風先輩と樹が交戦している。
武装は先輩が大剣、樹がワイヤー、か。
そんなことをスマホにまとめつつ、俺は時折こっちにやってくる爆弾の防御に札を割くことになっていた。札だから有限なんだよ、枚数が。
「また来る……札数が足りなくなってきた……あと十二枚……」
いい加減友奈達を守るのもきついか……
その時、友奈のスマホに着信が入る。
「ちょ、ちょっと待ってね東郷さん!ひーくん、大丈夫!?」
「残り九枚!あと三発が限界だ!」
友奈は頷いて着信に応答する。
「風先輩!」
「友奈!スピーカーにしてくれ!」
「うん!」
そのあとに爆弾が来る。
あと二発……最前線の情報を耳に入れつつ状況を整理する。
『よし繋がった……そっちは大丈夫!?』
「ひーくんが守ってくれてるのでなんとか!」
「とはいえあと二回が限界だ……」
『そう……友奈、東郷……黙ってて、ごめんね……』
「風先輩は……みんなのことを想って、黙ってたんですよね。それって、勇者部の活動目的通りじゃないですか。」
東郷と先輩が息を呑む。俺はそんな余裕などなく、また来る爆弾の処理に追われる。あと一発か。初任殉職だけは避けたいものだ……
そんな思いは遠くの爆発でかき消された。あの辺りには先輩がいたはず。二人は無事か……?
「風先輩!?」
「マジかよ!?」
友奈の叫びに振り返った俺はこっちにきた爆弾への反応に遅れた。
「緋月君!」
東郷の声で反応したが、十分な防御が出来ずに俺は吹き飛ぶ。
「ぐあぁぁ!?」
友奈と東郷の横に吹っ飛ばされた俺は、全身に走る痛みから察するに全身打撲で間違いない。幸い骨は折れてないが……くそっ、痛ぇ……
「ひーくん!?」
「っく……俺はいい!とりあえず戦うか逃げるか選べ……話はそこからだ!」
乙女型のバーテックスはこっちを見てるかのようだった。目のように見える模様はにっこりと笑っているように見える。何を笑っている、無力な人間を笑っているのか……?
「友奈ちゃん!私を置いて緋月君と逃げて!」
「いいや俺を置いて東郷といけ!もうまともに動けないから文字通りお荷物だしな……」
「何言ってるの!?友達を……!」
友奈の目付きが変わる。あれは、覚悟か。
「そうだよ……友達を置いていくなんて……そんなの、勇者じゃない!」
そう言い放った友奈に爆弾が向かってくる。
「待て友奈!ちゃんとシステムを起動してから……!死ぬぞッ!?」
──忠告は遅かった。飛んできた爆弾は友奈に直撃して、閃光と爆風が迸る。その直前に動かない身体を無理やり動かして東郷を庇う。
「友奈ちゃぁぁぁん!」
「動くな……!車椅子と言えどバランスを崩すと倒れるんだよ!」
「でも友奈ちゃんが!」
友奈への心配はごもっともだ。友奈の方を見る。先の爆風が収まると、そこには桜色の光があった。
「友奈ちゃん……!」
「記録しなきゃな……うぐっ……」
友奈は右腕だけ変身している。これ、どっかで見たような気がするな……
「嫌なんだ。みんなが傷つくこと、嫌な思いをするくらいなら!」
そう言いながら回し蹴りで二つの爆弾を捌く。
三つ目は跳躍でかわす。
「これは……なんという能力……!」
「友奈ちゃん!」
「私が、頑張る!」
空中でも爆弾を処理し、さっき俺がやったように爆風を利用して上昇する。
そして、友奈は攻撃態勢に入る。
「うおぉぉぉぉ!勇者、パァァァァァンチ!」
友奈の一撃は乙女型の腹らしき部分に直撃。その拳は異形を貫き破裂させる。
「聞いてはいたが……まさかここまでとは……」
結城友奈。大赦の■■■■調査で■■の値を叩き出した少女、か。
「戦闘記録……記録者、緋月昇。結城友奈が変身、装備は、なし。」
……こりゃ、報告書が大変なことになりそうだ。
次回、第4話「封印」
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