あれは嘘だ
静かにページをめくる音が一定の間隔で耳に届く
暖炉では苛烈さをその身に潜めた炎がただ暖かさだけを周囲に振る舞う
この世界で最も安心できる場所でぼくは花に選択を迫る
「さあFlowey, どれにする?」
花が胡乱げに視線を巡らす
*Monster Candy
*間違いなく、リコリス味じゃない
*面白味のない選択
*Spider Donut
*クモの手作りリンゴ酒バター入り
*ノーコメント
*Spider Cider
*クモでできてる、ヤバイジュース
*とても面白い
*Butterscotch Pie
*バタースコッチシナモンパイ、一切れ
*...彼の好物だ
*Toriel
*あなたにとって何が一番か知っている
*...
*It's you!
「何これふざけてんの?」
「デートは嫌だってきみが言ったんじゃないか」
だから仲良くなるためにUndyneを参考におもてなしをしているというのに......やっぱり槍の代わりにぼうきれでも投げるべきだろうか?
ぼくがポケットに手を伸ばすのを見てとった花は嫌な予感でもしたのか即座に1つの物に視線を合わせた。
「これ」
一瞬の迷いもなくパイを選んだ。
選ばれなかったお菓子達をポケットに詰め直してパイを嫌がる花の口に運ぶ。
「
「誰がむぐっ」
文句を言おうと口を開いた瞬間を狙ってパイを押し込む。
さあToriel特製バタースコッチシナモンパイを食らえ!
モンスターの食べ物はすぐさまエネルギーに変換されるそうなので喉に詰まったりはしないだろう。多分。してもパイが全回復してくれるから問題ないさ。最悪スパイダーサイダーで流し込めばいいかな?
「いい勢いで突っ込んだね」
Undyneが君の頭を鷲掴みにした時のような勢いだった
堪えきれなかったのかプレーヤーが噴き出した。こいつ結構笑い上戸だよね。
「それにしてもこの間からテキストさんの調子が妙にいいけど何か知ってる?」
ふと気になっていたことをプレーヤーに尋ねる。
プレーヤーは確かな根拠がある訳じゃないけどと前置きをして話し始めた。
「テキストを記しているのは多分First Humanだと思うんだよね。HomeやNew Homeでの反応を見た結果の想像でしかないけど。もちろん彼あるいは彼女は随分昔に亡くなっている訳だからそのものではないよ? Snowdinの図書館で見たモンスターの弔い方の話は覚えてる? 遺灰を思い出の品に撒くことで故人...故モンスター? の記憶がその品物に宿って生き続けるって話。もしこの話が残された者を慰めるための作り話じゃなくて事実だとしたら?そしてその法則が人間にも当てはまるとしたら?テキストが記され始めるのは......」
興が乗ってきたのか息継ぎ無しでマシンガンのように話しだしたプレーヤーの声を聞き流しながら考える。これはもう結論が出る頃には最初の質問を趣旨からかなりズレるのだろうな。
まともな答えが返ってくることを諦めて花に意識を戻す。
ようやく最初の一口を飲み込めたみたいだ
「何すむぐっ!」
間髪入れずに続けて押し込む。まだまだあるからしっかり味わえ。
Undyneのおもてなしと熱血指導の燃える展開本当に好き