織斑一夏。成績優秀、文武両道のイケメン。その癖変に気取らない上に、無茶苦茶良い奴という、どこのラノベ主人公だよと言わんばかりの人間だ。そんな性格だから俺はこいつと友人でいられるのだ。しいえて困ることといえば、こいつが鈍感すぎてこいつを狙っている女子達の相談役にされたり、腐った人達のおかずにされる事だが。……特に後者はシャレにならん。何度そういった本を見つけては全部回収して燃やしたことか……。
ある日の事だ。俺は休日という事で自宅でテレビを見ていた時だった。蘭越学園の入学が決まり、だらけていた俺は、ニュースの速報で、織斑が世界初のISを起動させた男として紹介されていた瞬間、飲んでいたコーヒーを吹き出した。
まさかついこの前まで友人として接していた奴がこうなっていたら、いくら何でも腐った本を見ても動揺しない鉄の心を持つ俺でも驚く。
IS。インフィニット・ストラトスと呼ばれるこれは、日本人の天災科学者篠ノ之束の発明品である。当時公開された時は誰も信じず、また、篠ノ之束本人の説明の仕方が悪すぎて、誰一人として間に受ける人間はいなかった。だが、1つの事件がその評価をひっくり返した。
白騎士事件。それは、ISの高性能を世間に知らしめた歴史に残る大事件である。
ISが公開されてから数日後、突如、日本に攻撃可能な国のミサイルがハッキングされ、制御不能に陥った。その数2341発。その全てが、1機のISによってすべて無力化された。そのISが白騎士。その後、各国が送り出した戦闘機207機、巡洋艦7隻、空母5隻、監視衛星8基を白騎士は全て、1人の死者も出さずに撃破。この事件によって、ISは究極の機動兵器であると世界は知ることとなった。
しかし、そのISには欠点があった。女性にしか動かせないのだ。これにより、世界中の女性権利団体が調子に乗り始め、政治家に女性が多くなったりするなどの女性の社会進出が増え、やがて世の中は女尊男卑というよく分からない状態となっていた。
そんな状況の中、織斑はなんと男でありながらISを動かしたのだ。そりゃニュースにもなるか。多分あいつIS学園に強制入学になるんだろうな。世界でたった一人の男の操縦者なんだし。
「何やってんだあいつ……」
ひとまず吹き出したコーヒーを拭いて、織斑に電話をかける。何コールかした後、織斑が電話に出た。
「もしもし、一夏か?」
『ああ、一斗か?』
「おう、そうだ。一斗さんだ」
よし、マスコミに捕まってる訳じゃ無さそうだな。
「一夏」
『なんだ?』
「災難だったなと同情してもらうのと、ハーレムで羨ましいなちくしょうと言われるの、どっちがいい?」
『選択しないで同情してください……』
「残念だな。お前の希望は叶えられそうにないよ」
『じゃあなんで問い掛けたんだよ!?』
「面白いからに決まってるだろう」
『相変わらず性格悪いなおい……』
くっくっくっ、と笑いながらコーヒーを口にする。リア充の叫びを聞きながらのコーヒーは美味いなぁ。
「で、だ。実際の所、なんで動かせたんだ?」
『それが分かってたら苦労しないっての……。あの後研究者さんとかに連れていかれて、色々調べられたんだけど皆目検討もつかないって言われた』
「まじか。というか、お前やっぱりIS学園に入学になるわけか」
『受験会場が分からなくて、たまたま迷い込んだ先でこうなるとは……』
「お前も運が悪いというかなんというか……。まぁ、頑張れ。相談とか愚痴くらいは聞いてやるさ」
『すまん。本当に助かる』
「まだ何もしてねぇんだけどな……」
気の早い友人に苦笑しつつ、別れの挨拶をして電話を切る。コーヒーのおかわりを入れようとして、切れていることに気づく。話している間に飲みきってしまったらしい。しょうがない、買いに行くか。
それから数日が立ち、全国で他にISを動かせる人間がいないかの一斉検査が行われた。まあ、動かないのがオチだろうなぁと思い、俺もISに触ってみた結果。
IS学園への入学が決定した。
『人の事笑っておきながら同じ状況になった感想をどうぞ』
「やめてくださいしんでしまいます」
一夏と同じように注目の的となった俺は、マスコミや研究者さんたちからようやく解放され、一夏と話していた。
「うん、正直すまんかった。きついんだろうなぁと楽観視してたけど、シャレにならんかった」
『だろ?』
その後、一夏と初日はどうすればいいのかという話をして、ISの勉強も互いに分からないところがあったら教え合うという事になった。まあ、その際に一夏が参考書を電話帳と間違えて捨てていたという莫迦をしていたのが判明したが、まぁ、どうでもいいか。
そんなこんなで、凡人の俺は、気づいたら世界で2人しかいないIS男性操縦者になっていた。
……タイトル詐欺じゃねこれ?