本庁での■■■■■を終えて、俺は速攻で帰宅した。...以上。
なんかこれから話すことがもうないんだよね、寝るだけだし。
「人にカレーをねだっておきながら放置とはいい度胸してるわね...」
いやそんなこと言われましてももう食事も喉を通らないくらい疲れたといいますか......ん?
「夏凜?合鍵使ったのか?いつからそこに?」
「さっきよさっき。あんたが友奈のかわりに泊まるって言うしカレー食べたいなんて変なメール送ってくるし...そのくせ戻って来たのは9時半って...準備するこっちの都合も考えなさいよ全く...」
冗談で言ったつもりだったが夏凜はほんとに俺がそうすると思ってくれたのだろう。ほんといい子だ。だとするなら冗談でした行きませんなんてことは口が裂けても言えない。
「あぁ、悪い。本庁で色々あって...今から行くよ。」
「聞いても話せない案件なのでしょうね...はぁ、じゃあとっとと準備してきなさい。温めてくるわ。」
...優しい、というか一瞬結婚してたっけ?的な類いの錯覚が頭をもたげた。それが錯覚でないのなら最良なのだろうけど......
「俺はほんとに夏凜が好きなんだな...」
どこか他人事のように感じる。
今までの感情とは全く違うから、どうすればいいのかわからない。
結局自嘲的な笑みが何故か浮かんできて、何故自嘲する必要があったのかがわからなくなった。
緋月昇は今の自分がよくわからない。
「それでいいのかもな...」
そう思うことにして、隣の夏凜の家に赴くことにした。
───────
「で...準備していると思ってたら...レトルトかよ...」
「仕方ないでしょ、ってか、私が料理できないの知ってるわよね。」
「でもうどんは作れるだろ...?」
「まぁ、それは。昇、カレーに煮干し入れる?」
「入れるか!?せめて福神漬けだろ!?それかスパイスとかだろうけど...後は愛情とか?」
『......』
沈黙が流れた。...流石にまずったか...
「昇、ぶっ飛ばすわよ?」
「カレーを道連れにするつもりか!?」
「返しがズレてる!」
『......』
また沈黙が流れた。でも今度は少し違う。
「ふふふ...」
「くくく...」
『あはははははっ!』
なんでか知らんが今度は二人して笑い始めた。
全く何が何だかよくわからんがこれはこれでいいのかもしれない。
「とりあえずカレー食べようか...」
「そうね。...全く...昇が変なこと言うからよ。」
「俺がなんか言ったかー?」
「っ...!なんでもないわよっ!///」
───────
夏凜の反応というものはいつ見ても楽しいものだ。飽きない。
「...ねぇ、昇。一つ聞いていいかしら?」
「なんだ、夏凜。」
状況は風呂入った後(所謂お風呂イベントみたいなものを期待していた人もいるかもしれないけどそんなのあったとしても俺が記録するはずないだろ...)で、寝間着に着替えて布団に(というかベッドに)いる。何も変な状況ではあるまい。眠いから布団に入る。何の不都合もないではないか。
「どうしてあんたが同じ布団に入ってんのよ!?狭いし暑いし!何より近いし!あんた一体何がしたいのよ!?」
「どーどー...条件は俺も同じだっての...それよりも夏凜、髪おろした方が可愛いぞ?」
「んなぁ...///って、話題変えようとしたわよね!?」
ばれたか。
「何のことかな...しかし思ったがやっぱり狭いな...しゃーない。せめて1.5人分の横幅にすれば問題あるまい...」
「は?一体何すんのよ...」
「こうするの。」
このベッドはシングルベッドだ。やはり二人で横になるのは無茶があるというものだ。だが、それは俺と夏凜の間に空間があるから。ならその空間を限界まで詰めればよかろうなのだ。
そう、抱きしめちゃえば何ら問題はないのである。
「な、ななな、ななななな...///」
「なぁ、夏凜、俺はちゃんと夏凜が好きだって言ったよな...で、記憶が確かならその返事はまだもらっていない気がするんだけど...今ここでくれよ。俺が起きてるうちに。」
「え、えぇ!?なななんでそんないいいいきなり言われても!?」
「うるせぇよ...自分に素直になれってんだ...俺だって"記録者"じゃない緋月昇は夏凜にしか見せねぇっての...教えてくれよ三好夏凜。君の答えを...」
「あーーーーーもう!こったえればいいんでしょ!?好きよ昇、これでいいんでしょ!?///」
「それでいいよ。おやすみ。」
「っ......///...のーぼーーるーーー!!!!」
この後夜だというのに今にも暴れだしそうな夏凜をどうにか抑え込んで黙らせるために唇を奪ったのは別の話。まぁ、翌朝起きたら床に落とされていたんですけどね。
次回、第25話「知らされていく真実」
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