俺の霊圧は消えん!   作:粉犬

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Life.1

部長の夜の突然の訪問の翌日。

俺はふらふらと覚束ない足取りでアーシアと一緒に登校していた。

アーシアの心配するような視線が心に痛い。

純粋な瞳で汚れた俺を見ないでくれ……

そんな通学路の途中、見慣れた背中が視界に入った。

そして声をかけようとした瞬間。

 

「イッセーとアルジェントか……」

 

声をかける前に、チャドは俺たちの事を言い当てた。

あいつ、振り返ってもないのに……

アーシアと顔を見合わせて驚く。

気配とかそういうのでわかったのか? やっぱあいつすごいな……

 

「お、おう。おはようチャド」

 

「おはようございます。チャドさん」

 

近づいて挨拶をするために向かい合うと、チャドはだいぶ顔色が悪かった。

 

「おい、大丈夫か? なんか調子悪そうだけど」

 

「昨日の夜少しな…… そういうイッセーもあまり体調が良さそうには見えないが?」

 

「あー、えー、まあ昨日の夜少し……」

 

「そうか、まあ無理はするなよ」

 

「おー、お前もな」

 

それではな、と言いながらチャドは少しふらふらしながら自分の教室に歩いて行った。

……あの超人があそこまで弱るって何があったんだろうか。

アーシアと首をひねりながら俺たちの教室に歩を向ける。

 

「イッセーぇぇぇええええッ!!!!」

 

すると廊下の先の方に、松田がこの世の全てを呪ってやると言わんばかりの怨嗟の声をあげながらこちらに向かって全速力で駆けよってきていた。

あ、やべっ。この間の件か!

 

「死ねぇぇぇえええええええ!!!」

 

慌てて逃げようと振り返るとそこには元浜が同じように雄叫びをあげながら走ってきていた。

ヤバイ、詰んだ!

そう思った時には二人のラリアットがクロスボンバーしていた。

 

「てめぇ! 何が夢見る乙女だ! どこをどう差し引いても夢を破壊する漢だろうが!」

 

「何が悲しくてあんなチャドみたいな大男がゴスロリ姿をした様子を休日潰して見なきゃならんのだ! ふざけるなよ貴様ぁ!」

 

いつもの口調を忘れるほどの怒気と罵倒の嵐。

 

「お、落ち着けよ。何なんだよ一体」

 

あえて惚けるフリをして落ち着かせようとするが、もはやそんな小細工は意味をなさない。

 

「ふざけるなよ! 俺たちが待ち合わせ場所であれが来たときの最初の感想が解るか!? あ、この人たちチャドと同じ作品の人だな。だよ! 絶対チャドとかあいつらで拳で語り合う様な漫画から飛び出てきてるよ!」

 

解らない人たちに説明すると、この悪友二人、松田と元浜は俺がアーシアと一つ屋根の下で暮らしていると事実を知り、嫉妬にかられつつ俺に女子を紹介してくれと迫ってきたのだ。

しかし、こちとらハーレムを目指す身である。女の子一人だって他人に紹介してやる余裕なぞない。

なので俺の契約のお得意様、魔法少女に憧れる乙漢(おとめ)ミルたんを紹介してあげたのである。

 

「お友達とか言って同じような背丈格好した奴らを引き連れて来てんだぞ! 解るかあの巨人の恐怖を思い出した時の様な俺たちの気持ちを!!」

 

おお、あんなのがまだいるというのか……

ミルたんシリーズ…… ぜってぇ会いたくねえな。

 

「延々と魔法世界だの魔法少女だのの話をされてたんだぞ。イッセー、『ダーククリーチャー』に出会った時の対処法を知ってるか? 俺は知りたくもなかったよ!」

 

「よ、良かったじゃねえか。対処法知ってれば本当に出遭った時も大丈夫だろ」

 

その言葉を言った俺は、二人の逆鱗に本当に触れたらしく、ツープラトン・ブレーンバスターで投げ飛ばされた。

 

 

 

そんな、昨日の部長の一件以外は、いつも通りの日だった。

いつも通りの日常だったはずなのに……

 

「……」

 

「……」

 

なんでグレイフィアさんとチャドがすごい威圧感を出しながらにらみ合ってんだよ!

 

 




一応チャドは無理やり気を流された影響で仙術(仮免許)程度には使えるようになり、力の感知も、まあそこら辺の悪魔とか堕天使レベルにはできるようになりました。
でも相変わらず苦手です。多分これからもこれが急激に成長することはないでしょう。今作チャドは物理的な力にリソースぶっこんでいるので←

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