初めまして。希絶風谷と申します。
この度人生で初めて小説を書いて行きます。
完全に自己満足なので出来は酷いを超えた何かですが、時間を余りに持て余しておられる方は宜しければご覧になっていってください。
第一話 『三柱と従者』
緑一面に草木が茂る山の中——長い階段を登った先にはとある神を祀る神社があった。その神社は決して荘厳という程の物ではなく、どこにでもあるような見すぼらしい物だ。特徴的な部分を強いて挙げるとしたら本殿の入口、備え付けられている賽銭箱の真上にしめ縄のような物が巻きついている位だろうか?
その神社は日曜日だというのに参拝客は一人も居らず、興味を持って近づく者もいない。それも無理はない。この見すぼらしい神社を見る為に、態々山と長い階段を登ろうという気概のある者などまずいないのだ。
まあ理由はそれだけではなかったりするのだが…
そんな絶望的な背景が見え隠れするような神社——名を守矢神社という。しかし、その神社には明らかに他と異なる部分があった。
それは———
「神奈子ー、私のアイス知らなーい?水色で歯ごたえがあるやつ。」
「知らないぞー?私は今日食べてないしなー。諏訪子が無意識の内に食べちゃったんじゃないかー?こうガバッ!と棒ごと一気に。」
——変わった住人がいる事である。今話しかけたのは一見十歳前後の少女にしか見えない金髪少女。頭には妙にリアリティ溢れるカエルのような目玉が二つ付いている帽子を被っている。名は洩矢諏訪子。
そのもう一方の女性は対照的に大人の雰囲気を醸し出す容姿をしていた。一風変わった青紫色の髪をしており身長もそれなりに高い。諏訪子と並んでいるので尚そう見えてしまう。こちらの名は八坂神奈子という。
この日本において変わった容姿をしている二人だが、変わっているのはそれだけではない。
「私はポ○モンか何かか。でも最近は暑いからねぇ…案外そうなのかも…」
「まあ早苗と養土が帰ってきたら二人にも聞いてみたら良いさ。」
「そうするよー。ああ、それにしても暑いねぇ…いくら神だからっていっても暑いものはやっぱり暑いや。神奈子は暑くないの?」
そう、この二人、いや—–この二柱は神なのである。
「そりゃあ暑いけどさ…それが夏ってものだろ…昨日と同じ事を言ってるぞ諏訪子…。」
「言いたくもなるよ…あー…氷をドカ食いしてゴリゴリしたい…。」
「まあそれは分かる…裸で水風呂入りたい…踊って汗かいてそのまま入りたいダイブ決め込みたい…」
「分かる。すごく分かる…」
………………神なのである。これでも彼女らは神なのだ。例え下着でへそを出して寝転がり、お尻を掻いていたとしても…それは確かな事実なのだ。本当に。
そんな感じで居間に横たわりながらだれきっている神二柱であったが、その時。
「只今帰りました〜!」
「只今戻りました。」
二つの声が響いた。一人は軽快な声を発した緑の長髪で夏用の制服を着ている元気な少女、名前は東風谷早苗。この守矢神社の現人神であり、巫女でもある。
淡々とした声を発したもう一人は短い茶髪をしており、同じく制服を着ている真面目そうな少年だ。名前は
「「おかえり〜。」」
それに二柱が返答する。寝そべっていなければそれなりの絵にはなったであろう。非常に惜しい。
そして二人がダレきっている二柱に近づくと早苗の顔に喜びの色が見えた。そして高らかと養土に向かい———
「ほら!やっぱり神奈子様と諏訪子様も暑さでダウンしてるじゃないですか養土君!賭けは私の勝ちです!」
と、宣言した。顔は所謂ドヤ顔というやつである。
「…はぁぁ……残り物を片付けたかったんですが…分かりましたよ。今日の夕飯は東風谷様の好きなハンバーグにする事にしましょう。」
「やった!」
その宣言を受けた養土は肩を落とし、早苗はガッツポーズをした。それを見た二柱は——
「「なんか賭けごとの対象にされてる!?」」
見事に声がハモった。そして起き上がった。この間僅か0.5秒である。
「そんなに急に起き上がりにならなくても…私と東風谷様のちょっとした遊びのような物ですよ。大したことじゃありません。御二方がこの夏の暑さに耐えているか、耐えてないか。といった物です。」
「私はやられている方に賭けたんです。養土君は耐えている方に。負けた方が夕飯を決定できるという条件で。」
「で、たった今私の敗北が決定してしまった訳です。残り物を片付けられなかった事は恨みますよ?」
淡々と説明する早苗と養土。養土の方は少し恨みがましい目で二柱を見ている。
「ちょっと待って早苗、養土。賭けごとに関してはまだ良いよ。いや良くないけども。でもさ…………」
「私達に夕飯を決める権利はないのかい?これだけ暑いんだから私達だって希望の一つや二つは…」
知らぬ間に二人から賭けごとの対象にされ、夕飯のリクエストを聞いてもらえなかったと異議を申し立てる二柱。夕飯案件。この神社の御神体である彼女達がまくし立てるのも無理はないのだ。すごく下らない争いである。
それを受けた養土はやれやれと言った顔をした後——
「朝聞いたじゃないですか。そうしたら神奈子様も諏訪子様もなんでも良いよーって、元気に返答されていましたよ?」
養土の返答に二柱は固まり…暫くしてから———
「「マジで!?」」
「ハモリすぎですよ神奈子様諏訪子様!?」
「本日はやけに言葉が揃いますね御二方。というか私の話を流し聞いていたのですか…確かに寝ぼけておられたような気が…これはちょっと失敗だったかもしれないですね…」
二柱は寝ぼけてしたであろう返答に困惑し、早苗はそんな二柱に驚いた。養土は朝の記憶を思い出しているのか苦い顔をしている。人数は少ないはずなのに非常に騒々しい光景が広がっていた。
「はあ…どうしましょうか?ハンバーグで宜しいですか?正直東風谷様から既にリクエストされているので変更は…」
養土が少し申し訳なさそうに二柱に問いかける。なんだかんだで不憫に思ったのであろうか。
「あ、私はそれで構わないぞ。そうだろ諏訪子?」
「う、うん。ちょっと変な方向に熱くなっちゃったね。反省反省。ハンバーグで大丈夫だよ。」
冷静な養土に当てられたのか急におとなしくなった二柱はOKサインを出した。これでは先程の抗議に意味が無いことになるのだが…気にしてはいけないだろう。
「良かったです!では…お願いします養土君。」
少し安心したのか軽く息を吐きながら早苗は養土に再度願った。養土も早苗に軽く微笑み———–
「かしこまりました。我が神。」
そう、静かに答えた。
———–此れより始まるは現代に生きる最後の信者と現人神の少女が織り成す物語————
お読み頂きありがとうございました。駄文、更新頻度は不定期という有様ではありますが頑張って参りますのでよろしくお願いします。