「巨人多数出現っ!!」
見張りの兵の叫び声が響き渡ったのは突然の事だった。
古い建物が集まった場所で一旦休憩を取っていた調査兵団に響き渡った声は兵士たちに動揺と絶望の雰囲気が広がるのに十分だった。
司令部ともいえるテントに飛び込んできた兵士が慌てて報告すると、
アルミンが思考をより効率化するために目を閉じる。
「包囲は?」
「全方位現在距離500、ゆっくりと近づいてきます。おそらく知性を持った巨人はいませんが数が・・・・・・」
「どれくらい?」
「およそ五十体前後です」
アルミンを中心とした調査兵団の上層部から驚きの声が漏れた。
「っ・・・・・」
「アルミン、俺が北半分をやる。後の半分を頼む」
「・・・・・わかった。ジャン、エレンと一緒に北から来る巨人の殲滅を。南は残りの調査兵団全員で討伐する。たぶんこの戦いが人類と巨人の最後の戦いだ。勝つぞっ!!」
「「「「おおっ!!」」」」
テントから飛び出したエレンは先行して北に向かう。
建物の上に立体起動装置で移動して、遠くから歩いてゆっくりと向かってくる巨人の大軍を眺める。
「おいそんなところに立ってどうしたんだ?巨人と見れば駆逐だ駆逐だって騒いでた死に急ぎ野郎がまさかビビッてんじゃねぇだろうな」
「んなわけあるか。・・・・あの時を思い出してな」
「ちっ・・・・・・。嫌なこと思い出させんな」
あの戦いの前もこうやって屋根に上って向かって来る巨人を眺めていた。
その時にはアルミンもミカサも後ろに立っていたが、アルミンはその戦いで多くの昔からの部下を失ったエルヴィンから団長の座を受け継ぎ、ミカサは戦いの最中に超大型巨人を追い詰めた時、肉体が耐えきれないほどの負荷がかかったために動けなくなった。
それを思い出したジャンは苦い顔をしたのだ。
「ここで終わらせる」
「テメェと同じなのが気にくわねぇがな」
「「駆逐してやる。一匹残らず!!」」
「続けっ!!巨人を突破させるな!!」
ジャンとエレンが真っ先に巨人の群れ目掛けて殺到し、それに続いてジャンの部隊が屋根の上を疾走する。
「うぉおおおおおおおおおおっ!!」
エレンは一体の巨人に屋根の上から飛び降りながら襲い掛かる。
「イ、 イエーガー兵長!?」
エレンは立体起動装置を使いもせずに飛び降りたために距離が足りず、落ちるしかない。
エレンがミスをしたのかと慌てた新たに配属された新米兵士の前で突然出現した巨人の腕がそこにいた10メートル級を叩き潰した。
「なっ!!」
エレンの片腕に突然現れた巨大な腕が豪快に振り下ろされて頭ごとうなじを引きちぎって絶命させると、エレンは腕をその腕から引き抜いて襲い掛かってきた巨人の喉を再度出現させた腕で貫いた。
エレンが負担を減らすために発見した一部分だけ巨人化させて使用する戦闘法だ。
その人外の光景に呆然としていた新兵の背中を先輩が叩く。
「新兵っ!!ボサッとしてんな。俺達も兵長に続くぞっ!!」
次々と巨人を巨人の腕で叩き潰していくエレンと、類稀なる立体起動装置の操作能力で巨人の手を避け続け、兵達との連携で着々とうなじを削っていく
それによってそこらには肉体が蒸発した巨人の骨が転がり、それを踏み越えて新たな巨人が襲い掛かってくるがそれもすぐに骨へと帰る。
そして南も持ち運びが簡単になった兵器や、アルミンの指揮で犠牲を出しながらも着々と巨人を討ち取っていった。
「南から緑の煙弾。巨人の駆逐を完了、こちらに援軍を派遣するようです」
「よしっ!!もう少しだ。ここで敵を討つぞ!!」
「ジャンっ!!」
ジャンがそう鼓舞した時、死角から巨人の腕が迫る。
それをエレンがジャンを突き飛ばして軌道からずらしたが、エレンへ代わりに巨人の手が迫る。
「くっ・・・・・・!?」
身を捩じってそれを避けるが立体起動装置のグリップを取り損ない、頭から地面に落下していく。
「エレンッ!?」
「くそぉっ・・・・・・・。ミ、カサ・・・・・・・・・」
最後の巨人が兵士の手でうなじを削がれたのと同時にエレンは地面に叩き付けられて意識を失った。