学級委員長委員会委員長って言いにくいね   作:こっここーまん

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2話 下調べの段

 外でネコが鳴いた。

 

「あら……ネコ」

「あぁ、すみません。昔から何故かネコに好かれるみたいで」

 

 忍術学園では、すっかりお馴染みの『昼寝すると猫山ができる』という、青葉の謎の特技? だ。

 

「おとなしい子ね。この時間の警護は青葉さんですか?」

 

 波奈もネコの頭を撫でながら聞けば、首を横に振られた。

 

「私は外の警備です。間借さんに、明後日のことを伝えに来たのですが」

「間借なら自室じゃないかしら」

「そうですか。では、波奈さんにだけ先に伝えておきますね」

 

 青葉は護衛の詳細を伝えると、ネコを抱えて間借の部屋へ向かった。

 部屋の前につくと、妙に毛を逆立てる腕の中のネコ。

 

「……間借さん。青葉です。明後日の件でお話があります」

 

 部屋の前で、しっかりとネコを抱きながら、声をかければ、数秒で出てくる間借。

 

「!」

「おや、ネコはお嫌いですが? しっかり抱いていますが――」

「――クションっ!!」

「……先に外へ逃がしてきます」

 

 ネコを外に連れ出してから戻れば、こちらを睨むような視線。

 

「申し訳ありません。ネコが迷い込んでしまっていたようで」

「あぁ、いい。だが、離れていてくれ。また鼻が痒くなる」

「では、ここからお話します」

 

 部屋には入らず、一度人がいないことを確認すると、護衛について語り始めた。

 

「まず三手に別れます。予定されていた道を、お二人に扮した我々。そして、波奈さんと間借さんも二手に分かれていただきます」

「……どういう配置になっている?」

 

 護衛である自分が波奈と分かれるなど、気が気ではないだろう。少し鋭くなった視線に、青葉は頷くと続けた。

 

「間借さんは、私と共に。波奈さんには、三人付けます」

 

 例え襲われたとしても、ふたりが足止め、ひとりが波奈を連れて逃げられる。

 残りのふたりは、先ほど言ったとおり、二人に扮して予定通りに歩く係りだ。

 

「ルートに関しては、各班に我々がいますので、一任させていただきたい」

「……随分と用心深いように感じるが、なにか出たか?」

「何者かが屋敷の様子を伺いに来ていた。ということは、確認しています」

「!」

「ただ狙いはわかりません。当主様か、波奈さんか、それとも間借さんか」

「私なわけがないだろう」

「可能性が一番低いので、私のみの護衛となりますが」

「君が一番強いわけではないのか?」

「まさか。私は、成績ドべ組ですよ。安心してください。波奈さんには、1年年下でも優秀な組をふたり、お付けします」

「そうか。ならいい」

 

 疑い深くこちらを見る間借に、青葉も笑みを崩さず、外に出た。

 

 

「さて……どうしたものか」

 

 翌日、腕を組んで唸っていると、襖が開く。

 

「先輩。そろそろ起きて――ましたか」

「あぁ。三郎。おはよう。お茶の一杯でもいただけると嬉しいですね」

「残念ながら本日は閉店です」

「そりゃ残念」

「ところで、あのからくり箱開けるみたいですよ」

 

 勘右衛門は結局開けられなかったらしく、悔しいから開ける様子を見るそうだ。

 

「先輩も見るなら早めに行った方がいいですよ」

「……いや、調べることあるからいいや。勘右衛門は答え合わせするんだろ? 悔しがるのを、すぐに見れないのだけが心残りだ……」

 

 不貞腐れるように口を尖らせる青葉に、三郎も苦笑を零すが、すぐに表情を戻す。

 

「様子を伺ってた奴らですか?」

「ん。そう。兵助にも頼むから、護衛は4人で頼むよ」

「はい」

「まぁ、今日は何も起こらないだろうから……ひとつだけ頼むよ」

「なんです?」

「猫の世話」

「…………はい?」

 

 伝え終えると、青葉は立ち上がり、外に出た。

 

「兵助」

 

 見張りをしている兵助に声をかければ、すぐに降りてきた。

 

「どうしました?」

「ちょっと鳥野家で行ってきてくれないか。行きも帰りも偽物の道で」

「わかりました。例の件ですね」

「そ。俺は覗き見犯探ってくるから」

 

 ふたりが屋敷を出てから数時間。縁側には八左ヱ門と雷蔵、波奈が座っていた。

 三人の前には、一匹の猫。昨日、迷い込んだという猫だ。

 

「住み着いているのでしょうか?」

「どうでしょう……猫ですから」

「でも、猫だってお気に入りの場所はあるぜ? 案外、ここが好きなのかも」

「だったら間借も喜ぶかも」

「間借さん、猫好きなんですか?」

「はい。他の者に示しがつかないとかで、あまり堂々と愛でてはいませんが」

「あー……ありますよね。そういうの」

 

 小さい頃から一緒にいる波奈は、何度か猫と戯れる間借を見たことがあるが、他に見られたところで問題あるはとは思えなかったが、本人が強く拒否していた。

 

「お嬢様」

「あ、はい。失礼します」

 

 今日は、出立のため、波奈は忙しなく準備を行なっていた。

 雷蔵たちも護衛の為について行こうとしたが、服に関することということで、その場で待つことになった。

 

「あちらはあちらで忙しそうだな」

「まぁ、戻ってこれるとはいえ、嫁ぐんだし。準備も必要だよ。そっちは? また来た?」

「あぁ。何度か、物売りに化けて来たよ。特に何もしていかなかったが」

 

 向こうも監視に気がついていたのだろう。

 しかし、狙いが波奈なら明日までに何か仕掛けてくるはず。

 

「ふたりは、このまま波奈さんのことを頼む。私は、兵助と先輩が戻ってくるまで監視を続ける」

「了解」

 

 こちらを除いていた忍者が、変装して入り込まないように、三郎は屋敷の監視に専念することにしたのだった。

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