此処は獄土か楽園か-忌み嫌われし半妖の話   作:お隣の池の中のプラナリさん

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この作品は東方projectの二次創作です。
そして不快な描写が含まれます。それでもよいという方は先に進んでくださいね。


プロローグ

 

それは昔。幻想郷を管理する博霊の巫女がまだ霊夢ではなかった頃に遡る。

人間と妖怪の対立が続き、全面戦争が起き、終わり、また始まりと繰り返している....そんな時期であった。

 

「穢れた妖怪こっからでてけぇ!」

「この親無し意気地無しぃ!」

「さっさと地獄に落ちやがれぇ!」

 

人里にて、まだ寺子屋に通っているだろうという程の年齢の子供が、数人で1人の同じくらいの背の小さな子供を囲いこんで不快な言葉と共に石を投げつけたり枝で頭をつついたりしていた。

 

「~~っ!!!」

 

其の子はしゃがみこんで震えていることしか出来なかった。囲いこんでいる子供達の言動から其の子は妖怪であることがわかる。人間と大差ない和服を着ている白い髪の子。普通であれば虐めと捉えられるが、周りにいる大人達はそれを見て見ぬふりをしている。

 

 

「おらおら~!お前みたいな無能は親に捨てられたんだよぉ!ざまぁねぇなぁ!」

 

「.....!」

 

 

其の子は人間の少年にとがった枝でツンツンと頭をつつかれていた。しゃがみこんでいるため表情はうかがえないが、「親」という単語が聞こえるたびにピタッと震えが止まったりしている。

 

そして....

 

 

「いだっ!?」

 

ザシュッ!という音と共に少年の左肩を切り裂いた。爪ではない。其の子が懐に隠し持っていた銀色の短剣に近い道具。魚などを捌くのに使われる鋭い刃を持つナイフのようなものだった。

 

「いでぇぇぇよおおお!!」

 

少年は肩を押さえて泣き出した。周りの子供達もあたふたとしている。其の子は半ば涙を浮かべている緋い瞳で子供達を睨む。

 

「......。」

「あっちいけ!妖怪!」

「大丈夫?ねえ?」

「いでぇぇぇよおおお!!」

 

其の子はただ無言で人間らを見る。人間の子供達は、其の子を罵倒したり、傷ついた子供を慰めたりしている。これでは其の子が悪者だ。しかし其の子は先程切り裂いた少年の頭をわしづかみ、ドスが効いた声でただ冷淡に話しかける。

 

「.....取り消せ。」

「あっちいけよ!この穢れた妖怪め!」

「別に謝らなくていいから取り消せ。」

「謝ることなんてないぞ!この妖怪!」

「おい。聞いてるのか。」ギラッ!

「ひいぃ!?」

 

少年の首に先程の血の付いたナイフを突きつけた。わしづかんで動けなくしてからナイフを少年に見えるように突き付け、少年の恐怖心を煽った。

 

「......。」

「......。」

 

そして無言と静寂が続く。周りの人間たちもこの騒動をただひたすら見守るしかなかった。下手に手を出せば少年が殺されかねないのだ。人間にとって刃物とは、とても残虐で危ないものなのだ。

 

 

 

そして、その静寂が暫く続いた頃其の子は突然軽くではあるが吹き飛んだ。其の子は大きく仰け反って怯んでいた。

 

「なにをやってるこの糞妖怪め!うちの子を怪我させやがって!この落とし前はどうつけてくれるんだ!?」

 

「.....因果応報。」

「あ゛あ゛ん!?」ドスッ!

「....っ!」ポタポタ...

 

少年の親と見られる人間は、其の子の腹に蹴りをいれた。其の子というと、痛みに倒れこんで口から血を吐いている。息も絶え絶えになり、かなり弱っている。

 

「この糞妖怪め...人里から出てけ!」

「きったねぇな吐くなよ!糞妖怪!」

 

あらかた気がすんだか、親子が戯れ言を吐き捨ててその場から姿を消すように帰路につく。周りの人間も其の子を哀れんだり蔑んだような目で見ながらそれぞれの帰路へついた。

 

「くっ...うぅ。」

 

そしてやがて、其の子も体勢を整えて傷ついた身体を引きずりながら人里から離れた。

 

 

≧≦

 

暗がりの森

 

其の森は、妖怪の山という人が寄り付かない断崖絶壁の危険地帯である山のふもとの日光が射さない深い森である。其の子はそこの木陰で座り込んでいた。先程蹴られた腹を押さえて呼吸を整えているのである。

 

「.....むしゃ。」

 

其の子は味気ない水分だけの実を無表情で食べる。美味しくもないが味気ないから不味くもない。そんなものを食べているのだ。いつも。

 

 

「人間のやつは横暴だぜ!全く!」

「あんな奴等の側につくなんて妖怪の賢者も堕ちたもんだな!」

「全くだぜ!ケケッ!」

 

その声が聞こえるとほぼ同時に、其の子は身体を震わせて体勢を低くする。それはまるで声の主らから隠れるかのように。

 

(此処はイカれている....理不尽だ。)

 

其の子は妖怪からは人間として扱われ、ストレスの捌け口に殺されかけたりしている。其の子は妖怪と人間、どちらの血をも引き継いだ、所謂半人半妖という存在なのである。

 

人間からは妖怪と忌み嫌われ、妖怪からは人間と扱われる半端者である。

 

其の子は人間や妖怪のコミュニティに参加できず、稀に紛れては武器や酒を盗み、ばれては傷を負い。そんな生活を送っていたのである。

 

 

そして其の子の生活が変わったのは、その頃の博霊の巫女らと、妖怪の大群による全面戦争が終わった頃。100年近く後の話である。

 




※プロローグです。
半人半妖はストレスの捌け口として扱われてたという。霖之助おまいう....
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