学級委員長委員会委員長って言いにくいね   作:こっここーまん

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3話 最終確認の段

 すっかり日も暮れた。

 

「はぁ~~……手掛かりなし」

 

 青葉は項垂れていた。

 今日一日、敵対する勢力に関して調べていたが、二人の結婚を武力行使までして止めようとしている様子はなかった。

 となれば、単なる情報戦のための監視か。それにしては、三郎からの報告にあった潜入しようとしていた輩が、辻褄に合わない。

 

「…………」

 

 出発まであと数刻。

 

 戻ってきた兵助の話では、鳥野家も受け入れや式の準備で大忙しだそうだ。

 忍者が潜入するのには打って付けで、案の定、数人忍者が紛れ込んでいるようだ。

 

「でも、全員結婚の騒ぎに乗じてるだけで、ふたりの婚約を阻止しようという様子ではありませんでした」

 

 武家の結婚だ。乗じて、盗みたい情報だってあるのだろう。

 

「さぁて……どうするか」

 

 もうひとつ、打っておくか。

 

 

「荷物の確認?」

 

 露骨に間借が顔をしかめた。

 

「はい」

 

 荷物は、偽物も含め、すべて押家に頼んでいる。

 その荷物を確認させて欲しいと言ったのだが、この反応だ。

 

「貴方がたを信用していないわけではありませんが、これは押家の大切なもの。いじられては困ります」

「承知しています」

 

 抱え込んでいる忍者であれば信用はあるが、雇われ忍者に、すべて見せるわけにはいかないだろう。

 それこそ、盗む技術だってあるのだ。元々別に雇われていれば、安々と裏切られるのだから、全部信用するわけにもいかないだろう。

 

「ですから外見だけでも。特に、間借さんと私は先に出立しますし」

「……仕方ありません」

 

 細工をされないようにか、間借も一緒に荷物の確認を行う。

 外見は、同じ風呂敷で包まれた箱が二つずつ。どちらかがからくり箱でもう一つが結納品。

 それから、着物が一着。一着は、すでに三郎たちが用意のために持っていっている。

 

「……確かに、これなら見ただけではわかりませんね」

 

 ご丁寧に全て同じものだ。

 これでは見分けも何もない。

 

「わかりました。これで安心です」

 

 これなら、開けるまではバレて本命に向かわれることもないだろう。

 

「勘右衛門」

「はい?」

「出発前の最後の作戦会議するよ」

「あ、はーい」

 

 見張りをしていた勘右衛門を、ちょいちょいと手で拱けば、走り寄ってきた。

 

***

 

 部屋には、この作戦に関わる全員が立っていた。

 

「大まかには、前に伝えたとおり。三郎、八左ヱ門のふたりは、波奈さんたちに変装して、元々決められていたルートで鳥野家に向かう。

 波奈さんは、兵助、勘右衛門、雷蔵。間借さんには俺が、それぞれ護衛につきます。

 道に関しては我々が案内します。落ち合う場所は、一応鳥野家だが、三郎、八左ヱ門は危険を感じたら、鳥野家には行かず、身を隠す。

 その他、任務続行不可能であれば、連絡すること。

 俺と間借さんは、すぐに出発するが、聞いておきたいことがある人は?」

 

 誰も手を挙げない。

 

「じゃあ、決まり。あぁ、そうだ。もし知り合いにあったら、こう言うこと」

 

 冗談のような青葉の言葉に、五年生も不思議そうに頷いた。

 間借と青葉が屋敷を出てすぐ、三郎たちも最後の仕上げとして、顔の変装を完成させると、波奈が驚いて声を上げた。

 

「すごい! 本当に間借みたい」

「そうですか?」

「ハチ。喋るなよ?」

 

 声だけは似ても似つかない八左ヱ門の声だ。

 声を出さずに歩くだけなら、おそらくバレないだろう。

 

「さて、我々も行くか。任せたぞ。勘右衛門たち」

 

 三郎たちも、偽物の荷物を抱えると、屋敷を出ていった。

 

 そろそろ、波奈たちのグループも出た頃合かと、青葉たちは街道を歩いていたが、つける気配はない。

 

「……こちらに行っても良いか?」

「? どうかしましたか?」

 

 間借が指すは人目のある街道ではなく、細い獣道。

 

「先程、すれ違った男。見たことがある。仲が悪い、というほどではないが、なにかと敵に回ることの多い家の者だ」

 

 すれ違った男。確かに、こちらに目をやっていたが、注意をするほどの人物ではない気もする。

 しかし、この短時間では家同士の関係など把握しきれているわけではない。

 

「囮なのだろう。怪しい人間は全て引き寄せるべきだと思うが」

 

 それは一理ある。

 敵らしき人間を見かけた途端、ひと目のない道へそれるなんて、怪しさ満点だ。

 

「わかりました」

 

 細く歩きにくい獣道を進むが、後ろにつける気配はない。

 一応、振り返って、後ろに人影がないかも確認した時だ。

 草むらが大きく揺れる音。

 

「うぁっ!?」

 

 弦が生い茂り、見えにくくなっていた先に足を踏み入れた間借の足が宙を掠める。

 青葉が慌てて伸ばした手は、着物の袖を掠めただけ。

 

「間借さん!!」

 

 崖の下に落ちていった間借の姿は、木に阻まれて見えなかった。

 降りられる場所がないか周りを見るが、近くにはない。近くの弦を掴んでみるも、あまり強度はない。

 確かに踏み抜けば体重を支えられず、落ちる。高さも持っている縄では足りない。

 

「……今行きます! 待っていてください!」

 

 崖の下に声をかけ、降りれる場所を探しに走った。

 

***

 

 一方、三郎と八左ヱ門は予定通りの道を歩いていた。

 

「――」

 

 矢羽根で伝えられる、つけてくる気配。

 

「――」

 

 八左ヱ門は後ろを伺いながら、矢羽根を返すものの、見つからない。

 

「どうしたの? 間借」

 

 三郎もごく自然な動きで足を止め、首をかしげながら八左ヱ門を見た後に、振り返る。

 だが、見つからない。

 自分たちよりも上手の忍者だろうか。

 

「ほら、早く行きましょう。遅れてしまうわ」

 

 なら、逃げるが勝ちだろう。

 走るぞ。と伝えた時だ。足元に投げ込まれた鳥の子。

 

「「!!!」」

 

 飛び退いた瞬間、目の前が真っ白に変わった。

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