もうこれはリア充を自称してもいいんじゃないかな
なんて思いました
きれいに主人公を殺せない
視点を変えることも考えたほうがいいでしょうか
ギルバートと名乗った彼は色々なことを教えてくれた。
ここは血の医療が盛んで、彼も病に術を持たずここに頼ってきたこと。
しかしあまり快方に向かわず、今や立つこともままならないと。
「ここは呪われた地です。だから、はやくここを出たほうが良い」
私の左腕に残っている輸血の跡。記憶にはないのだが、目覚めたところが診療所の二階だったことと、彼が話している内容を鑑みると私も医療を求めてこの地に来たに違いないだろう。
「『青ざめた血』、ですか? うーん…すみませんが、聞いたことはありません。けれど、それが特別な血なのであれば、医療教会を訪ねるべきでしょう。あそこは血の医療とその知識を独占していますからね」
獣が跋扈する街で、血の医療を独占する医療教会。俗な考えではあるが、なにやら陰謀めいたものを感じる。それはひとえに私の血に対する本能的な恐怖ゆえだろうか。
「ここヤーナムから谷を挟んだ東側に、医療教会の聖堂がある『聖堂街』があります。ここから少しのぼると大橋があるのですが、それを渡れば聖堂街へ到れるでしょう。その聖堂街の最深部、古い大聖堂の奥深くに、医療教会の医療の源…すなわち血の源があるという…あくまでも噂です。『青ざめた血』が何なのかは知りませんが、なんであれ、特別な血の話ならば医療教会を訪ねるが常です」
「ヤーナムの民は、よそ者には何も明かしません。いつもなら、あなたが近づくことも叶わないでしょうが……。今夜は獣狩りの夜です。むしろ、好機なのかも……ごほっ、ごほっごほ、ごほっ」
そして今、私は彼が言っていた大橋に来ている。
道中は信じられないほどに静かだった。夜中の街としては当たり前の光景なのだが……なんだろうか。嫌な予感がする。
まあ、とにかく進もう。進まねばならない。
――キアアアアアアアアアッ!!
私が大橋の|門≪アーチ≫をくぐったとき、”そいつ”は哭いた。
大橋の上から跳んだそいつは、地響きと石畳の欠片とともに大橋の上に降り立った。
痩けて肋の浮き上がった胸。犬のように尖った口。頭から生える歪んだ一対の角。そしてそれだけで私一人分の大きさを超える毛むくじゃらの左腕。
こいつは獣なんかじゃない。到底獣と言えるようなものではない。
くそ、何が獣狩りの夜だ。こんなバケモノがいるなんて聞いてないぞ。まさかギルバートは私を罠に……!
「キエアアアアアアアアアアアアッ!!」
やつが開戦だと言わんばかりに嘶いた。どうやら悠長に考えている暇はないようだ。アルフレートがいない今、私はただの獲物――それにも過ぎない棒きれだろう。
私にあるのはやつの爪を防げるわけもない、身にまとっている服と、アルフレートから貰った杖だけ。杖一本で何ができるっていうんだ。
と、やつが上に跳んだ。一瞬で視界から消える。あの巨体でよくここまで俊敏に動けたものだ。
ここでやつと対峙するか、逃げるか。選ぶのには一秒とかからなかった。
「っ」
退却だ。あの巨体を押しとどめられるとも思えないが、いましがたくぐったアーチは足止め程度にはなるだろう。
「チッ、くそっ!」
もちろん壊されるのはあっという間だろう。
でも、それで十分だ。その一瞬さえあれば、入り組んだ街に出られれば、まだ生き残れるかもしれない。
歪み。
足が思い通りに動かない。
物体が結ぶべき像が解け、認識の網からすり抜けていく。
瞬間と永遠の境界が曖昧になり、物事の齟齬こそが規律になっていく。
曖昧さは絶対であり、空は落ち大地は昇る。
何もかもがおかしいのに、それが当たり前に感じるこの感覚は。
まさに悪夢といえるだろうか。
「キアアッ!!」
バカな。今私は確かに門を抜けて――
景色が流れる。全身の圧迫感。視線が急に上昇した。眼前にはやつの顔。
「ーーーーーッ!」
やつが吠えた。生暖かい息と涎が顔面に飛んでくる。臭い。耳が痛い。
やつが私を振り上げる。そしてそのまま…おい、まさか
「ぶっ」
頭、全身が割れるように痛い。いや、本当に割れているのだろうか。身じろぎは痛みだけを生じ、景色は何も変わらない。もがいてももがいても、やつからは逃れられそうにない。
また視界が急降下する。再び石畳が眼前に迫る。待ってくれ、待って、待って
「がっ……あ゛あ゛あ゛!!」
痛い、痛い、痛い、痛い! なんで私がこんな目に遭わなければ
また振り上げ――
≪狩人の夢≫
「――――っ!!」
瞬間、腕を眼前に回す。
衝撃は、来ない。
体を締め付ける感覚も、ない。
私は、ついさっき目が覚めた謎の空間に、寝そべっていた。
何なんだ。なんだって言うんだ。なんで私がこんな目に。
私がなにか悪いことでもしたのか。訳が分からないところで目覚めたと思ったら異形の怪物に襲われて、気を失ってまた目覚めて。少し話せる人間がいたと思って信じて言うとおりにしたと思ったら気持ち悪い獣に掴まれて地面に叩きつけられてまた墓場に――
「…様、狩人様」
何だ今度は!?
「…私は人形。この夢で、あなたのお世話をするものです」
人形? 世話だと?
「狩人様。血の遺志を求めてください。私がそれを、普く遺志を、あなたの力といたします」
血の遺志?
「獣狩り…そして何よりも、全うのために、どうか私をお使いください」
ある日のOld Yharnam
\アァー!/
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