緋月昇は記録者である   作:Feldelt

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第23話 邂逅がもたらす■■

速やかに殲滅せよ...俺はそう言った。

が、勇者部一同は動かない。

 

「ちょ、ちょっとあんた達!?返り討ちにしてやるって気合い入れてたのにどうしちゃったのよ!?」

 

それは夏凜だけじゃないかと一瞬思ったが40日前を思い返すと勇者部全員が対バーテックスに対して躍起...とまではいかなくても消極的ではなかった。つまり、この40日の間に心の持ちようが変わってしまったのだろう。だとしたら、大赦としての緋月昇がとるべき行動は...

 

「しゃーない夏凜、俺はほとんど非力だg」

「よぉぉぉーーっし!」

 

友奈が雄叫びを上げる。ちょっと、今俺が参戦意志示そうとしてたんですけど!?

...まぁいい。友奈が火付け役となってくれればどうにかなるだろう...

 

「友奈ちゃん...?」

「風先輩、ひーくん、敵はあれだけなんだよね。だったらとっとと終わらせて文化祭の劇の話をしましょう!」

「待ちなさい友奈!私も...!」

 

友奈を追って夏凜が跳ぶ。次いで俺、東郷、部長姉妹が2人を追う。あの2人は既に会敵。ダブルパンチで双子型の進行を押さえる。思わず口笛を吹いた。が、双子型はしぶとく走ろうとする。

 

「させないわ、よ!」

 

先輩がくないのような刃物を双子型の脚と思われる部位に突き刺しまた動きを止め、

 

「もらった...」

 

東郷が跳躍の最高点から双子型の頭部と思われる部位を破裂させる。前者はともかくとして後者はえぐいなぁ...事実双子型は沈黙した。

 

《封印行けます!》

 

樹が目で訴える。ほんとにモールスいらなかったな...わかっちゃうんだもん...

 

まぁ、それはともかく封印開始 。

今回の御霊のささやかで面倒な最後の抵抗は...!?

 

「って、何この数ぅぅ!?」

「私がやるわ!」

 

小型で面範囲に広がる御霊の全破壊は確かに先輩の女子力による制圧がいいだろう。

 

「私が殲滅させてもらうわ!」

「ダメよ夏凜!部長命令よ、やめなさい!」

「何言ってるのよ。私は助っ人よ。好きにやらせてもらうわ!」

「アホか夏凜!言い争ってる場合じゃねぇだろ!まず口より手を動かさねぇと...」

「うおぉぉぉぉ!!!」

 

言い争いを鎮める、というか断ち切って友奈が跳ぶ。その脚には炎。あれ、もしやこれってあれだよな。ドロップファイアーの下りに見える...まさか!

 

「勇者、キィィーーック!!!」

「うおっ、危ねっ!?」

 

友奈の炎のドロップキックは小型御霊を焼却しつくす程の威力だった。...制服の俺は札の力で跳ぶ距離を高くしないと丸焦げになるところだったが...

 

「友奈...!何勝手に見せ場とってるのよ!」

「あーごめん!ついつい火車の力を使いたくなっちゃって...反省してます...」

「...それはいいわ。体は大丈夫?」

「友奈ちゃんにこれ以上なにかあったらと思うと心配で...」

「大丈夫大丈夫!元気そのもの。みんなが無事でよかったぁ...」

 

先輩と東郷は友奈本人を心配していたのに対して本人は他人優先か...あの子は危うい気がする。優しすぎる気がする。それでも俺はその優しさで誰かが(主に東郷)安らいでいるのを見てきた。...あれ、なんでこんな心配をしているのだろうか。

 

 

───────

 

 

樹海から帰ってきた。学校の屋上だ。

 

《皆さんお疲れ様です。》

 

樹が今度はスケッチブックに書いて意思疎通をする。俺は少し疲れた声音で「だな。」とだけ返した。

 

「いいえ、まだそれを言うには早いわ樹。友奈、今日私の家に泊まりなさい。そしてそこでみっちりお説教を──って、あれ?友奈?」

 

友奈がいない。ついでに東郷もいない。そしてその理由を考える前に着信が入り、スマホを確認する。発信元は春信さんからだった。

 

「マジすか...はい緋月です。...はい、現在讃州中学屋上ですが...はい...なんですって?えぇ...本庁に、ですか。本庁に!?え、ちょ...はい、迎えも手配した...わかりましたすぐ行きます。」

 

通話を切って興味深そうにこちらを見る三人にざっくりと説明する。

 

「呼ばれたからちょっと本庁行ってきます...夏凜、友奈の代わり俺な。んじゃ。」

「はぁ!?ちょ、昇!?」

「気をつけなさいよー。」

 

 

───────

 

 

「園子様が友奈と東郷を呼び寄せて、俺はこれから■■■■■■■なるものをしないといけないのか...いやまぁ確かに■■■■可能性はあるけどさ...」

 

本庁に着いてすぐにこれからやることを整理する。気の乗らない事だらけだ。せめて夏凜に連絡だけでも入れるか...「カレーが食べたい」ってな...

 

「緋月様、お待たせ致しました。こちらに。」

 

仮面をつけた女性の神官さんが俺を誘導する。

 

──これから俺のやることは、■■■ともとれるものだ。それでもやらなければならない。だって──

 

 

───────

 

 

「友奈ちゃん、東郷、さん...咲き誇った花は、やがて散っちゃうんだよ。」

 

「満開にはね、散華っていう隠れた機能があってね、満開を使っちゃうとその後 、体のどこかが不自由になっちゃうはずだよ。」

 

 

───────

 

 

もう、真実を知ってるのは大赦だけじゃ無くなった...そしていずれきっと、■■■■■■■にたどり着くだろう。

 

その時の、抑止力。

 

報告書じゃなくてまさか、こんなことをさせられるなんてね...やれやれ。最悪だ。

 

 

 




検閲ラッシュ。

次回、第24話「それでも望みたい」

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