もしも兼一が龍斗との約束を覚えていたら 作:ポケモン大好きクラブ
多分龍斗に会うと展開は変わるかと…
明日と言う言葉が聞こえなかったのか、少々暴走気味のアパチャイに捕まった兼一はアパチャイがリアルで手加減を知らないこと知った。
(今までもきつかったのにこれ以上となるとアパチャイさんとの修行で果たして僕は生き残れるだろうか…不安
だ)
そんな兼一の不安をよそに、アパチャイは歌いながら兼一を抱えてあらゆるものを壊して回った。さすがに誰か止めると思いきや、生暖かい目で眺めていた。
そんなこんなで次の日の放課後、今兼一は技を教わろうと道場を訪れる。
「よしっ!」
胴着の帯を締め、兼一は岬越寺のもとへ向かった。
「きたね。ではまず、この岬越寺秋雨が『対空手』用の技を教えよう」
「えっ、空手?」
何故?と首をかしげる兼一に岬越寺が
「その筑波と言う彼は空手部なんだろう?彼が理不尽な暴力を振るっていたと言うのなら、次も彼がそんなことをしている現場に遭遇する可能性もある。その時に対処できるよう、『対空手』用の技を知っておいて損はない。」
「た、確かに!」
さすが岬越寺先生!と心の中で思う兼一だった。
そして「そこで」と言い岬越寺が後ろにいる人物へと声をかけた。
「逆鬼君、空手家として何かアドバイスはないかな?」
「俺は弟子はとらねぇ主義だ!」
((なら何故ずっとそこにいる?))
岬越寺と兼一の心が1つになった瞬間だった。
「まあそれはさておき、まずは柔術の基本である投げ技からいこうか」
その言葉とともに兼一の前に現れたのは、兼一よりも頭1つ分大きい胴着を着たお地蔵様だった。
「これは私が作成した『投げられ地蔵グレート』だよ」
「あの…岬越寺先生、もしやこれを投げる何てことは」
「ないですよね」と続くはずの言葉は岬越寺の否定とともにさえぎられた。
「そうだが…小さかったかね?」
「い、いえ、そんなことはないです!」
「ああそうそう、実戦で投げは畳の上とは違い、必殺の技となりうるので注意が必要だよ」
「はいっ!」
勘違いしたのか、はたまたわざとなのか(絶対後者だよ…)そんなことを言ってきた岬越寺に必死で手を振って兼一は否定した。その言葉に「そうか…。」と少々残念そうにしているのは気のせいだと思いたい兼一であった。
兼一は投げの注意を聞いて、修行を再開する。
「では一度投げてもらってもいいかな?」
「はい!」
早速モーションに入る兼一。そして投げられたかというと…
(確か投げ技は重心を考えて…)
「せぇい!」
わりとすぐに投げられた。だが岬越寺はおしいとばかりにアドバイスをする。
「ふむ、重心のことはわかっているようだね。そこで兼一君、君は人の重心は何処か知っているかね?」
「えっと、腰あたり…ですか?」
「少々おしいね」
と言い『投げられ地蔵グレート』の頭に触れながら
「正解はおへそだよ」
と言った瞬間地蔵の足を払い、その逆方向へと頭に力を加え地蔵を軽く回転させる。
元の位置へと戻った地蔵を見た兼一が
「わっ!すごい!」
「すごくないよ」
となんでもないように岬越寺は言った。
(もしやこれがこの人的に普通のことなのか…。)
少々呆気にとられながらも兼一は改めて地蔵を投げる。
おへそを意識して投げるとさっきよりも地蔵が投げやすいと兼一は感じた。
そしてしみじみ指導者のありがたみを感じた。
「では、もう少し地蔵を大きくして見よう」
「へっ?」
そう言った岬越寺は兼一よりも頭1個半ほど高い地蔵を持ってきた。どれだけ作っているのか疑問に思う兼一だった。
「次はおいちゃんの時間ね。おいちゃんは攻防一体の技を授けるね」
「はいっ!」
次は馬先生の中国拳法の時間である。
ただ木によかって修行を見ている人が気になるが。
「まずは見ているね」
まず馬が兼一に手本を見せる。
「下がって避けるのではダメ。相手の陣地を占領して、反撃できない所から攻撃するね」
「あの馬先生、この技はどういった場面で使えばいいんですか?」
「ふむ美羽、ちょっと来てね!」
兼一が質問すると、美羽を呼んだ。
どうやら美羽と手本を見せてくれるようだ。
「よし、美羽!おいちゃんを攻撃してみるね!」
そう言いながら取った帽子の下は光を綺麗に反射して輝いていた。
帽子を兼一に渡すと美羽が掛け声とともに蹴りを繰り出した。
その美羽の足を「イエイ!」という変な声とともに掴み膝に手をかけ、頭は綺麗に腹に…つまり胸の下に入っていた。
「相手の蹴りを無効化しつつ膝を折っているんですね!」
「そうね!そして同時に胸、男の場合は金的を狙って頭突きをするね!」
説明をしながらもそのままの体勢だったため、美羽が馬の頭をどかそうと押しているとなんと、馬が頭を胸に押し付けてグリグリしだした。
それに怒った美羽は箒を振り回しながら馬を追いかける。
「キャー!馬さんの変態スケベ、変質者~!」
「ちょっ…ちょっと自習にするね。おいちゃんのやった動きを反復練習するね」
(どこまでが本気何だか…)
追いかけられている馬に呆れながら兼一は反復練習をする。
「次はアパチャイの番よ!」
アパチャイを見て兼一が少し後ずさった。
「どうしてそんなに遠いいよ!近く来ないと練習できないよ?」
「い、いえ…やる気はあるんですよ…?ただ本能が逃げろと言うもので…手加減…できます?」
正直傷が癒えてからにしてほしいと兼一は思っていた。
何せ今の傷は筑波にやられたものより、昨日行われたスパーリングによる傷の方が多かった。
だがどれだけ逃げようとも逃げることは叶わない。何故なら兼一の後ろには鎖鎌の鎖を振り回しながら待機している美人が構えているのだから。
「大丈夫!ちゃんとテッカメンするから!それに今日はスパーリングじゃなくてミット打ちだけにするよ!」
「テッカメンじゃなくて手加減ね!」
大事な所は訂正する。だがテッカメンと言っている時点でもうお分かりだろう。
「はいレウ!レウ!そこでヒジ!はい、そこでよけるよ!」
「えっ?」
アパチャイの指示どうりミットを打っていたが避けるの指示の後、気がついたら兼一の体は宙に舞っていた。
同時に強烈な膝が入り兼一の意識はブラックアウトしてしまった。
レウ…タイ語で『早く』という意味。
アパチャイに対してはどれだけ力が上がっていようとも素人では関係ないと思い気絶をしています。
逆鬼は多分次の話で先生になると思います。