こちら異世界になります。   作:魔妬

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(՞ةڼ◔)


第1話「ここはどこでしょうか?」

「さて…そろそろ寝るとするか…」

 

少し散らかっている6畳くらいの部屋

銀髪の青眼の男は、時計の針が深夜の1時を指しているのを確認し、そう言いながら自分がやっていたテレビゲームの電源を切る

 

「はぁ!?オールに決まってるだろぉ!?」

 

「あたりまえだよなぁ?」

 

静かに布団を敷き始める男に対して、2人の男が野次を飛ばす

片方は小柄で金髪。そして赤と緑という特徴的なオッドアイを持つ

もう片方は白寄りの青い髪で、真紅な目を持つ男

この2人は銀髪の男の友達、そしてここは銀髪の男の家。いわゆる、お泊まり会である

2人は人様のベッドに座りながら遊んでいる

 

「いや死ぬ。リアルに死ぬ」

 

少し泣きそうになるくらいの勢いで言う男

昼夜がほぼ逆転しており、いつもなら夜は俺の時間だってくらい元気なのだが、たまにえげつない睡魔が夜に来ることがある

 

「は〜つまんな。じゃあ俺らももう寝るかあ」

 

ため息をつきながら、金髪の男は部屋の電気を消し、真っ暗な部屋の状態にした

少し窓から漏れる街頭の光でベッドの位置を確認すると、ベッドに飛び込む

そしてそのまま瞼を閉じると、上からずしりと重みがくる

 

「うえっへへ一緒に寝ようぜぇ⤴︎ 」

 

「おい!ちょ、暑い!」

 

暗闇の中でも騒がしくなる2人組

銀髪の男は笑いながら、目を閉じ眠気に体を任せ、そのまま意識は落ちていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

「…また…鼠…今度は…3匹…」

 

「放っておけ。どうせ支障はない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"神"如きが今更止められんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…あ…」

 

銀髪の男はふと目を覚ます

目を開けようとすると、一気に陽の光が襲いかかり、目が眩む

それでも必死に目を開けようとし、言うことを聞かない瞼を手で思いっきり開ける

そこには、自分がいた部屋ではなかった

 

ー外

 

男は、どこかの階段に横たわっていたようだ。体が軽く痛む

周りは一見普通の商店街だった。だが、よく見ると普通は見ないものが売られている店が多々あった

見た事の無い食べ物のようなもの。ゲーム内でよくある「モンスターの素材」のようなものが売られている

 

まるで別世界でも来たような感じだった。寝て起きたら異世界、だなんて聞いたことないが

いや、夢なのかもしれない。寝起きだからかもしれないが意識が朦朧としている

試しに自分にビンタする。結構な勢いをつけて

バチィン!といい音を鳴らすとともに、頬に痛むが来る

 

「いってぇ…」

 

やはり、夢ではなかった

だとしたら自分はなぜここにいるのだろうか

…他のふたりは何処にいるのだろうか

 

「おいそこのてめぇ!」

 

後ろの方でドアが勢いよく開く音と共に、ガタイがいいおじさんが出てくる

分厚いエプロンのようなものを着ており、片手にはハンマーを持っている

 

「ひっ…!?」

 

「てんめぇ人様の店の前で何してんだァ?あぁん?」

 

「店…?」

 

おじさんが出てきた建物にあった窓から中を見る

中には、剣やら防具やらと、物騒なものが売られている。どうやら武具店らしい

すぐさま階段から立ち上がり、おじさんに対して頭を下げる

 

「す…すいません!起きたらなぜかここにいて…」

 

「あぁん?」

 

何言ってるのか分かってないような顔をするおじさん

一歩近づき、腰を曲げて男の顔をすぐ目の前で睨みつけるようにじーっと見る

そして、何回か頷き、1歩後ろに下がる

 

「てめぇここら辺の人間じゃねぇな。どっから来た?」

 

「え?あー…それは…ぁ?」

 

少し思考が止まってしまう

自分が住んでいた地域が思い出せない

どこで生まれたのかが

どこで育ったのかが

全く思い出せない

 

「えっと…」

 

「?なんだ、言えないのか?」

 

不思議そうに男の顔を見つめるおじさん

大きなため息をつきながら、質問を変える

 

「言いたくないんだったらまぁいい。せめて名前を教えな」

 

「え、あ、私の名前は…」

 

ここでまたしても思考が止まる

名前までもが出てこない

ここで本格的に焦り始める男

 

「どうした?名前も言えないのか?」

 

「いや、えーと…」

 

必死に名前を思い出そうとしていると、ふと一つ、自分が呼ばれていた名前を思い出す

 

「ぁ…まと…って言います」

 

まと

彼がゲームなどの偽名に使っている名前

自分の本名ではないと分かっているのだが、自分の名前と言ったらこれしか出てこない

どこかに頭打ったかな…

 

「まと…か。やっぱ聞かねぇ名前だな」

 

おじさんは腕を組みながらしかめっ面をする

そして、自分の胸に指を当てる

 

「俺は…まぁ何だ。鍛冶屋とでも呼んでくれ」

 

少し照れくさそうに言う見た目おじさん

きっと自分の名前より、鍛冶屋って呼ばれた方が嬉しい人なのだろう

こほん、と軽く咳を鳴らし、周りを見渡しながら喋る鍛冶屋おじさん

 

「ここら辺は外に出る奴らのための商店街。勇者野郎共はここで装備を整えて外に出るのさ」

 

(…?外?)

 

気になるワードが出てきたが、心の内に秘めておくことにした

 

「お前も勇者だろ?どうだ、うちで武器買ってかねぇか」

 

そう言われたが、勿論まとは勇者ではない

まして、武器を買うにしても一文無し状態

そんなわけで

 

「今お金が無いので…」

 

そう言い断ろうとするが、鍛冶屋おじさんはまたしてもしかめっ面をする

 

「てめぇ…今丸腰状態だろうが。武器もなんもないのに勇者ってか?」

 

「いや…そもそも勇者じゃ…」

 

 

「あ?じゃあその右手に持ってるのなんだよ?」

 

 

「…え?」

 

そう言われ、自分の右手を見ると、見たこともないような勲章が描かれている、カードのようなものを持っていた

重量感が驚くくらいに一切なく、目を瞑ればほんとに持ってるか分からないほど

そのカードの1面に、これまた見たこともない文字のようなものが書かれていた

 

「…これなんて書いているんですか…」

 

「…お前さん。それ本気で言ってんのか?」

 

「あはは…」

 

苦笑いするまとに対して、鍛冶屋おじさんは深くため息をつく。そして、まとが持っていたカードをぱしっと取り、1面を読み始める

 

「…勇者ライセンス。名前はまと。種族は人間で、出身地は…あ?なんだこれ読めねぇな。まぁいい、んで年齢は…」

 

と、スラスラと自分の年齢や身長等を言っていくが、全部合ってる

勇者ライセンス…と言っていたが、一体誰が俺にそんなものを作ったのだろうか

 

ここはもう異世界だろうと、まとの中で確信している

異世界だとして、だ。まとはついさっき目覚めたばかり。つまりここには、この世界には今まとの顔を知ってるものはいるはずがない。勇者ライセンスの存在も今知った

それなのに、まとの手元には個人情報満載あるカードがあった。誰にも教えたはずがないのに

 

と、鍛冶屋の話を適当に聞き流しながら少し考え込んでいたら、唐突に肩が握られているような重い圧力がかかる

 

「ちょ、なんですか痛い痛い痛い!」

 

まとの肩を掴んでいる鍛冶屋おじさんの大きかった手は、小刻みに震えている

そしてその顔は、少し青ざめているような顔をしていた

 

 

 

 

 

 

 

「おめぇ…

 

 

 

 

 

 

能力使い…だったのか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

能力使い

小声でそう言った瞬間、ほんの一瞬だけ、周囲が凍りつくような静寂に陥った気がした。勿論気の所為、ではあったが

 

「あ…の、能力使いって…なんですか?」

 

興奮のような恐怖のような、複雑な感情を抱いているような鍛冶屋おじさんに、小声で質問する

 

「…能力使いって言うのはそのまんまの意味だ。能力使いの奴らは皆、個性的な能力を持つ。だが、それはこの世界でも数少ない人間しか持っていないという…」

 

「は、はぁ」

 

おめぇそんなことも知らねぇのかあああああ

なんて言われるかと思ったら、普通に答えてくれた

…数少ないと言われても、イマイチ実感がわかない

いや、内心、自分にも能力があるんだって言う嬉しい気持ちはあるが、数少ない選ばれた人間ってのはこの世界に来て数分のまとには理解するのは難しかった

 

「…お前さん。悪いことは言わん。その能力とライセンスは隠せ。誰にも見られないようにしろ」

 

「…?分かり…ました…?」

 

急に真剣な顔になったおじさんの言うことに、理由を聞かずに黙って聞く

返してもらったライセンスをポケットに無造作に突っ込む。そして、1番気になってることを、これもまた小声で聞く

 

「私の能力ってなんですか…?」

 

内緒にしておくにしても、やはり自分の能力はあるならば知っておきたい

内容によっては、バレないように使うことができるものなのかもしれない

 

鍛冶屋は、小さく息をつき、やはり周りには聞こえない声で伝える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




能力は次話かその次くらいに教えます(՞ةڼ◔)

短いような気がするだって…?気にしてはいけない

誤字脱字、おかしな点があればどうかご指摘お願いします
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