人間焦らないことが肝心です
色々書き方試します
とりあえずプロローグはこんなもんですかね
次話から本気出す
風がそよいでいる。
空には今にも落ちてきそうな満月がのぼり、霧と相まって幻想的な風景を作り出している。
それだけで良いのに、あの萎びた小人どものせいで気味が悪い。完璧な美は少しの欠落で最もおぞましい物となる。
あの謎の獣から殺され…たのか分からないが、私は生きていた。私はあの獣に喰らわれる直前まであの診療所にいたはずだが、誰かに運ばれたのかここに横たわっていた。診療所で負った怪我は治っており、跡すら残っていない。
肉片が飛び散っていおいて完治するとは考えにくいが、もしかすると夢だったのかもしれない。
考えても見れば、まずあんな大きい獣がこの世に存在するはずがない。いや、そもそも始まり方がおかしかった。突然見も知らない場所から始まるなんて、いかにも夢らしいじゃないか。
とは言え、未だ自分のことが思い出せないのもまた事実。それより恐ろしいインパクトが直後に起きたため重要性を忘れかけていたが、常識的に考えれば異常である。
それに気味が悪いのは、ここには墓石が大量にあるということだ。目が覚めてすぐは、自分が墓地から蘇ったゾンビにでもなったのかと思った。
しかし落ち着いて辺りを見渡せば、水盆や館――戸は閉まっていた――があり、謎の人形が捨て置かれている以外には特別なことはなく、強いて言えばここから何処へも道が続いていない事だけが気がかりになる。
本当に、何から何までおかしいことだらけだ。
訳の分からない獣、謎の小人、墓石だらけの見知らぬ地、もううんざりじゃあないか。
「はぁ…」
無意識に寄りかかってしまった墓石。その瞬間訪れる覚醒感は、まるで落下しているような…
その感覚をしっかりと捉える間もなく、私の意識は遠くへ過ぎ去った。
……
「ゲールマン様、行ってしまわれましたが」
「まだ奴は未熟も未熟だ。すぐに戻ってくるさ」
「…彼女は、どんな選択をするのでしょう」
「さあな、いずれ分かる。けれど、奴の月の香りはごく薄い。まだ目覚めは来ないだろう」
花びら舞い散る大樹の下。かの狩人が去って間もない夢の中、老いた男と華奢な女が並んでいた。
ひと目見れば、女が人形の様な美貌を持っているのがわかる。それもその筈で、彼女は人形だった。比喩ではない。あるいは関節を見れば、その眼を見れば。体の節々に刻まれた溝が示すだろう。渇いて透き通った眼球が語るだろう。
「夢というのは、いつかは覚める」
「ゲールマン様?」
「どんなに幸せな夢でも、忘れたくても忘れられない様な夢も、覚めればそれきり、泡沫さ。どんなに恐ろしい、まるで悪夢のようでも、目覚めは等しく訪れる」
「何を…」
「だが、どんなに願っても、祈っても、縋っても、目覚められない夢があるとすれば」
「それこそが『悪夢』なんだよ」
ある日のHunter's dream(本編とは無関係)
「ゲールマン様」
「何かね。話しかけてくるとは珍しい」
「暇です」
「…随分と素直だな。私ができることなど、もはや助言くらいのものだが」
「ゲールマン様が若かりしはあんなに私を求めていたのに」
「…やめないか」
「私に神妙な表情で『豚野郎と呼んでくれ』なんてせがまれ」
「やめろ」
「『そんなに仕込み杖が気持ちいいかこの変態め』などと」
「やめてくれ!」
…
「ゲールマン様、獣肉断ちを用意いたしました」
「…できればカインの兜もかぶってくれないか」
「……この強欲なクズが」
「ああん」