もしも兼一が龍斗との約束を覚えていたら 作:ポケモン大好きクラブ
読みにくかったらすいません。
次の日の昼休み…
クラスメイトの男子2人が美羽を見て「めっちゃかわいくね?」「けど近寄りがたいよな」などヒソヒソと話していた。
そんな美羽の進む先には兼一しか見えていなかった。
「兼一さん、お昼ご飯一緒に食べましょう」
「あっ、美羽さん。もちろんいいですよ。中庭でいいですか?」
「はいですわ」
教室を仲良く話ながら出ていく2人を見ていた男子は「何であいつ何だ!」と怒鳴り周りの女子たちに「やぁねぇ~」と呆れられていた。
一方、中庭に着いた兼一と美羽は以前初めて会った木の下に腰をおろして昼食をとっていた。
「あの…兼一さんは部活には入らないんですか?」
美羽は転校初日に新体操部に入部していた。
兼一は指導者が欲しかったと言っていた。だからこそ美羽は、兼一が何の部活にも入部していないことに疑問を感じていた。
「そうですね…学校の運動部はボディービルに通ってそうな人ばっかいたんですよ」
「あらら」
「それに、今こうして梁山泊に通えているので、もともと好きだったガーデニングをするために園芸部にでも入部しようかと…」
「そうでしたの、では今日にでも?」
「はい」
キーンコーンカーンコーン
ここで予鈴がなった。
お弁当をかたずけて教室へ戻る。
美羽と教室へ入ると一部の男子から恨みがましい視線が送られる。
その日の授業は何もなく終わり、放課後になった。
「それでは美羽さん、入部届け出して来ますね」
「はいですわ。では、また後で」
「はい。部活頑張って下さい」
「そちらも行ってらっしゃいまし」
美羽からの行ってらっしゃいに自然と笑顔になった兼一は、軽く手を振りながら入部届けを出しに行く。
「失礼しました」
兼一は入部届けを出した足でそのまま花を育てているであろう温室へと向かおうと足を向けた。
「ちょ~っと待ったぁ、兼一ぃ~。お前、昨日転校生と一緒に帰ったんだってなぁ」
…が、悪魔の姿をした悪友によって呼び止められてしまう。
「一緒に帰ったってことはいい指導者、見つかったのか?」
(新島にはいろんな情報を持ってきてもらっているし一応教えておいた方がいいか…。まぁ教えなくてもこいつなら自力で探し出しそうだけどな)
失礼なのか信頼なのかわからないようなことを考えながら情報を教える兼一。
「ああ、梁山泊っていう道場で指導してもらってるよ。ちなみに美羽さんの家だよ」
「何!家が道場やってたらそりゃ強い訳だ…」
データが電子手帳にどんどん書き込まれていく。新島春男は、今年の1年のデータはガクランとしてすべて書き込んでいた。データを書き終えて、
「ああそうだ、兼一。お前強くなるつもりならラグナレクに気をつけろよ」
「ラグナレク?」
「ああ、ここら辺一帯を支配してる不良グループのことだよ。大分規模がでかいみたいでな…この学校でも毎年1年の中から不良やら強い奴やらテストして合格したら、ラグナレクに入れるって話だぜ」
「ちなみに不合格の奴は?」
「そのまま潰されるんだと。テストには空手部副部長の筑波先輩がやってるらしいぜ。せいぜい頑張んな」
そのまま新島は「ケーケケケケッ!」と言いながら歩いて行った。新島からの注意を受けとった兼一は、温室へと向かったが思わず「はぁ」とため息が出てしまう。
園芸部は現在部長の
「まさか園芸部に入ってくれる人がいるなんて思ってもいませんでした。でも白浜君は何で園芸部に?」
「ああ。園芸は昔から好きだったんだ!でも、男が花を育てていると友達によくダサイってバカにされてね…
まぁ、でも今は園芸ブームだし部活でぐらい園芸やりたいなって思ってね」
「そうなんですね」
ところ変わって新体操部。
美羽が端っこで柔軟をしていた。
「わぁ!」
「すっごぉ~い!」
周りにいた女の子達が体の柔らかさを見て騒いでいる。美羽は何故騒いでいるのかわからずきょとんとしてしまっている。
「風林寺さん体柔らか~い!」
「えい」
片手を着いて逆立ちをして開脚をしたりしていると、隣から声をかけて来る人がいた。
「風林寺美羽だったっけ、転校生君?噂じゃ中学生時代から、ハイレベルだったそうじゃない」
現エースの
「そんなに隅で柔軟ばっかりやってないで、もっと真ん中でいっちょ実力を見せてくれよ!」
「そうですよ!」
「あっ…でも…」
「見せて下さいよ、はいメガネ貸して!」
これだけ言われては流石の美羽もやらないわけにはいかなくなり、あまり目立ちたくないと思いつつ「それでは…」と演技をこなしていく。
美羽の演技を見たほとんどの部員達は感動している中で鷹島は普通じゃない美しさに驚愕した。
(何だ…この女の新体操は!?美しい…だが、普通の美しさじゃないぞ…鋭いと言うかなんと言うか…
そう、これはまるで…刀剣の美しさ!)
美羽の演技が終わるとみんな美羽の周りに集まった。
「きゃー、スゴーイ!」
「新体操じゃないみたい!」
「はいタオル」
「ど、どうもですわ」
「これならすぐにうちの部のエースになれるわ!ね!鷹島先輩」
「え?ええと、は、ははは。」(現エースに言うんじゃないわよ!)
苦笑いから作り笑いにかえ、鷹島が美羽にゆっくりと近づいて行き、美羽の耳元でぼそりと何か呟いた。
「風林寺君…いい気になんじゃねぇぞ!」
その言葉を呟く頃には笑顔は一片たりとも見えず、逆に怒りマークが見えそうなほどイラついていた。美羽はその理不尽な怒りに悲しみを覚えた。
「やれと言われたからやっただけなのに…ですわ」
女の世界では妬みと言う名の、体術とは別の戦いが起こっていた。
兼一と帰りの待ち合わせをしていた美羽は校門までとぼとぼと歩いて行き落ち合った。
園芸部が終わり校門で待っていた兼一は、見るからに落ち込んでいた美羽を見て吃驚してしまった。
「美羽さんどうしたんですか?」
「え?いえ…。ちょっと…。」
「困っているなら相談に乗りますよ。話すだけで楽になるかもしれませんし」
「そうですか、それなら…」
と、梁山泊へ向かいながら美羽は自分が何故落ち込んでいるのか、そして今なるべく目立たない姿を研究した結果、伊達メガネをかけているのだと明かした。
「それでそのメガネには度が入ってなかったんですね」
「ふぇ!いっ、いつから!」
「実はヤクザっぽい人達と戦った時メガネ落としたでしょ?その時に拾ってあれ?と思ってね。それに梁山泊ではメガネ、かけてなかったですよ」
「はわわ!でも何にも言わなかったでしょう!?」
「わざわざ聞かれたい話しでもないですよね?隠そうとしていることを聞くほど僕も無粋ではないつもりですよ」
「兼一さんの意地悪…」
「美羽さんのために黙ってたんですが…それより、女性の先輩に言われたことは完璧にひがみですよ」
「ひがみ?」
「はい、おそらく美羽さんの演技がすごいから嫉妬したんでしょう」
長く話してると梁山泊に着いた。
胴着に着替えて道場へ移動する。岬越寺の指導のもと筋力トレーニングを行っていると、横から小さいオッサン、もといあらゆる中国拳法の遣い手である馬剣星が横から入ってきた。
「脇が甘いね!」
「え?」
「先に足を出し、次に体重を乗せていくね。足で地面を掴むような安定感を養うね!」
「あっ、これって
「そうね、よく知ってるね」
「本だけは読むので」
「知ってるだけあって実に上手ね。」
「えっ、本当?」
実は兼一、新島が持ってきたさまざまな格闘指南書などを読んで出来そうなものは実際に練習してみたりしている。その中に中国拳法の指南書も入っていたのだ。
歴史についても興味を持って、勉強しているため岬越寺に勝るは言い過ぎだが、岬越寺と話しの趣味が合うくらいには知識があるのだ。
「おいおい剣星、何故中国拳法まで…」
「いやね、どうせだから拳法も教えようと思ってね!」
「何でそんな無茶を…」
「拳法で戦いに入り、敵を掴んだら柔術!そんな達人作って見たくないかね?」
「ほほう…、興味がないと言えば嘘になるな…しかしそれでは弟子の体が持つのかな?」
「失敗をおそれてちゃ進歩はないね」
(何だかとても恐ろしい相談がされているような気がするのは、僕の気のせいだと思いたい…)
気のせいではないのだが、聞こえないふりをして現実逃避をする。
「さらにムエタイも加えれば最強よ!」
「そうか、君は弟子を持った事なかったっけ」
「そうよ何事も経験よ!」
「なあに潰れたらそこまでの弟子と言うことであきらめつくね!」
3人の目が狩人のようにキランと怪しく光った。
今、兼一は梁山泊に来て初めて逃げ出したいと考える。
(これだけの達人に教えてもらえる事なんてそうそうあるもんじゃない。けど…足が震えるのは許してほしいと僕は思うんだ…)
「もう少し、体が丈夫になるまでお手柔らかできませんか?」
「大丈夫、限界ギリギリでいくから」
(僕、いつまで生きれるかな…)
こんなことを思った僕は悪くないと思います。
今回は2人の部活と師匠が増えました。
次はどうしようか。
そろそろ筑波先輩出るかな~。
頑張ってかきます。応援よろしくお願いします。