グランドヒーローズ   作:四季永

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 事情に差異がありながらも、この『施設』を脱出する為に戦士達は集う。だがそんな戦士達の行動すらも予期していたかのように、糸を引く者達は事態を進めていた。ここに集う者達の戦いを、余興として楽しむかの如く・・・


集う破壊者

「すまん・・・! 洗脳されていたとはいえそんな事がっ」

「気にするな。この存在柄誤解や洗脳による同士討ちは些細な事、つまりノーカンだ。・・しかし、風祭真。あんまりあんたと話した事は無いが、大分堅物だったんだな」

 クウガがシンへの洗脳を解いた事により、地下での騒ぎは収まりを見せた。

「さて、こっちにも聞きたい事は色々あるんだが。お前は本当に・・」

「何度も聞くな。俺の名は南光太郎だ、同姓同名で間違えたんだろ」

「その同姓同名で黒い仮面ライダーに変身する男を俺は知ってる。接点がゼロな訳が無いだろ」

 士が見てきた、南光太郎という男。少なくともその男は目の前でやたら不愛想で疲れているように見える男では無かったのだが。

「だいたいわからん事ばかりだが、とりあえず順序だ。風祭、お前はこの南光太郎とここを抜ける計画・・・と言っていたが、ここについての情報はどれだけあるんだ?」

「・・・実は俺はここに収容された訳じゃない。この施設を探る為に実験体のフリをしたんだ」

「何でまたそんな・・・危険全開な事を」

「俺の力は・・・『同盟』に接触している仮面ライダーの中でもブラックボックスな部分が多い、下手に連中に認知されてるライダーが潜入しても逃げられるだけと俺は考えた」

「格好の餌になって飛び込んだってのか・・・」

 何でそんな危険なマネができる。仮面ライダーだからか。今のオレにはそれはできないと、意沙は顔を苦くする。

「その割にはキッチリ洗脳されてたじゃないか?」

「あぁまたトゲのある事をっ」

「ディエンドと言ったか・・・彼がライダーでありながらここと繋がっている事を感づけなかった。同じライダーだからと言ってはいたが・・あそこまで薄情な仮面ライダーを俺は知らん」

「もういいイライラしてきた、そいつの話題はパスだ」

 気まずい沈黙が5秒ほど経った後、再び真は口を開く。

「・・・・ただ、収穫もある。この南光太郎という男、記憶喪失でありながら戦いに優れた男だ。彼のおかげでここでの調査を円滑に行う事が出来た」

 光太郎は施設において実験体と用心棒の二つの役割で重用されていた。彼は出身地に関する記憶が無いらしいが、それを除けば人間的な振舞いに問題は無く、施設を出る手段を探すという意思で真と同調したのだ。

「判った事は・・・残念だがここまで来たお前達と同じ見解だろう。言える事はここは、『この世界』のみの問題を扱ってる場所じゃない、という事だ」

「実験室のフラスコ、か。だいたいわかった。とりあえず生き延びたいからここを出るぞ」

「出てアテはあるのかよ」

「そんなもん生き残ってから考えろ」

 地下にいる4人の男は姿を戦士のそれへと変え、上を目指す。

「ああ、言い忘れてたが今言うか。・・意沙」

「何だよいきなり」

「お前、ガキにしては順調じゃないか。戦士の素質は俺には及ばんがあるみたいだな」

 

 

 

 大人から評価されるのなんて、いつぶりだろうか。

 

グランドヒーローズ

第3話

『集う破壊者』

 

「いくら数を出したところで所詮は抜け殻だな、まるで相手になってない!」

「だったらなんで真っ先に僕を狙うんだい、士? 弱い奴と戦った方が楽だろうに!」

「判るだろうが、お前みたいに曲がってないからだ!」

 

「確かに深みが無いね! 後ろからこんなのけしかけるだけなんてただの卑怯者だ!」

「言うねゼンカイボーイ! 俺ちゃんもワルは好きだがゲスは嫌いだもんね!」

 その人形達は、ゼンカイザーとデッドプール、二人の軽妙な動きをも捉えきれない。

「まだ昔殺し合っていた人間達の方が、手応えがあったぞ!」

 シンと黒いライダーの、殺意にも似た戦意をも、押さえきれない。

「意思を持たない、自分から生み出しもしない力なら、俺達の力に及ぶ訳がない!」

「理屈はよく分かんねえが殴りがいが無いぜ・・! こんなモン掻き集めてもそりゃあ大した事が無ぇな!!」

 そして、ZOとクウガの、熱を込めた闘志に満ちたその拳をも、防ぎきれない。

 

 

「なぁるほどね。今回は流石に白旗を上げるか」

「カッコつけてるつもりか。今お前が最高に無様になってる事を分かれ」

 ディエンドの変身を解いた男の現状は、文字通りの八方塞がりである。

「この状況ならお前の首を捻じ切る事も出来るんだぞ」

「うわぁ怖い怖い。まぁ落ち着きたまえ。ここまでされたんだ、せめて君達に有益な情報でも教えようじゃないか」

 少しばかり、士は今の状況から脱線した考えを巡らせていた。

(この男、本当に南光太郎か? まあそういう世界線の存在、だったら分からなくも無いが・・・ずいぶん物騒な目つきだな、この名前の存在にしては)

 明確に殺意が存在し、世の全てを諦めているようで、だが諦めてきれていない、そんな眼差し。

 ・・・だが、今は保留だ。それを考察する状況では無い。

「この施設の創設者の思惑は知らないし興味は無いが・・上層部は既にこのエリアを破棄し何処かへ消えた」

「逃げた、ってのか!? ここにまだいる奴等見捨てて!?」

「そういう事になるね。真っ黒な組織のやる事なんてそんなもんさ、下にいる者の価値なんてハナから勘定に入れてない、僕含めてね。更に言えば、この施設の情報は外部には大規模テロを企てる犯罪組織のアジトとして発信された、恐らくもうすぐ、ここはどこかのヒーロー的組織が嗅ぎつけて廃墟にするだろう」

 

 

「黙ってるとこ悪いが、そいつの言ってる事は本当だ。それも向かっているのは大分規模のデカい組織らしい」

「ジャスピオンか。・・後ろの三人は招かれざる客ってところだな」

 重々しい沈黙に乱入するかのように、四人の男が現れる。士の言動からして、銀狼の様な姿の戦士は潜入作戦に参加した同志である事は察する事は出来た。

「俺は轟轟戦隊ボウケンジャーのボウケンレッド。ここにブラック、ブルーの三人と来たのは完全に独断だ、誰かの命令という訳ではない」

「単刀直入に言うぜ。俺達はお前らの脱出を手伝いに来た。お前らが次にどこを目指してるかは知らねえし興味も無ぇが、貴重な特例戦力がここで奪われるのは惜しい・・・って判断さ。言ってやったぜ明石」

「興味が無いとまで言ってなかったよ、真墨」

 ある程度軽口が言い合えるのは、この三人は結束があるのだろう。

「・・・どこの誰だか知らねえけど、あんたら何でオレに構うんだよ。オレが石を埋め込まれたから、利用価値があるからだよな? 分かってんだよ、迫害されたクソガキなんざヒーロー様は助けないもんな。助けるのは普通っていう良い身分の人間しか」

「おい」

「何だいきなり・・・・ッ」

 

「痛っ・・・」

「言い訳するバカガキには長々説教するより一撃やった方が効くだろ。頭冷えたか?」

 頭突きか。てっきり一発殴られるかと予想していたが。

「冷静に考えて冷静に聞け。俺達は超人と呼ばれている。この、人間をいとも簡単に殺しも出来る力をもって、死地に立ってどういう訳か無力な奴等を守る為に戦っている。未だに俺自身は、こうやって命懸けで戦う確固たる自信が解らん。だがあえて今の理由を言うなら・・・お前みたいな奴を見捨てるとハッキリ言って気分が悪い。これで今は納得しろ」

 

 

 

 感情論、か。

「何だよ面倒なヤツだな・・・あんた一体何なんだよ」

「通りすがりの仮面ライダーだ、憶えておけ」

 

*

 

「ここが声明の発信源・・・」

「見た感じ、文字通りの白い巨塔ね。気持ち悪い位に純白だわ」

「反世界組織の潜伏拠点は、大方このような場所だ。制圧を始めるぞ」

 

「・・・どうした、エリオ」

「いや、何か違和感を感じます。あれだけの規模に情報を開示しておいて、防衛の素振り一つ見せないなんて。ここまで簡単に来れた事も含めて、まるで・・」

「憶測だな。思い出せ、あの声明は一般の視点で見ればテロリストの宣戦布告と見なされてもおかしくないものだ。世界の混乱を招くようであれば戒める、我々はその為にここに来ている、忘れるな」

 

 

『この言葉が届く限りの、全ての次元の者へ告ぐ。我々は神命界・・・神の命を以てあまねく世界の歪みを正す者。自らの存在を悪と知り、涙を流す者よ。我々はお前達にもう一度未来を与える。そして英雄を名乗り、正義を司る者よ。お前達は知る。裁きの時が訪れたと。救われたければ我に集え。抗いたければ・・・それは悲劇への行いと知れ』

 

 これは意沙達が今いる施設『救済の間』から発せられた声明である。この声は世界中・・・を飛び越え、世界の垣根を越えて様々な場所で発せられた。

 この声を受け一番最初にここに駆けつけたのは、時空管理局。それは数多に存在するとされる次元の犯罪を取り締まる、多次元平和維持組織である。

 

 

つづく

 

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