満足そうに笑う。

 

すると騒ぎを聞きつけて、大勢の兵士がグレンたちに近づいていた。

 

「やべ、逃げんぞ!」

 

「あい」

 

ナツは少女を掴み、走り出す。

 

「俺も逃げる」

 

グレンもその後を追いかけるように走り出す。

 

「ちょ、ちょっと!なんであたしまで!?」

 

「だって、妖精の尻尾(俺たちのギルド)に入りてぇんだろ?来いよ!」

 

「……うん!」

 

ナツはにかっと笑うと、少女も釣られて笑顔になり、頷く。

 

「んじゃま、自己紹介と行くか。俺はグレン=レーダス!よろしくな!」

 

「あたしは、ルーシィ!よろしくね!」

 

逃げながら自己紹介をしつつ、三人と一匹はハルジオンの町を駆け抜け、ギルド《妖精の尻尾》へと向かった。

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