翌朝、駅に集合したメンバーの中に、ルーシィもいた。
どうやらミラに、グレンはともかく、ナツとグレイ、エルザの仲はおせじにもいいとは言えず、ギクシャクしたところがあるので、仲を取り持ってほしいとの事で、ルーシィも同行することになった。
ちなみにナツとグレイはと言うと出会うって早々に喧嘩をしていた。
「あいつらは、一日何回喧嘩すりゃ気が済むんだ?」
そんな二人を眺めつつ、グレンはホットドッグを頬張る。
「すまない、待たせたか?」
そこにカート一杯の荷物を載せたエルザが現れる。
「相変わらず荷物が多いな。一泊、二泊する量じゃねぇぞ」
「そうか?これでも少ない方なのだが」
一年近くは旅行するのではと思える量の荷物に、ルーシィは「あれで少ない方なの!?」っと心の中で突っ込む。
「あ、そうだ。エルザ、こいつはルーシィ、最近入った新人だ。訳あって今回の依頼に同行することになったぞ」
「新人のルーシィです。ミラさんに頼まれて同行することになりました。よろしくお願いします」
「そうか。君が噂の新人か。なんでも傭兵ゴリラを倒したとか」
「それナツだし……てか、いろいろ違ってるし……」
「今回は少々危険な橋を渡るだろうが、その活躍ぶりなら平気そうだな」
「危険!?」
危険という言葉に、ルーシィは驚く。
「何の用事が知らねぇが、ついてってやるよ。条件付きでな」
「条件?」
ナツが急にそんなことを言い出し、全員が驚く。
「帰ってきたらオレと勝負しろ。あの時とは違うんだ」
ナツは昔、エルザに喧嘩を売ってボコボコに返り討ちになったことがある。
そのナツがもう一度、エルザに戦いを挑んだ。
グレイは無茶だとナツに言う。
「確かに、お前は成長した。いささか自信がないが、いだろう、受けて立つ」
そして、エルザはその条件を飲んだ。
「おっし!燃えてきたぁ!やってやろうじゃねぇか!」
「はぁ……はぁ、はぁ、はぁ………!」
列車に乗るなり、ナツは早速酔ってしまい、辛そうになる。
「なっさけねえなぁ」
「毎度のことだけど辛そうね」
「仕方ない。私の隣に来い」
エルザはナツを隣に呼び、そして、腹を殴って気絶させる。
「少しは楽になるだろう」
なんか違うだろっと言う突っ込みをグレンはしたかったが、何も言わず黙っていた。
「そう言えばあたしナツとグレンの《愚者の世界》以外の魔法って見たことないかも。エルザさんは、何を使うんですか?」
「エルザでいい。私の魔法は「エルザの魔法は綺麗だよ」
エルザが答えようとしたが、先にハッピーが答える。
「相手の血がいっぱい出るんだ」
「綺麗なの?」
「大したことはない。私はグレイの魔法の方が綺麗だと思う」
「そうか?」
グレイはそう言い、掌で拳を握る。
すると冷気が起き、グレイの手には《妖精の尻尾》の紋章を型取った氷の彫像があった。
「氷の魔法だ。グレン、オメーの見せたらどうだ?」
「別に大したもんじゃねぇぜ?俺のは詠唱魔法だ」
「詠唱魔法?」
「まぁ、今は使う奴なんていねぇ魔法だ。知っての通り、魔法を使う時、呪文はいらねぇだろ?でも、詠唱魔法は呪文の詠唱が必要なんだ。こんな風にな」
グレンはそう言って、試しに《ショック・ボルト》を使う。
撃たれた《ショック・ボルト》は床に当たり散る。
「ナツが魔法使う時、咆哮とか鉄拳っとか言ってるだろ。アレは技のイメージを固める為に言ってるだけで、実際はいらないんだ。事実、グレイは今何も言わずに、魔法を使っただろ?だが、詠唱魔法は詠唱することで魔法を発動する。これは絶対なんだ」
「じゃあ、使いづらかったりするの?」
「当たり前だろ?だから、使う奴なんて今はいねぇんだと。知ってるやつもいねぇだろうな」
「なら、なんでグレンは使ってるの?」
「それはだな、詠唱魔法には他の魔法にはない詠唱魔法ならではの面白さがあるんだよ」
「詠唱魔法ならではの?」
「まぁ、それは秘密だ。ギルドにいりゃ、いつか目にする機会もあるだろう」
「じゃ、エルザ。そろそろ本題を頼む」
「ああ、そうだな」
グレンの魔法についての説明が終わり、エルザが本題に入る。
エルザは昨日、グレンに話した内容をそのまま二人にも伝える。
そして、話してる内に目的の駅に着き、全員が下りる。
「《鉄の森》か……確か、六年前に魔導士ギルド連盟から追放されたんだっけか?」
「ああ。今は、闇ギルドにカテゴリーされている」
「追放って、処罰はされなかったの!?」
「されたさ。《鉄の森》のマスターは逮捕され、ギルドは解散命令を出された。しかし、闇ギルドの大半が解散命令を無視し活動し続けているギルドの事だ」
「なるほど。確かにギルド一つとなりゃ、エルザも骨が折れるわな」
「奴らはララバイを奪い、何かを企んでいる。それを看過することはできない。乗り込むぞ、《鉄の森》に!」
「面白そうだな」
エルザの言葉に、グレイは面白そうだと言って笑う。
ルーシィはと言うと話を聞いて帰りたくなっていた。
「ん?なぁ、エルザ」
「どうしたグレン?」
「いや、ナツはどうした?」
グレンのそのセリフに、エルザ、そして、グレイ、ルーシィ、ハッピーも辺りを見渡す。
「「「「あ!」」」」
全員がナツを列車に置いて来てしまったことを知った。