緋月昇は記録者である   作:Feldelt

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遅刻しちまったよ!
ひのき1周年!ありがとうございます!


第37話 二人きりの二日間(後編)

07:00。

 

昨日夕食を夏凜と食べた後、片付けなりなんなりいろいろやった後ソファでぐっすり眠った俺は、どこぞのギャグよろしく寝返りをうつ際にソファから転がり落ちた衝撃と痛みで起きた。

 

「なんだかなぁ...痛い...」

 

とりあえず右腕を作り、朝食でも作るか。

そう思った時、普段は鳴らない緊急用の連絡先から連絡が入る。

 

「...!?何事なんだ...まだ出向には早いだろ...」

 

そう思って端末を見ると、予想より出向が早まったと書いてあった。しかも明日から。冗談じゃない。こっちは夏凜成分を充電しきれてないのに。ではなく送別会が予定されてるっていうのに。まぁいい。送別会の日だけこっちに帰ってこよう...あとは荷物だけど、生活用の服類以外の食材だとかなんだとかは夏凜にあげるとして...いっそ俺の家の荷物全部夏凜の部屋に入れて引き払うか。

 

「参ったなぁ、予定丸つぶれだ...」

 

しかも窓から外を見るとご丁寧に大型トラックが一台止まっていた。

 

「しゃあない、引き払いの準備しよう...」

 

 

───────

 

 

11:00。

 

家にあった当面使わないものを夏凜の家の使ってない一室に押し込め(当の夏凜はぶーぶー言ってたが)、使うものは『防人』の拠点へ先に送られる。

 

「けど、予定が早まるなんて...大赦にしては珍しいわね。滅多にあるものではないわ。」

「だよな...あー、夏凜。俺の家の鍵返せ。」

「引越しみたいね...帰って来ないってことはないわよね、昇。」

「そればかりは着いてからじゃないとわかんねぇな...もしかしたら帰ってこないかも。」

「はぁ!?人の家にこんなに荷物置いといて処分させられるようなことになるのはごめんよ!?」

「俺も夏凜のところに帰れないのはごめんだ。」

「...!?あいっかわらずさらっと言うわね昇...」

 

夏凜ももう慣れてきたのかあんまり慌てふためかなくなった。うーん、物足りない。

 

「そりゃぁ、俺の荷物の中には夏凜への愛が詰まってるからな。回収して心の底から愛しに戻らないと死んでも死にきれないっていうか...きっと死んでも生きてる。それほど。」

「一方的にうるさいわよ昇...///そんなことどうしてそんな簡単に言えるのよ、私はまだ昇にっ...」

 

 

「俺に?」

 

 

「......なんでもないわよ!」

「嘘つけー」

「嘘じゃないわよ!」

「嘘つけー」

 

以下、無限ループ。

 

ループから脱出できたのは数分後だった。やっぱり可愛いと言い続ければ強い。

 

「うぅ...昇に遊ばれてる...」

「弄んではいないから安心できるだろ...」

「そういう問題じゃないわよ!」

 

 

───────

 

 

15:00。

 

まさかの迎えの車が来た。二日間二人きりの予定が崩されるとキレそうだけどやっぱりこれだけはどうにもならない諦めた。いっか、夏凜が見送りに来てくれたし。そう思って車に乗って窓だけ開けて夏凜に挨拶を済ます。

 

「んじゃちょいと行ってくるわ。勇者部によろしく。見送りあんがとな。」

「別に礼を言われるほどのことじゃないわよ。一人は寂しいでしょ。」

「それは夏凜もだろ...愛してる。」

 

短い会話だった。

窓を閉めて前を向く。

最後に外から入ってきた音は絞り出すような小さくか細いフレーズであった。

 

「...私もよ、昇。」

 

あぁ、早く夏凜と結婚したい...

 

 

 

 

 

 




次回、第38話「灼熱地獄」

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