俺の霊圧は消えん!   作:粉犬

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Life.6

もう二年程前になるだろうか、駒王学園に入学するよりも前のこと。

突然リアス部長に呼び出され、部屋に行くと、そこには部長と、魔王サーゼクス様が並んで座って待っていた。

少し緊張しながら促されるままに魔王様の対面の席に座ると、話を切り出された。

 

「落ち着いて聞いて欲しい」

 

そういいながら、サーゼクス様の口から少しためらうように発された言葉に、私は衝撃を受けた。

 

「君のお姉さんが、亡くなった」

 

「え……」

 

頭を鈍器で殴られたかのような感覚が、自分を襲ったことを覚えている。

 

「……証言者はとある上級悪魔でそこそこの実力者だ。遺体こそないものの、相当量の血が付いた武器などを提示し恩賞を求めている。遺体がないのが少し気になるが、血は黒歌本人の物と特定。相当の深手を負ったのは間違いない。本来であるなら現地に向かい調査をするところだが、今その周辺は厄介なことになっている」

 

「厄介な、こと?」

 

「上級悪魔曰くメキシコでの話らしいのだが、あの土地はそもそもアステカの神話体系の神々が治める土地なんだ。あそこはあまり悪魔に対して友好的ではない。今回、はぐれ悪魔の追跡とは言え、少々危ない橋を渡りすぎたというのが一つ。もう一つは、現場となった土地の周辺を堕天使側が権利を主張し始めたということだ」

 

「堕天使が? それは……」

 

リアス部長もそのことについては初耳だったのか、困惑した様子で口を開く。

 

「アステカとの正式な同盟の上で発表されたものだ。何を考えているのかはわからないが、なんにせよ我々があの土地へ行くことはできなくなった。そういったことを踏まえ、深手を負ったはぐれ悪魔が仮に件の上級悪魔の手を逃れた後生きていたとしても、アステカの地で、それも堕天使の手の入った土地での生存は絶望的と判断。先ほどSSランクはぐれ悪魔、黒歌の死亡を認めるものとした」

 

「あ……」

 

事情を聞いて、改めて口にされ、足元が急に不安定なものであるような感覚に陥る。

 

「……このことは早急に伝えねばならないと思いこうして話す場を用意してもらった。例え、犯罪者となっていたとしても、君にとってはただ一人の肉親だ」

 

「……っ!!」

 

その言葉を聞いて、とても失礼なことではあるが、私は部屋を飛び出してしまった。

 

「小猫!!」

 

「リーア、一人にしてあげなさい」

 

「でもっ!」

 

「兄弟姉妹に先立たれる。自分の身に降りかかると思うと身の引き裂かれる思いだ…… 気持ちの整理は、他人がどうこう言ったところで付くものでもない。一人で考える時間というものも重要だよ」

 

「……はい」

 

 

 

 

姉様のせいでたくさんいやな思いをした。

周りの人が信じられなくなった。

いつかこんな日が来るかもしれないって覚悟だってしていた。

嫌いになった姉様だから、大丈夫だと思ってた。大丈夫だと思ってたのに、嫌いになったのに……

どうして、こんなに胸が締め付けられるんだろう。

 

「どうして、こんなに涙が出るのっ……」

 

 

 

 

 

それから数日は部屋に引きこもって泣いていた。

部長や朱乃先輩、祐斗先輩に、だいぶ迷惑をかけた。

それから、少しだけ気持ちの整理が付いて、でも、多分どこか悲しい思いと、寂しい思いは取れなくて。

でも向き合って、頑張って姉様の分まで生きようって、思ってた。

あの人と、会うまでは。

 

「すまない。大丈夫か?」

 

「……」

 

廊下でたまたまぶつかってしまった先輩。

すごく大きくて、多分私のことが視界に入ってなくてぶつかったんだろうと、少しだけむっとした思いを抱いたのもつかの間。

姉様の、匂いがした。

間違いない、間違えるはずがない。

やっと踏ん切りがついたのに、ついたと思ったのに。

 

「す、すまない、どこか痛むのか?」

 

混乱していると、目の前の大きな人はすごく慌てていた。

なんでだろうと思ったら、自分の頬に伝う涙に気が付く。

慌てて拭って、差し出された手を取って立ち上がる。

 

「……大丈夫です。すみませんでした」

 

「本当に大丈夫なのか? 保健室に行くというのなら付き添うし、足を捻ったのなら運ぶが……」

 

「大丈夫です。失礼します」

 

まるで転んで泣いてしまったかのような状況への気恥ずかしさ。姉さまのこと。色んなことが頭の中でぐるぐるして、逃げるようにその場を立ち去ってしまった。

 

それから、その人のことを調べた。

結構有名な先輩で、駒王学園のスーパーマンとか優しい巨人とか呼ばれてるらしい。

祐斗先輩とも友達らしくて、ちょっと話を聞いた。

祐斗先輩でも驚くくらい身体能力が高くて、困っている人がいたら放って置けない性格らしい。

家はどこか知っているかと聞いたけど、知らないらしい。

なぜか微笑ましいものを見るような目で見られた。なんでだろう。

 

他にも、学校で怪しいところがないか目についたら観察したりした。

朱乃先輩にそのことに気が付かれて笑われた。どうしてだろう。

 

そうやって毎日見ていたけれど姉様のことについてはわからない。

やっぱり、話しかけなきゃダメかな……

でも初対面で逃げ出してしまったので少し声をかけづらい。

部長に人に声をかけるときどうすればいいか相談したら男の人かと聞かれた。男の人と女の人で話しかけかたは変わるのだろうか。

 

茶渡先輩が学校を休んだ。聞いた話ではたまに休むことがあるらしい。

体は頑丈そうなのに、病気しがちなのかな? それとも、やっぱり、姉様が関係してるのか……

そのタイミングで茶渡先輩の友達のイッセー先輩が悪魔に転生したという話を部長から聞いた。

イッセー先輩は茶渡先輩と幼馴染らしい。もしかしたら暫く休んでいる理由を知っているかもしれない。

そうして話しかけたらなぜか微妙な顔をされた。なにか失礼なことでも言ったかな?

 

そこからまたしばらくして、茶渡先輩が学校に来た。

いつも通りにしてるけど、多分怪我をしてるのかな。少しだけ動きがぎこちない、あといつもの茶渡先輩の匂いに少しだけ血の臭いが混じってる。大丈夫なのかな。

 

そして、あのはぐれ悪魔討伐の時のこと。

私はようやく、ようやく茶渡先輩が裏の世界にかかわっている確証を得たのだ。

あの姉様の匂いは本物かもしれない、姉様はまだ生きているのかもしれない……

 

 

 

その後、確証が持てようが持てまいが結局話しかけなきゃいけないことに変わりないということに気が付いてどうしようか頭を悩ませる小猫がオカルト研究部の部室で見られたが、彼女の悩みを解決してくれる存在は未だ現れることはないのである。

 

 

 

 

「茶渡君のことですかね」

 

「あらあら、一生懸命悩んでる小猫ちゃんは可愛いですわね」

 

「悪魔と人間の恋、か。おとぎ話みたいね。難しいと思うけど、叶って欲しいわね」

 

「くっそー、チャドめぇ。やっぱり絶対殴ってやるからなぁ!」

 

一方オカルト研究部の面々は普段他人に自分から関わらない小猫が積極的に接触しようとしている様子をみて、完全に勘違いしているがそれを小猫が知るのはこれまたまだ先のことである。

 

 




ストーリーとして乗せるか番外編として乗せるかめっちゃ悩んだけどめんどくさかったのでそのまま載せます。
為を作ろうかと思ったけど月曜0時更新を目指しているのに外してるからなぁ…… とも思ったのでバンバン載せますよ。そりゃあもうバンバンと。
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