「一夏さんや、一夏さんや、視線が辛いんですが、どうすればいいですか?」
「俺に聞かないでくれ……」
あれから時が経ち、俺と一夏はIS学園に入学し、1年1組の自分の席に座っていた。 が、周りの視線がむっちゃ気になる。というか、視線が俺達を貫いている。まあ、俺の方はまだマシか。イケメンの一夏は視線の集中砲火浴びてるけど。
無言の視線に耐えきれずに、早く先生来てくれないかぁと黄昏始めたところに。教室の自動ドアが開き、先生が入ってきた。俺はやっとHRかと思っていた―――が、その考えは一瞬で吹き飛んだ。なぜなら。
(胸……でけぇ……)
そう。入ってきた先生の胸が大きかったからだ。
胸。おっぱい。それは女性の母性を感じさせる部位の一つ。そこには無限大の夢が詰まっており、浪漫があるのだ。しかも、この先生。自己紹介を聞いた限り、かなりのおっとり系である。
メガネをかけていて、おっとりしていて、おっぱいが大きい。男のハートをキャッチする要素を全て持つ彼女の名は、山田真耶と言うらしい。
おっとりしていて、おっぱいが大きくて、メガネをかけてて、若干天然。これ以上の萌え要素があるのだろうか?いやない。
「……ん?……ずとくん?………柿沢くん!?」
「返事をせんか馬鹿者」
「っ〜~〜!」
そんな妄想に耽っていると、俺の後頭部から人間から出ちゃいけない音がした。痛い。無茶苦茶痛い。これ後頭部割れてないよな!?
誰がやったのかを確認するため頭を上げ、後ろを見るとそこには、
「りょ、呂布だー!」
「人の事を人外呼ばわりとはいい度胸だな」
一夏の姉、織斑千冬がいた。千冬さんは俺の頭を掴むと力を入れ―――
「いだだだだだだっ、痛いです、痛いです織斑先生!頭がミシミシいってるから!離してください!」
「ならば早くお前の自己紹介をしろ」
乱雑ながらも、ようやく解放される。頭が痛むが、早くしないと何されるか分かったもんじゃない。頭を振って痛みをできるだけ追い払い、自己紹介を始める。
「えっーと、柿沢一斗と言います。織斑一夏とは友人で、千冬先生とは家族ぐるみの付き合いです。趣味は読書、特技は料理です。よろしくお願いします」
うん、こんなもんでいいだろ。一夏がどんな自己紹介をしたのか知らんが、あたりざわりのないものになったはず。
「織斑君と比べると……」「まぁ、織斑君レベルのイケメンなんてなかなかいないよね」「織斑君と友達……薄い本が厚くなるわね……」「一夏×一斗か、一斗×一夏か……それが問題だ」
うん、うん、こんなもんだな。後腐った掛け算してた人達、ちょっとお話しようか。
まあ、その後は千冬さんが自己紹介して女子達が黄色い声を上げたりするなどがあったが、まぁ、それは別の話だ。そう、決して千冬さんに負けたからいじけている訳はない。
あの後、一夏がポニーテールの少女に連れていかれたり、授業中俺が以前注意したのにも関わらず参考書を電話帳と間違えて捨てて、1週間であの内容を覚えろと千冬さんに怒られたりしていた。ちなみに俺は参考書の重要な部分を覚えていた為、なんの問題もなかった。で、俺が参考書を読み返している時だった。
「ちょっとよろしくて?」
「ん?」
金髪ドリルの少女が目の前に立っていた。
「えーっと、確か貴女は……セシリア・オルコットさんでしたっけ?」
「あら、男にしては物覚えがいいようですわね」
「そりゃどーも」
うーん、何かなー、なんというか……この人の髪型、クロワッサンみたいだな。ドリルの部分が特にクロワッサンっぽい。あ、そんな事言ってたらクロワッサン食べたくなってきた。ここ、食堂とか購買あるんだろうか?あるといいな。俺今日弁当作ってないし。
「ちょっと、聞いていまして!?」
「うおっ!?ちょ、クッ……オルコットさん落ち着いて下さい!聞いてましたから!」
いや、本当は全く何言ってたか覚えていないけど。というかこの人顔近い!無駄に前のめりになって話しかけてきてるから息がかかりそうになってる!うわ、香水の香りが……いい匂いだなこの人。かわいいし。
「まぁ、良い関係を築きましょうよ、オルコットさん」
「ええ……なんとなくはぐらかされた気もしますけど、いいですわ」
セシリア・クロワッさんはそう言うと今度は一夏の席に行った。あの人、同じ事をまた言うつもりなのか?
セシリアさんが一夏に何が言っていると、予鈴がなり、セシリアさんは自分の席に戻って言った。
その後、授業の前に織斑先生がクラス代表を決めるといい、一夏が推薦され、セシリアさんがそれに過剰に反応し、ツッコミどころしかない演説をした後、一夏がこれにツッコミどころしかない反論し、決闘することになっていた。ちなみに俺は誰にも推薦されなかった。まぁ、クラス代表はなるべくイケメンの方がいいわな。
それから時間が立ち、放課後。おっp……山田先生に会い自室の鍵を貰った俺は、暇をもて余した為、その自室を見に来ていた。
「2025室……2025室……ここか」
寮の中を歩き回り、2025室を見つける。ドアをノックし、同意人がいるかを確かめる。まぁ、居ないだろうけど。さすがに男子と女子が同室とかやばいっての。学園側もその辺り考えているだろうし。
「はい、今出ます」
しばらく待った後、ドアが開けられ、中から水色の髪の、眼鏡をかけた少女が出てきた。
「……えっ」
「……簪……?」
そこにいたのは、小学校の頃同学年で、幼馴染の、更識簪だった。