「と、いう訳で俺の彼女の天野夕麻ちゃんです」
俺の言葉を聞いた元浜と松田はこの世の終わりを見たと言わんばかりの表情を浮かべていた。
「ば、バカなぁ…… これは、これは悪い夢だぁ……」
「イッセーには、イッセーだけには先は越されまいと思っていたのにぃ!!!」
「おい! どういうことだそれ!?」
そんな様子を見てくすっと隣から笑い声が聞こえる。
「イッセー君とっても楽しそう。その二人と仲がいいのね」
こんなどうしようもない二人を見てそんな風に笑ってくれるなんてやっぱ天使だぜ。夕麻ちゃん!
「あ、そういえばチャドは? あいつにも紹介という名の自慢をしたいんだけど」
いつもならここら辺にいるであろう巨体をあたりを見回して探す。
「そういえば見てないな。歩いてれば目に付くし今日は来てないんじゃないか? あいつ地味に休み多いし」
「ていうか今自慢って言ったな? やっぱり勝ち誇りたいだけじゃないか!」
「うわっ、やるかてめーら!」
本当に気分が良かった。そう、この時までは。
この日から数日たったあと、初デートの日。
必死で考えたデートコースを、夕麻ちゃんと二人で楽しくデートをして。
デートが一段落して、公園に立ち寄った。
そこでは、夕麻ちゃんと出逢った時と同じ様に、焼けつく様な夕日が俺たちを照らしていた。その夕日が沈んでいき、段々と夜の闇が迫ってきていて。
「死んでくれないかな」
黒い翼をはためかせた夕麻ちゃんがそう言うと、いつの間にか光の槍が俺を貫いて……
後悔する思いが、流れ出てくる血と共にあふれ出る。
そして、俺は、そこで意識を失った。
その日、俺は死んだんだ。
「あなたの命、私が拾ってあげるわ」
視界の隅に、流れ出る俺の血と同じような、紅い色を捉えながら。
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一方その頃。
「ふぅ、はぁ…… これ程の逸材が未だ在野で燻っているとは。もはや陽も沈みつつある。これ以上、時間はかけられんな。全く、軽いスカウトのつもりだったんだがね」
「……」
中華風の格好をして、槍を持った男がそう言葉を投げかける。
相対する男は、その言葉に反応するでもなく一瞬でも気を緩めまいと神経を張り巡らせていた。
その様子を見て、中華風の男は少し笑みを浮かべる。
「是が非でも我々に付いて欲しいものだが…… とりあえずはこの戦いに決着をつけようか」
「ああ、言葉は不要だ」
「聖槍よ! 俺に答えろ!」
「最大出力だ。
チャドはチャドで別の光の槍と相対し、佳境を迎えていた。
光の槍を持ってる奴にいい奴は居ないんだよ!(偏見)