怖くも嬉しいという複雑な心境です。
ありがとうございます。なにこれ怖い。
絨毯の敷かれた暖かな雰囲気の廊下を歩いていく
3つの扉の前を通り過ぎて一番奥に辿り着く
透明のガラスの向こう側には無個性な子どもがいた
ぼくだ
ここに映るのはぼく以外にありえない
例え何があっても
どれほど変わってしまっても
「いい加減コレ取ってくれない?」
鏡を覗き込んでいると花が自分に着けられているリボンを示しながらそう言ってきた。
「結構似合ってるからそのままでいいと思うけど、ほら」
鏡に映るように花を持ち上げる。
花はすごい嫌そうな顔で鏡越しにぼくを見ている。
笑顔を返すとため息をつかれた。
「わかったよ、もういい」
勝った。
Torielにも好評だったからしばらくこのままでいてもらおう。
「僕からはデートや戦闘の画面じゃないと見れないのが残念だな」
「そうなの?」
「僕が見てるものはかなり簡略化されてるようだからね。君の表情の変化や装備の違いとかも僕は見た目から判断することはできないんだ。まぁ感情に関してはなんとなく伝わってくるけど......キュートなFloweyちゃんをフィールドでも見たかったなー」
「喧嘩売ってんの?」
喋りながら鏡の前から離れて改装中と書かれた扉まで移動する。
「え、そこ開けるの?」
「何があるか気になるよね?」
「何もないと気まずくない?」
確かに。常にないことをしようと思ったけどここを開けるのはかなり勇気がいる。
「いや、Torielがここに来てからずっと改装中のままってことは片付けきれてない可能性が高いけど......」
「......あの2人がお互いへの想いを完全に切り捨てれるわけないじゃん。絶対そのままだって」
*愛は冷めても消えてはいない......はず
各々願望が混じった推測を述べている。
New Homeの改装中の部屋はいつ部屋の主が戻って来ても良いように整えてあるのが簡単に予想できるけど、この部屋は開けて見ないとわからないのが恐ろしいところだ。
ドアノブに手をかける。
「何をしているのかしら? 我が子よ」
「!?」
すばやく手を引っ込めて声のした方向へ体を向ける。
いつの間にかTorielが側まで来ていた。
「その部屋にはつまらないガラクタしかないわよ。それに随分長いこと空気の入れ替えすらしていないから入ったら病気になっちゃうわ。だから開けてはダメよ」
そう言う彼女は恐ろしい程冷めきった目で扉を睨みつけている。これはどうあがいても開けれないやつだ。
「わかったよToriel」
「そう。いい子ね。私はリビングに居るから用があれば何でも言ってちょうだい」
ぼくの頭をひと撫でして、怪我をしないように遊ぶのよと言い置いて彼女は戻って行った。
「うわぁ......これは脈なし。でも一切合切捨てさったわけじゃないのか。まだ希望はある......のか?」
「ウソだ......年がら年中ところ構わずイチャイチャイチャイチャしてたのに......ウンザリするほど仲が良かったのに......」
*フワリン王に幸あれ
花が一番ショックを受けている。それはそうだよね。
ぼくもあの2人の仲が悪いままなのは何だか寂しい。何故だかわからないけど両方ともぼくにとって特別大切な人だから。
失われたはずの
いつかまた家族が揃うといい。そんな奇跡を夢みてる。
魔王陛下は地下世界のMr.不憫