微睡みからゆっくりと意識が浮上する
体温と完全に馴染んだ布団に包まりぼんやりと思考を巡らす
あの後どうなったんだろう。そう思いながらベッドから起き上がると気遣う様にそっと扉が開いた。
「あら、目が覚めたのね。」
足音を忍ばせて静かに部屋に入って来た彼女は ぼくが起きていることに気がつくとそう声を掛けて目の前まで歩み寄った。手に何かを持っている。渡された。確認する。
*鉢植えだ
*...花弁が6枚の金色の花が植えられている
*鉢にはデカデカと「
*大変不満そうだ
「「ブッフォ!?」」
プレイヤーと同時に噴き出した。ぼくは驚きの方が勝っているが、プレイヤーはツボに入ったらしくそのまま笑い続けている。
どうすればいいか分からず花を凝視していると、彼女が少し申し訳なさそうに話しかけて来た。
「ごめんなさい。驚かせてしまったかしら。」
そう言いながらぼくの部屋にサイドテーブルと小さなジョウロ、肥料の袋を設置した。プレイヤーは笑い過ぎて息も絶え絶えになっている。
最後に本をテーブルに置いてぼくに向き直った。
「これからあなたにそのお花を育てて貰おうと思うの。」
「ああ、大丈夫よ。あなたを2度も襲った報いはきっちり受けさせたし、その鉢に入っている限り悪さなんてできませんからね。」
「すごいなその鉢」
まだ声が震えているが一応プレイヤーも喋れる程度には回復したようだ。
彼女曰く悪い子を反省させるための部屋にかける魔法を応用して鉢に使ったらしい。自分で出ることはできないし、魔法も使えなくなるそうだ。すごいなこの鉢。
「生き物を育てるのは子どもに良い影響を与えるって聞いたことがあるの。その花への罰にもなるし、......それにきっとあなた達は仲良くなれると思うわ。」
「はあ!? 何の冗談ッ......」
今まで一言も発していなかった花が声をあげる。すぐに睨まれて黙らされたが。一体何されたんだ花......
「必要なものはここに置いてあるわ、お願いね。」
扉の閉まる音が消えて気まずい沈黙が訪れる。
とりあえず鉢をテーブルに置いて本を手にとる。
*「やさしいおはなのそだてかた」
*花の育て方をわかりやすく説明した本だ。
*犬耳の形の栞が挟まっている。
*...バターカップの花のページだ。
「まさかの事態だね。」
「望んだ事態でもある。でしょ?」
「......気づいてたの」
「なんとなくね」
聞かなくても伝わってくるものはある。
その花への思いはぼくにはとても理解できないけれど。
きみは花を救おうと足掻いて、足掻き続けて......
心が折れてここに引きこもったんだろう?
たった1つの結末しか知らないぼくを相棒にして。
きっときみはたくさんの"ぼく"を知っているのだろうね。
「......キミもしかしてボクと友達になりたいとか思ってんの? だとしたら残念でした! ボクはキミみたいなツマラナイやつとはぜーったいに友達になんかならないもんね!」
無言でジョウロの水を頭からぶっかけた。
これと友達になりたいとか本当にぼくのプレイヤーは変わっている。
一番好きなのはPapyrusです