神の意思が俺をTSさせて百合ハーレムを企んでいる   作:とんこつラーメン

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前回の続きで、ミネバ&ハマーンの宇宙世紀コンビと、一夏&箒のISコンビの遭遇です。

この二組に挟まれた佳織はどうなるのでしょうか?







第63話 他人から見た私

「それじゃ、ゆっくりしていってね~」

「あ、ちょ……お母さんっ!?」

 

 ジュースを持って一夏達を案内するだけして、笑顔を振りまきながら母さんは鮮やかに去っていった。

 こんな時のあの人の行動力にはいつも敵わない……。

 それから、一夏と箒が軽い自己紹介をした。

 

「相変わらず、おばさんって元気だよね~」

「私も数年振りにお会いしたが、あの頃から全く変わってなくて驚いたぞ」

 

 でしょうね。

 なんでか知らないけど、、母さんの容姿は物心ついた時から全く変化してない。

 その事を直接本人に聞いたら『乙女の秘密よ♡』と返された。

 変に鳥肌が立ったので、それ以降は話題に出さないようにしている。

 

「と……取り敢えず座りなよ」

「ほ~い」

「そうだな」

 

 箒は普通に床に座ったけど、一夏は何故か私のベッドを占領しやがった。

 私の領地を奪いやがって……。

 

「で、さっきから何やってんの」

「これだよ」

 

 分かりやすいように、ゲームのパッケージを見せつける。

 それを見た二人は、すぐに納得したように頷いた。

 

「あぁ~。今、流行ってる『インフィニット・ストラトス・エクストリームバーサス・マキシブーストON』か。雑誌とかでも取り上げられてたね~」

「私も少しだけなら知ってるぞ。なんでも、ISの動きを忠実に再現したゲームらしいな。『インフィニット・ストラトス・エクストリームバーサス・マキシブーストON』は」

 

 ……なんで二人揃って長々とタイトルを全部言うの?

 適当に略せばいいじゃない。

 

「お二人もご存知でしたか。じゃあ、つい最近になって行われたアップデートの事は知ってますか?」

「アップデート? そんなのしてたんだ。内容は?」

「サバイバルモードをプレイしていると、ランダムで隠しキャラが乱入するようになります。んで、たった今、その隠しキャラと対戦しようとしている所だったんです」

「その隠しキャラとは?」

「コレです」

 

 ハマーンが画面を指差すと、一夏と箒が目を思い切り見開いて驚いていた。

 

「これって……もしかしなくても佳織?」

「そのように見えるな……」

「その通り。この隠しキャラである佳織様を見事に撃破出来れば、そのままプレイアブルキャラクターとして参戦してくれるんです!」

「それは実に魅力的だが……」

「倒せるの?」

「全然。流石は佳織様と言ったところで、全く勝てません。今までに色んな猛者達が挑戦しているようですが、未だに勝利したプレイヤーは皆無のようです。試しに私が対戦してみましょうか」

 

 そんな訳で、ポーズ解除して試合開始。

 因みに、なんでか対戦相手である私の名前表記は『仲森佳織』じゃなくて『赤い彗星』ってなってる。

 そこは流石に妥協してくれたのね。

 

「き……消えたっ!? ハマーン、佳織さんが消えてしまいましたよ!?」

「分かってますってミネバ様! うわぁっ!? いきなり奇襲ですか~!?」

 

 一瞬で目の前から姿が消えたと思いきや、すぐに背後からのWビームトマホークで切りかかるゲームの私。

 そこからも出るわ出るわ、理不尽極まりないチートの数々。

 こっちのミサイルはファンネルで全部撃墜し、少しでも距離を取ればビームバズーカを、中距離ではハンドビームガンを撃って厚い弾幕で接近すら許してくれない。

 僅かな隙を見つけて攻撃しても、これまた有り得ないマニューバで見事に回避。

 そもそも、デフォのスピードが速すぎるから、捉えるだけでも一苦労。

 結果、一分も経過しない内に試合は終了。

 圧倒的な力の差を見せつけられて敗北を喫した。

 画面には空しく【YOU Loser】と表示してある。

 

「いやいやいや! なんなのさ、あのとんでもない動きは! あんなの絶対に勝てっこないじゃない! つーか、幾らなんでも誇張しすぎだから! ゲームだからって、なんでも強くすればいいってもんじゃないでしょうよ!」

「「いや、かなり忠実に再現してたけど?」」

「嘘っ!?」

 

 それマジで言ってますっ!?

 

「佳織は、他人から見た自分ってのをよく理解していない節があるよね」

「だな。ISを纏った佳織と対戦をした時、私達全員があの動きを……いや、あれ以上の動きを実際にこの身で体験しているんだぞ?」

「そ……そげなアホにゃ……」

 

 わ……私ってば、あんなとんでもな動きをリアルにやってたの……?

 ヤバい……全くもって自覚が無い……!

 

「流石に一瞬で消えたりはしないが、それに近い事は普通に起きているな」

「うんうん。赤い軌跡を綺麗に描きながらステージを見事に彩ってるかと思いきや、えげつない程に的確な一撃をお見舞いしてくるし。もうさ、人によってはトラウマレベルになってると思うよ?」

「ウソウソウソ~!! ウソだと言ってぇ~!!」

 

 そういや、私って今まで一度も自分の試合の映像を見た事が無かった……。

 恥ずかしいからって理由で避けてたけど、これは一度、羞恥心に耐えながら見る必要があるかもしれない……。

 

「あの、お二人は佳織様の御学友なんですよね?」

「ご……御学友……」

「間違ってはいないが、そんな呼ばれ方は初めてだな……」

 

 その一言だけで、ハマーンがいいとこのお嬢様だってすぐに分かります。

 まぁ、実際にそうなんだけどね。

 

「私、学園での佳織様に興味があります!」

「そうですね。私も普段の佳織さんの事を聞いてみたいです」

「へっ!?」

 

 ミ……ミネバさんにハマーンっ!? なんでここでそんな話題になるっ!?

 二人とも、絶対に話さないでよ!

 

「別にいいぞ」

「そだね~」

 

 おいごらぁ!! 私の『話すなよオーラ』を感じ取れよ~!

 い……いや、一夏や箒なら変に話を盛ったりはしない筈……。

 

「学園での佳織は今とさほど変わりはないかな~」

「あぁ。可もなく不可もなく。その辺りは私や一夏もよく知っているいつもの佳織だ」

「勉強も運動も一生懸命に頑張ってるって感じ。普通にしてると、どこにでもいる女子高生なんだけど……」

「ISに乗ると、途端に一変するな」

「どんな風にですかっ!?」

 

 うぅ……私の黒歴史が暴露される……。

 もう止められない雰囲気になってるし……。

 

「まず、性格が変わる」

「どのようにですか?」

「なんと言えばいいのかな……渋くなる?」

「「渋くなる?」」

「そうそう。一気に張りつめた感じになって、キリッってなるんだよね~。分かりやすく言えば~……イケメン?」

「私は女だよ」

 

 元となったシャア様はイケメンだけどさ。

 今の私はどこまで行っても女だから、イケてるメンズにはなりようがないのですよ。

 

「それから、とんでもなく強くなるな。さっきのゲームの比じゃないぐらいに」

「そう言えば、そんな事を言ってましたね。あれでも十分にチートですけど、現実の佳織様はアレをも凌駕しちゃうんですか?」

「余裕でするね。本気になった佳織はもう、誰も止められないし」

「そんな佳織を疎ましく思っている連中も少なからず存在はしているんだが、そいつらも佳織の試合を見ると途端に大人しくなるんだ」

「きっと、佳織には絶対に敵わないって肌で感じちゃったからじゃないかな?」

 

 え? 私って地味にイジメの対象になりかけてたの?

 それ初めて聞いたんですけど。

 

「私の尊敬する佳織様に牙を向けるとは……! 俗物共が……!」

 

 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!? 今ちょっと片鱗が見えかけたんですけどぉぉぉっ!?

 明らかに宇宙世紀の女傑だった頃のハマーン様が出てきてたよぉぉぉぉぉっ!?

 

 

「それでいて、数多くの名言も残してるし」

「名言! すっごく気になります!」

 

 迷言の間違いでしょ。

 あれは全部シャア様の受け売りだから。

 

「『戦いとは常に二手三手、先を考えて行うものだ』とか」

「『ISの性能の差が戦力の決定的な差ではない事を教えてやろう』とか」

「『当たらなければ、どうということはない』とか」

「『認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちをいうものを』とか」

 

 よく覚えてるな……。

 因みに、さっきから私は顔を両手で覆って伏せてます。

 だって、めっちゃ恥ずかしいんだもん。

 

「凄いです……! 早速メモしておかなくちゃ!」

「しなくていいから!」

 

 なんて言ってる隙にとんでもない速度でメモを書いていってる。

 これは止められないのぜ……。

 

「佳織さんは、とても感性が豊かなのですね」

「一言で纏められたっ!?」

 

 今思ったけど、ミネバさんって天然キャラ?

 もうちょっとお嬢様感が出てる女の子だと思ったけど、他の皆と同様に変な先入観は捨てるべきなのかな……。

 

「ねぇ。私にもちょっとゲームさせてくれない? 一度でいいから二次元の佳織と戦ってみたい」

「いいですよ。でも、本当に手強いですよ~?」

「それはさっき見たから知ってる」

 

 一夏の気紛れによって話は強制的に終わり、またもやゲームに注目が集まった。

 こんな事を言えば絶対に付け上がるから言わないけど、ナイスだ一夏!

 

「ちょ……この! 動き早すぎだから! あ~…もう! こっちの攻撃が全然当たらないし~! なのに、なんで佳織の攻撃は必殺必中なのよ~!」

「最強の隠しキャラですから」

 

 一夏も二次元の私には手も足も出ずボコボコにされた。

 開発陣の皆さんや……私の事を強くしすぎや……。

 

「ならば、私が一夏の仇を取ってやろう」

「お願い~箒ぃ~」

「任せろ。この打鉄で倒してやろうじゃないか」

 

 なんて意気込んでた箒だけど……。

 

「な……なにぃっ!? その距離から一気に懐に飛び込んでからの連続コンボだとっ!? そんなのアリかっ!?」

 

 結局、Wビームトマホークの露と消えましたとさ。

 

「遠近の両方において全く隙が見当たらない……。これは間違いなく、現実の佳織を忠実に再現している……」

 

 ゲームの中の私よ。お前はこれから先、どれだけのプレイヤーを泣かせるんだ……。

 我ながら、罪深い転生特典だよ。全く……。

 

 因みに、皆が帰ってから試しに私も一回やってみたけど、見事に瞬殺されました。

 自分自身に負けちゃった……。

 なんかカッコよく聞こえるかもだけど、実際には凄くカッコ悪い……。

 誰でもいいから、この難攻不落の乱入者を撃破しておくれ~。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「なん……だと……!」

「た……大佐?」

 

 フロンタルは、テレビの前でコントローラーを握りしめたままの状態で固まっていた。

 画面の中では、例の『赤い彗星』が勝利ポーズを決めている。

 

「ネットの噂を聞いて、少しでも佳織を攻略する為の役に立つと思い購入してきたが……なんということだ……」

 

 体を震わせているフロンタルを、心配そうに見つめるアンジェロ。

 彼女にとってフロンタルこそが全てなので、こんな彼女を見るのは耐え難いのだろう。

 

「これが佳織の実力か……面白い……! ゲームとは言え、この私を瞬殺するとは思わなかったぞ。だが、お蔭で己が目指すべき場所がハッキリとした」

「では大佐」

「あぁ。アンジェロ、このゲームのデータを元にシミュレーターのバージョンアップを頼む。ゲーム内ですら、これ程の実力を秘めているのだ。現実の佳織はこの数倍と思っていいだろう」

「了解しました」

「私はもう少しだけ、この佳織に挑戦し続けようと思う。コレすらも越えられないようでは、佳織に挑戦する資格すらない」

 

 などと言ってはいるが、実際には普通にゲームが面白いだけだったりする。

 普段から多忙なフロンタルにとって、このようなゲームは眩しく映ってしまうのだろう。

 それとは裏腹に、アンジェロはまたもや佳織に向けて嫉妬の炎を燃やしていた。

 

(おのれ……仲森佳織! ゲームの中ですら大佐を夢中にさせるとは! こうなったら、私もあのゲームをプレイし、貴様を血祭りに上げる為のリハーサルにしてやる!)

 

 その後、フロンタルが世界で初めて『赤い彗星』を撃破したプレイヤーとして密かに有名になり、アンジェロは全ての機体で『赤い彗星』を撃破したプレイヤーとして名を轟かせていくことになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 




面白そうなので、夏休み中はこれからもハマーンを登場させようかなって検討中です。

要望があれば夏休みが終わっても……?





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