床で目覚めた俺は有り合わせの材料で二人分の朝食を作って夏凜と二人で登校...するつもりだったが目が覚めたタイミングで大赦から着信が来た。タイミング良すぎだろ...
『至急本庁へ来られよ。』
...本文はそれだけだ。
内容の伏せられた連絡というものはそれだけ重要性が高い。確認するという作業を介在させないといけないのだから。その分面倒だったり胡散臭さもあるんだけど...発信先は大赦で、しかも書史部限定のアドレスだ。
「はぁ...一体全体どんな用だよ...なーんて、悠長というか、アホなことは言えないんだよな...」
園子様が友奈と東郷に真実を伝えた。
俺が寝ている間に大赦は色々考えていたんだろう。何せ今までずっと隠していた...──知らないほうがよかった──出来事だ。勇者部の何人かがもしかしたら謀反を起こすかもしれないと思うのも無理はないだろう。その結果俺は昨日も本庁に呼ばれたんだからな。きっとこの呼び出しは昨日の続きだ。今日も延々と...■■■訓練なるものをやらされるんだろうな...
「ご飯だけは作って行くか...」
夏凜の寝顔を見遣りながらとりあえず俺は台所に立った。...まだ4:30だっていうのに...やれやれ...
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本庁に着いたのは6時になる少し前だった。こんな朝っぱらから呼び出されたのは初めてだが、文句は言えない。そういう立場なのだから。
「おはようございます、緋月君。」
「春信さん...おはようございます。早いですね...」
「はい。こちらで多少ゴタゴタがありまして、眠るに眠れず仕事をしていたらこんな時間に...」
「何故兄妹そろって無茶をしてしまうんだ...」
「さて何故でしょう...とはいえ緋月君。君にはこれから君の訓練も兼ねて、"戦衣"の試験テスターの相手をしてもらいたいのです。ちなみに相手の武器は東郷美森様と同じ銃を設定しています。」
「"戦衣"...?」
聞きなれない単語だ。大赦はまた何か開発したのか...?俺がいつも使っている札や勇者システムのような何かを。
「はい。ここから先はまだ機密ですが、勇者システムを量産化させたもの、と考えてください。」
「なるほどわかりました...で、今日は銃ですか...昨日は徒手空拳だったと思うと立ち回りは変わるけど...やっぱりこういうのは、あいつらの目を見れなくなるな...」
「...はい...」
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十数時間後。
クタクタになった俺は家ではなく園子様の所へ向かった。今回は疑問をぶつけるためではなく、ただ話したいと思ったから。
「来ると思っていたよ〜のぼるん。」
「お見通しですか...でも別に質問とかそういうのじゃないですよ。」
「うんうん、愚痴なら聞いてあげるよ〜、聞くだけだけどね〜。」
「っ...」
話したいから、なんてよく言ったものだ。本心というか核心はすっかり園子様に看破されていた。
抱え込めなくなってきた俺はただ、それから解放されたいがためにここに来ていたのだった。
「ほんとにお見通しですね...長くなりますよ?」
「いいよ〜。でも、途中寝ちゃってたらごめんね〜、先に謝っておくんよ〜。」
ぶれないなぁ、なんて感想を心に浮かべた後、俺は話し始めた。
『大赦としての緋月昇』と『勇者部としての緋月昇』の二つの立場を持つが故の葛藤と、何から何まで。今思えば必要ないことまで話していたのかもしれないけど、それでも俺は緋月昇がどうして大赦にいるのかから話し始めていた。
次回、第26話「大赦としての緋月昇」
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