冬の季節、太陽が西に沈みかける時間帯に比企谷(俺)八幡は一人何処かも分からない公園のベンチに佇んでいた。吹き付ける風はこの季節にふさわしく少し肌寒い。寒いのなら早く家に帰ればいいと思うのだろうがそれもできない。
なぜ家に帰れないのか、それは簡単だ、帰り道が分からない。それに帰ったところで家に入れない。どうしてこうなってしまったのか、その原因はわかっている。
先日、俺の通っている中学校では修学旅行があった。それに俺も参加したのだがある一つの依頼を受けていた。依頼というのも俺は奉仕部という部活に入れられている。奉仕部の活動は大雑把に言えば依頼人から悩みを聞きその解決を手助けするというものだ。そして、修学旅行において告白を成功させたいという依頼があった。もちろん最初は渋っていたが、その依頼人と同じグループに所属している部員の押しにより結局受けることになった。問題はそのあとだ。告白される側の相手から告白を阻止してほしいという依頼があった。厳密にはそう言われたわけではないが、分かってしまった。他の二人の部員はその告白を阻止したいという依頼には気づいている様子はなかった。なので、俺は一人で動いた。二つの相反する依頼のなかで俺がとった行動は告白したいという依頼人の前で先に嘘告白をして振られるというものだ。これにより、相手は今は誰とも付き合う気はないというのを分からせられた。しかし、
『……あなたのやり方、嫌いだわ』
『人の気持ち、もっと考えてよ……』
同じ部活の二人には拒絶されてしまった。
それから鬱々としながら家に帰ってみれば部員の一人から話を聞いたであろう妹からのお怒りの言葉だった。そんな事があったのが数日前
そして今日
『二人に謝るまで家に入れないからッ』
俺は小町(妹)に家に入れてもらえなかった。
そんな事がありボッチの俺には行く当てなんかもなく適当に歩き続けていたらこの公園にたどり着いた。
今でも時折、他に方法は無かったのか考えるときがある。それでも俺は選択し答えをだした。たとえ間違っているとしても、もうあの時には戻れない。
そんな事を考えていると不意に誰かが隣に座ってきた。俺には関係ないと思い下を向いているとその人物が話しかけてきた。
「こんなとこで、なに項垂れてんの?」
少女の声でそんな言葉を掛けられた。しかし俺は黙っていればすぐ何処か行くだろうと思い相手にせずに下を向いたままだった。そしてそんな俺の思うはすぐに裏切られた。
「聞いてるの?」
あろうことかその人物は俺の頬に手を当て無理やり顔を向けさせてきた。そして俺はそんなことをした人物の顔を見ることになった。灰色の髪に灰色の瞳、年は俺と同じくらいだろうか、パーカーを着て、何かを入れているのであろう棒状のケースを持っているそんな感じの少女だった。
「…その目…」
「…腐ってて気持ち悪いだろ、だから手を放せ」
俺は今まで散々言われてきてもはや慣れてきた事を自ら言い手を放すよう促した。
「私はそうは思わないけど?」
しかし、その少女は手を離さなかった。
「何があったか知んないけどさ、私は気持ち悪いなんて思わない」
「何でだよ…どう見ても腐ってんだろ…」
「確かに腐ってるけど、そんな目してるって事は今まで辛いことがあってもそれでも頑張って生きてきたってことだろ?」
その少女はそんな言葉をまっすぐと俺の目を見たまま言ってきた。
急にそんな言葉を掛けられた俺はどう返せばいいのか分からなくなり戸惑ってしまう。
そんな折、おもむろに少女は手を放し不敵な笑みを浮かべある事を言ってきた。
「もし、人生変えたいなら、今日、この辺りに霧が出たらそのなかに入ってみれば」
「どういう意味だ…」
「きっと花弁が咲くからさ」
俺の質問には答えず、謎の言葉を残し少女は去っていった。
それから俺はしばらくそのままベンチに座っていたが夜になり、さすがに寒さがきつくなってきたのでとりあえず寒さがしのげる場所を探すことにした。
しかし、探せどもコンビニなどもなくあるのは閑散とした住宅街だけ、それでも歩き続けてみれば住宅街のある一角に濃い霧ができていた。
「人生変えたいならか……」
俺はあの時の少女の言葉を思い出し霧の中に入ってみることにした。
霧は思った以上に濃く数十メートル先が薄っすらと見える程度のものだった。そんな視界の悪い中たださまよっていたが、突然水滴が地面に落ちるような音が聞こえて来た。その音のほうに近づいていくと人影のようなものが見えてくる。そしてその人影の前に何かが落ちているのが見えた。さらに近づいていくとその音の正体が分かったとき俺は息をのんだ。血だった。水滴の音は人影持っているメスから血が滴り落ち人影の足元の血溜まりに落ちる音だった。そして、人影の前に落ちていたのは無惨に切り裂かれた女性だった。俺は動揺し音をたててしまった。人影は俺の存在に気づき俺のほうを振り返ったその顔は笑っていた。俺は咄嗟に自分の歩いてきたほうに走りだした。
「ハッ…ハッ…」
無我夢中で走った。後ろから追って来る気配は無いそれでも漠然と殺されるということだけは分かった。そして走っている途中何かに腕を掴まれ自らの生を諦めかけたが
「やっぱり来た」
俺の腕を掴んだのはあの時の灰色の少女だった。
どうもちょむすけMKⅡです。初めての投稿で分からない事が多いのでこうしたほうがいいなどがあればどんどん行ってください。
ちなみに作者はリィンカーネーションの花弁の中ではニュートンが好きです。
あと、灰都さんの口調ってこれでいいんでしょうか?