緋月昇は記録者である   作:Feldelt

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明けましたおめでとうございます!(遅刻)



第49話 蝕みの■■■

結城友奈の容態の記録を取り始めてから十数日後、気づけば年が明けていて、気づけば先輩が退院していた。意外とかかったな...

 

で、今日は先輩の快気祝い含めた勇者部で初詣に行く日だ。それ相応の格好として大赦神官の装束はあるけれども。

 

「普通に防寒着着込む感じでいいだろ...」

「無頓着ね...まぁ私もそうだけど。」

「夏凜が着飾ったら俺の目が散華するっての、美しすぎて直視できるかってんだ。」

「褒めてるのかそうでないのかわかりにくい上に嫌とも言わせないようなギリギリを突っ走るのをやめなさい...」

「あら乗せられなかったか。」

「乗らないわよ。」

「ちぇ。」

 

なんて軽口を叩いているが...実を言うと半分空元気である。それというのも記録を取り始めて以来身体が重く、ある時は灼けるように胸の辺りが痛む。それもじわじわと全身に。

間違いなく■■■なのだろうが...だとすると何故俺は生きながらえているのだという謎に直面する。死んでてもおかしくない。それが■■■だ。友奈の場合なら説明はつくが...やはり俺だと説明のしようがない。

 

まぁ、生きてるならそれだけでいいという考えに行き着いたらそこまでなのだけれども。

 

「また仕事のこと考えてるわね。まだ仕事始めじゃないんだからゆっくりしてなさいよ...ていうか...いや、いいわ。とりあえず出るわよ。きっと友奈達も待ってるわ。」

「んあぁ、そうだな。餅と雑煮の準備してから行くから先行っといてくれ。」

 

準備しておいた快気祝いもタッパーに詰めなきゃだし、な。

 

 


 

 

「明けましたおめでとうございますー」

「けだるげね!?まさか徹夜してた!?」

「してないですよ。あ、これ快気祝いです。まぁ、勇者部全員で食べるだろうと思ってクッキーにしておきました。」

「おー、気が利くわねー。」

 

参拝を終え改めて勇者部に新年の挨拶をする。

快気祝いも渡せたし。これでおっけーかな...と思った矢先にとんでもなお願いが飛んできた。てかなんで東郷はカメラ持ってるの?わざわざ動画にする意味は何?

 

「のぼるんのぼるん。」

「なんだ?」

「おっとしだま〜ちょ〜だい♪」

 

「...園子様、そのお願いは聞き入れることは出来ません...ってか必要ないでしょうがモノホンお嬢様!」

「えー。」

「えー。じゃなくて......わかった、わかりました...全く もう...」

 

結局勇者部6人に甘酒を奢るということで妥協してもらうことにした。ちなみに俺はコーヒー。

 

「やれやれ。大赦はつらいよ。」

 

キャッキャウフフと言うべきか、そんなのほほんとした少女達を眺める。

 

「東郷パイセン〜、写真とりましょー!」

「樹ちゃん!?ちょ、キャラが...」

「うわぁーっ花の中学時代が...」

「泣き上戸か!?ってか昇!アルコール入ってないんでしょうね!?」

「俺に聞くな!基本甘酒にはアルコールは入ってねぇよ!なんで酔ってんだ...」

「撮りますよー...って、緋月君は入らないの?」

「遠慮する。コーヒー飲み終えてないしな。ちと熱くて。」

 

酔ってる(?)の2人に何されるかわかんないからなぁ...という心配は当たり、セルフタイマーの後にシャッターが切られる直前、並びはグチャグチャになりこれまたとんでもな写真になった。

 

「あっぶねぇなぁ...」

 

この件から俺が得るべき教訓は、犬吠埼家に酒は飲ますなという事だ。

 

「うぐっ...痛てぇな...」

 

友奈程ではないにしろ俺にも■■■はあるんだ。仕事のことを何も話さないたちでよかった。というか、大赦が秘密主義でよかった。

 

まだ涼しい顔で、こいつらを裏切ることは、できる。できてしまう。

 

「帰るぞお嬢さん方。うちで餅と雑煮を準備してるから。」

「いいねーのぼるん!いっただきまーす!」

「って、勝手に決めるなー!」

 

 




次回、第50話「矛盾だらけなのだけど」

感想、評価等、お待ちしてます。
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