学級委員長委員会委員長って言いにくいね   作:こっここーまん

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要は言葉の使いようの段

 雷蔵、三郎、八左ヱ門は、目の前に並ぶそれらをじっと見つめる以外に、何もできなかった。

 それを、乱太郎、きり丸、しんべヱも泣きそうな顔で見るしかない。

 

「ブロマイドに」

「人形が」

「こんなにたくさん」

 

 目の前に並んでいるのは、忍術学園学園長のブロマイドに人形だ。

 前にブロマイドを売るのを手伝ったことがあるが、また随分と溜まってしまったらしい。しかも、今回は人形までついている。

 

「僕たち、前にブロマイドをもらってくれたおじいさんを探したんですけど、見つからなくて……」

「それに、この人形……」

「前に、喜八郎が埋めていたのは見たことがあるが……」

 

 おそらく同じものが大量に埋まっているだろう。

 

「埋めるの、手伝うか?」

 

 八左ヱ門の意見が一番手っ取り早くて早いかもしれない。雷蔵と三郎も頷いた。

 

「ブロマイドは、あのおじいさんを僕たちも一緒に探してあげるよ」

「あぁ。任せておけ」

 

 言うが早いか、三郎は前のおじいさんに変装している。これなら見つけるのも簡単だろう。

 早速、六人はおじいさんを探しつつ、埋める場所へ向かおうとすれば、団子屋の前で見知った顔が座っていた。

 

「あ、伊作先輩!」

「やぁ。乱太郎」

「よぉ。珍しいメンバーだな」

 

 座っていたのは、伊作に留三郎、青葉の六年は組のメンバー。

 ちょうどいいと、大量のブロマイドと人形のことを相談すれば、三人共、全員が一度は通った表情をした。

 

「そういえば、学級委員長委員会でも結構ブロマイド、もらいますよね? あれってどうしてるんですか?」

 

 学級委員長委員会では、学園長から在庫処分やお駄賃としてブロマイドが渡されることが多い。

 だが、不思議なことに溜まっていっている様子はない。おそらく、青葉が処理しているのだろう。

 

「ひ・み・つ」

 

 ウィンクをしながら口元に人差し指を添えれば、両脇腹に突き刺さる拳。

 

「教えてやれよ」

「そうだよ」

「は、はぃ……正直に申し上げます。焼き芋、生き物の巣、襖の修理の下地、保健室の薬包紙、トイレの紙、少量なら学園長先生の所にそっと戻してます」

「じゃあ、私たちのも」

「さすがに量が……」

 

 学園内で使おうとすると、どうしてもバレる危険がある。既に数回バレたが、その時は全力でごまかし、事なきを得ていた。

 乱太郎たちの持つ大量のブロマイドに人形を使えば、自然とバレる危険は高くなる。

 また無理だと断られたせいか、三人の目に涙が溜まり始め、さすがの青葉も表情をひきつらせた。哀車の術だとは分かっていても、後輩であることに変わりない。

 

「……」

「いいじゃないか。用具委員会で多少引き取ってやるぞ」

「保険委員会でも薬包紙ならよく使うからさ」

「…………わかった! わかったよ。できるだけ町で売り切ってやる」

「え!? 売れるんすか!?」

「少し手間はかかるけど、これだけ人がいるんだ」

 

 全員に目をやれば、全員すぐに頷いた。

 

「じゃあ、とりあえず、その人形を分解してくれ。顔のパーツはそのままで。きり丸。この町にふすまや張子を作っているお店はある?」

「あ、それなら前にバイトした場所なら知ってますよ」

「よし。じゃあ、そこにブロマイドを売り込みに行くから、そっちはよろしく」

「おう」

 

 きり丸と共に襖を扱う店に行けば、きり丸が驚いたように声を上げた。そして、青葉もその見覚えのある顔に首をかしげた。

 

「三郎が変装してた、おじいさん?」

「あ、前の!」

「あれ? この前の……」

「また小さな紙、もらってくれませんか!?」

「あぁ……なんだ。ちょうどよかった。前の分がそろそろなくなりそうでね」

 

 どうやら知り合いらしく、青葉が交渉するまでもなかった。ブロマイドを全て売って、元の店に戻れば、ほとんど分解された人形。

 

「それで、この小さな布はどうするの?」

「当て布として売る。おばちゃん狙いでね。きりちゃんはこういうの得意でしょ?」

「はい! 任せてください」

「じゃあ、そっちはきり丸たちに任せて」

「あとはこっちか……」

 

 留三郎が持ち出したのは、顔のパーツ。目や鼻、口といった特徴的なものが多く、当て布にするには小さすぎる。

 

「それは、若い子を狙って人形のパーツとして売るんだよ。三郎。若い女性に変装して売り子、できるか?」

「もちろん」

 

 さっと変装し直した三郎に、顔のパーツがひとまとめになったものを渡す。

 

「それで、残り全員で風の術だ。このパーツを買えば、人形が簡単に作れるってな」

「でも、売れるのか? 顔のパーツだけだろ?」

「大丈夫。女の子は、恋と占いが大好きだから」

 

 にたりと笑った青葉は、まだ理解しきっていない留三郎の肩をつかむと、今まで以上の笑顔を見せた。

 

「全員女装な」

「は……?」

「じょ・そ・う」

「……」

「留子ちゃん♪」

「……お前、それが目的だろぉおおおお!!!」

 

 男が人形のパーツを売っているなんて可笑しな話があるか。と、ムダに正しいことを言われては留三郎も強くはでられなかった。

 たとえ、明らかに上級生を女装させることが目的だったとしても。

 

「留子ちゃん! 聞いてよ! 私……私、ついに、買っちゃったの!!」

 

 本人も女装をしているのだから、見逃す他、ない。

 

「ほら、好きな子の髪の毛を入れて、人形作ると結ばれるって噂あったでしょ?

 向こうで、人形を簡単に作れるってセットが売ってたから……!」

「へぇ……! そうなの……!」

「お店の人が言うには、いくつか種類があってウィンクしてるのが混じってるんだって。それが出たら幸せになれるって南蛮の占いなんだって。だから、いさっくんに作ってあげようかなって……!

 と、留子ちゃんも一緒に作らない?」

「た、楽しそうね! いいわよ!」

 

 あっちだよ。なんて、小走りに連れて行かれ、頃合を見て隠れた。

 乱太郎たちも無事、全て売り終え、三郎の元へと行けば、ちょうど売り終えたところだった。

 

「本当に売れちゃったんですか?」

「あぁ。ほら、これが売上」

「まいどー!!!」

「でも、いいんですか? 私たちが全部もらっちゃって」

「私たちは手伝うっていったし、先輩たちもいいってさ。というか、青葉さんの場合、明らかに食満先輩と八左ヱ門の女装見て笑いたかっただけだろうし……」

 

 三郎の言うとおり、ふたりの女装を見て、腹を抱えて笑っていた青葉だった。

 

 

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