もしも兼一が龍斗との約束を覚えていたら 作:ポケモン大好きクラブ
やはり文才がないので暖かい目で見守ってくれれば幸いです。
梁山泊に入門してから兼一のトレーニングにタイヤを引いた朝の1時間全力ダッシュが加わった。家から行っているため完璧な自主練習だ。
家へ帰ると軽くシャワーを浴びて朝食を食べてから学校へ向かうと兼一の1日が始まる。
「兼一さん、おはようございますですわ!」
「美羽さん、おはようございます!」
学校が終わり、梁山泊で修行を行う。今は基礎を重点的に行っている。今日で3日目となり、この調子で4日目5日目と過ぎていき、6日目も過ぎるものと思ったある日の出来事。
「ちょっと遅くなっちゃたな」
兼一が園芸部の花の世話をしていて美羽との待ち合わせに少しだけ遅れた日の事。学校の裏の近くを通った時に悲鳴のような声を兼一は聞いた。
このような声を放っておくことが出来ない性格の兼一は当然、確認をしに行った。
するとそこで見た光景は、人が人を足蹴にしているところだった。兼一は頭で考えるよりも先に体が、足が、動いていた。
「何をしているんだ!」
「ああ?何だテメェ、何人の楽しみ邪魔してくれてんだ?」
「何が楽しみだ!」
大声でかっこよく向かっていっているように見えるけど相手は以前空手部の見学に行ったときに見たことがある副部長の筑波先輩だ。新島も空手部の副部長はラグナレクという不良集団の試験をしていると言っていた。
今の僕ではとても相手になるわけがない。足が少しばかり震えてしまい、それを筑波先輩に見られてしまった。
「ハンッ、よぇ癖に正義感だけはいっちょまえか?だが残念だな。お前は俺の邪魔をしやがったんだ。弱かろうが何だろうが、少しばかり相手になってもらうぜ」
「憂さ晴らしになっ!」と言って筑波は兼一に殴りかかっていく。兼一は修行で殺人級のパンチを日々受けていたおかげか、多少は見えたようでカウンターぎみにパンチを筑波に入れようと殴りかかるが、リーチの差により兼一の顔にドカッと言う音とともに突き刺さる。
「グフッ!」
「らぁっ!」
今度は無防備な腹部に強烈なキックが決まる。
筑波はしばらくお腹を押さえて噎せていた兼一を見下すように、見下ろしていた。
「予想通りだな、弱虫野郎が」
そのまま筑波は去って行った。
しばらくして、学校中を探し回った美羽が駆けつけ、兼一ともう1人の男子生徒が裏庭で倒れているのを発見した。兼一は修行で鍛えていたためあまり重症ではなかったがもう1人の男子生徒は全身打撲であった。
兼一はすぐ下校し梁山泊へ行った。
「ふむ」
「いたたた…」
「骨には異常はないな。脱臼もなしと、よし!」
「痛い痛いって!」
「無事で帰って来てなにより!」ハッハッハッ
「無事…、無事かぁ」
「何だね、何だか不満そうだね」
「いえ、不満…と言う訳ではないですけど、今の僕では勝てない、頭ではわかっていてもやっぱり負けたくなかったですよ。あんな人に…」
「では君は負けるとわかって彼に向かって行った訳だね。何故だい?」
岬越寺に聞かれたこの質問は兼一の根幹であり、この答えによって今後の修行内容が変わってくることを、この時の兼一はまだ知るよしもなかった。
「彼は理不尽な暴力を振るっていた。だから止めに入ったんです。間違っている事には僕は胸を張って、堂々と間違っていると言いたい。けれどそれには力と勇気がいるんです。今の僕にはどちらもまだまだだけれど…」
(ふむ、『信じた正義を貫くための力』か…遥か昔に私が師に言ったセリフがそのまま返ってくるとは…)
「よし!明日より技の修行に入る!」
「えっ?」
「勝ちたいのだろう?」
岬越寺がニヤッという効果音がつきそうな笑みを浮かべた。
「はっ、はい!」
元気のいい返事をした後、兼一が怖じけずいてしまうようなことをおまけのように岬越寺は言った。
「今よりすこ~しだけ厳しめに行くから頑張るように」
(少しって絶対少しじゃない)と兼一が思ったのは今までの修行内容から考えて無理からぬことである。
ちゃくちゃくと、そしてのろのろと進んでいきます。
龍斗に会うのはいつになるのやら…。